AppleInsider: ファーストルック: Apple の iOS 4 for iPhone、iPod touch [Page 2]

First Look: Apple's iOS 4 for iPhone, iPod touch [Page 2]

By Daniel Eran Dilger
Published: Monday, June 21, 2010 12:00 PM EST
iOS 4 における新しいユーザ機能
この新リリースではまた、今秋に Apple がカスタムリリースを送り出さない限り iPad では利用できない新機能も導入されている。 こうしたものには次のようなものが含まれる:

  1. マルチタスキング[和訳]:この新システム最大の機能。 AppleInsider では、この新しいマルチタスキングが動作するのか(マルチタスキングのサポートには複数のクラスがある)、そして多数のアプリが単純にバックグランドで実行されたままであるのが許されている他のスマートフォンプラットフォームとどう違うのかを詳細に解説した。 アプリのアップデートはすでに、さまざまなレベルでのマルチタスキングを新たにサポートされたものが iTunes に投稿されている。
  2. FaceTime[和訳]iPhone 4 でのみ有効。
  3. 最大 12 種類のアプリをひとつのコレクションとしてグループ分けできる新しいフォルダ。 アプリを別のアプリの上にドラッグするとフォルダが作成される。 追加アプリ(フォルダではない。それらは統合もネスト化もされない)にドラッグすると、 最初の 9 種類のアプリのミニアイコンで一杯になったアイコンが出来上がる。 この機能によって、限られたスペースに多数のアプリを詰め込み、整理できるようになるものの、アプリのアイコンはほとんど見えなくなってしまう。そのため、アプリを目で探して起動するのではなく Spotlight 経由で起動することが必要になるかもしれない。 フォルダはまた iTunes 内でも作成・管理できる。
  4. Google(標準)または Yahoo 検索エンジンへの代替として、Safari での Microsoft Bing のサポート。
  5. Spotlight のページを利用して Safari(現在選択されている検索エンジン経由)や Wikipedia 経由で検索できる新機能。
  6. Messages では SMS メッセージ内のテキストを探し出すための検索をサポート。 同アプリではまた、メッセージあたり 150 文字という制限を超えないようにメッセージ文字数カウンタが設定できるようになっている。
  7. Mail では、複数アカウントをひとつの統合された受信箱で表示できるようになった。 また、ただの受信日だけではなくやり取りごとに電子メールをフォローできるように、新しいスレッド機能もある。 Mail ではまた、複数の Exchange ActiveSync アカウントを一度にサポートできる。 添付ファイルとして写真を送信する際、Mail は写真をスケールダウンしてメッセージサイズを削減するオプションを表示する(デスクトップ版 Mac OS X Mail に似た機能)。
  8. 写真には、アルバムを水平モードで閲覧するサポートが追加され、iPhoto からの人々や撮影地、さらにはカメラアプリに付属する GPS 位置情報で撮影地もサポートしている。
  9. カメラは、ビデオ録画の際にはタップしてフォーカスでき(iPhone 3GS 以降のモデルで)、デジタルズーム機能、そして追加カメラや LED フラッシュへの新しいサポートも追加されている。
  10. iOS 4 には、わずか四桁の PIN ではなく、より強力なパスワードもサポートされている。
  11. Bluetooth や音声キーボードフィードバックを経由した点字バイスの追加サポートなど、アクセシビリティへの新しいサポート。
  12. YouTube では垂直モードでのビデオ再生がサポートされている。
  13. メモでは、アカウントというアイデアをサポートするようになり、ユーザがメモをローカルで閲覧できるとともに(同期対象外)、追加のメモは MobileMe や他の IMAP サービスなどを経由して、外部アカウントと同期できる。

iOS 4 の機能

ページ 3 / 3: 開発者向けの新機能

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AppleInsider: ファーストルック: Apple の iOS 4 for iPhone、iPod touch

原文: First Look: Apple's iOS 4 for iPhone, iPod touch

By Daniel Eran Dilger
Published: Monday, June 21, 2010 12:00 PM EST
Apple は 6 月 21 日、自社モバイルオペレーティングシステムの次期メジャーレファレンスリリースを無料公開して、今夏の夏至の日を祝おうとしている。 この新しい iOS 4 はこれまでの iPhone および iPod touch ユーザに向けて、システムワイドなアップグレードを提供し、木曜日の iPhone 4 発売への準備を整えるものだ。
AppleiOS 4 は、コア OS レベル、開発者 API レベル、そしてエンドユーザ向けの表面レベルでさまざまな新機能・拡張機能を提供する。 そうした機能の中には、最新の iPhone 4FaceTime ビデオ通話など)に限定されたものもあれば、昨年の iPhone 3GS および第三世代 iPod touch(マルチタスキングなど)に限定されたものもある。
iOS 4 は初代 2007 iPhone および iPod touch モデルではサポートされず、iPad にはインストールできない。 Apple は、今秋のリリースで iOS 4 の機能を iPad ユーザに提供するとしている。これは特別な iPhone OS 3.2 が iPad の発売時に独占提供されていたのと同じだ。 それ以外のすべての iOSバイスのユーザにとって、iOSiTunes 内からソフトウェアアップデートとして即座にダウンロードできるようになっている。 これは、Apple が他のスマートフォンプラットフォームに対して持っている大きな強みだ。といのも他のプラットフォームのユーザは、モバイルプロバイダや特定の携帯電話モデルに対して利用可能になるまで、新しいソフトウェアアップデートを何ヶ月も待たなければならないこともあるからだ。

iPad の機能を他の携帯デバイス
iOS 4 は、今春 iPad でデビューした iPhone OS 3.2[和訳](発表当時の名称)からの機能を多数 iPhoneiPod touch ユーザに提供するものだ。 こうしたものには次のようなものが含まれる:

  1. ガラス棚の Dock、半透明なステータスバー、そしてホーム画面でのカスタム壁紙のサポートなど、Mac OS X デスクトップを思い起こさせるように見直されたルック・アンド・フィール。 それぞれに異なる Dock デザインにしたり、アプリを touch には提供しないことで iPhoneiPod touch とを差別化しようとしていた Apple の努力は消え去った。 iPhoneiPod touch との間の唯一の差はハードウェア関連のものだけとなり、iOS 4 はそれが可能な場所ではいかなる差も生み出さないようになっている。
  2. iTunes の「File Sharing」のサポート。これによって iTunes との同期の際に、特定のアプリに関連づけられている文書をやり取りできる。 iOS 4 はまた、iPad でデビューした機能でもある、電子メールの添付ファイルを特定のアプリを使って開くというコンセプトも公開している。
  3. ユーザが Safari で検索語を入力しはじめるとサジェストを表示する機能のサポート。
  4. QuickTime によるフルスクリーンプレーヤーを起動するのではなく、HTML5 ビデオがブラウザウィンドウ内で再生可能となった。これも iPad での動作に似ている。
  5. AppleiBooks 電子ブックリーダー・ストアアプリのサポート。これはまた、PDF ドキュメントライブラリおよびビューアとしても機能する。
  6. Bluetooth キーボードのサポート、およびシステムワイドなスペルチェック、サジェスト、置き換え、さらに、テキスト選択・コピー・貼付けメニューを含めた、開発者による拡張可能なその他の機能のサポート。 バーチャルキーボードでの国際レイアウトは、地球アイコンを押して単純に複数の構成レイアウトを一巡するのではなく、コンテキストメニューから選択することができるようになった。
  7. iPod での音楽再生では、リスト表示の際にもアルバムアートが表示されるようになり、ユーザが再生コントロールを呼び出すと、現在再生中の曲やポッドキャストのさらに詳しいメタデータが表示されるようになった。 ユーザはまた、あらかじめ設定されたプレイリストを iTunes から同期したり、シンプルな iPod スタイルの「on the go」プレイリストを作成できるだけだったのが、デバイス上でプレイリストを作成できるようになった。
  8. ソフトウェアによるオリエンテーションロックは、iPad のハードウェアスイッチと同じく、デバイスを地面にたいして垂直に構えた際に(ベッドに横になったときなど)、iPhone が水平モードと垂直モードとを行ったり来たりしてしまわないようにできる。 iOS 4 では、このオリエンテーションロックは、ホームボタンをダブルクリックして左にスワイプすると表示される。 このメニューで利用できるのは、バックグランドでのオーディオコントロールがある。これは iPod の再生では標準だが、Background Audio マルチタスキングをサポートするサードパーティ製アプリでも利用できる(これは iPad ではまだ利用できない)。
  9. GPSWi-Fi 三角測定を利用して現在のアプリがユーザの位置情報にアクセスしている場合は、メニューバーに新しい Location Services アイコンが表示される。 Apple はプライバシー的な理由からこれをレポートし、アプリはオペレーティングシステムを経由したロケーション検出を実行するにあたって許可を得るように強制している。そのためアプリは、Location Services が有効になっていることを気づかれないまま、ユーザの位置情報を追跡することができないようになっている。 iOS 4 では、特定のアプリが場所を特定できないようにするための、アプリごとの環境設定ができるようにもなっている。 ユーザの位置情報を検出するアプリは、環境設定の Location Services ページにグラグた立てられ、ユーザがどのアプリが位置情報を追跡しているのかを確認できるようになっている。 iPad の Location Services 環境設定には、この新しいきめ細かなコントロールはまだ表示されるようにはなっていない。

iOS 4 の機能

ページ 2 / 3: iOS 4 における新しいユーザ機能

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AppleInsider: Apple、iOS 4 for iPhone、iPod touch をリリース

原文: Apple releases iOS 4 for iPhone, iPod touch

By AppleInsider Staff
Published: Monday, June 21, 2010 01:00 PM EST
Apple 最新の iPhoneオペレーティングシステムアップグレードが月曜日リリースされた。マルチタスキングやフォルダといった 100 種類を超える新機能が含まれている。
iOS 4iPhone 4iPhone 3GS および iPhone 3G、さらに最近の iPod touch に対応している。 ただし、マルチタスキングは iPhone 4 および iPhone 3GS のみでしか利用できない。 iOS 4 はまた、新しい 99 ドル 8GB iPhone 3GS と、今週木曜日[和訳] に発売される次世代 iPhone 4 にプリインストールされる。
月曜日にリリースされたビルドは 8A293 で、先週の iPhone 4 イベントで 開発者らに配布された ゴールドマスター候補と同じだ。 完全な IPSW アップデートファイルは 579MB で、iTunes 経由で入手できる。
Apple が紹介している iOS 4 の新機能は次のとおり:

  • マルチタスキング: フォアグランドアプリのパフォーマンスを犠牲にしたり、バッテリーを不必要なまでに浪費することなく、好きなサードパーティ製アプリを複数実行して、即座に切り替えられるようになる。
  • フォルダ: ドラッグ・アンド・ドロップというシンプルなやり方でアプリをフォルダに整理できる。 好きなアプリに素早くアクセスしたり、最大 2160 種類のアプリを閲覧・管理できる。
  • さらに改良された Mail: すべてのアカウントからのメッセージを統合受信トレイで確認し、スレッドごとにメッセージを整理し、サードパーティ製アプリで添付ファイルを開くといったことなどが可能。
  • iBooks iBooks は、単に素晴らしい電子ブックリーダーというだけでなく、昼夜をとわず本を探して購入するための理想的な場所。


iOS 4


  • プレイリストの作成: iPhone を使ってその場でカスタムプレイリストを作成。
  • 5x デジタルズーム: 被写体に最大 5 倍までズームアップ。
  • ビデオではタップしてフォーカス: ビデオ撮影時、ディスプレイをタップしてどこにフォーカスするかを選択できる。
  • 写真での人々と撮影地: 写真を人別に、あるいは撮影地別に閲覧できる。
  • ホーム画面の壁紙: ホーム画面の背景画像を変更できる。
  • ギフトアプリ: 友人や家族にアプリをギフトとして送れる。
  • スペルチェック: Mail、Notes などで機能する内臓のスペルチェッカ。
  • ワイヤレスキーボードのサポート: iPhoneBluetooth ワイヤレステクノロジーをベースにしたキーボードをペア可能。
より詳しくは ファーストルック: Apple の iOS 4 for iPhone、iPod touch[和訳] を参照のこと。

AppleInsider: Apple、オープンスタンダードな iPhone 4 のための FaceTime ビデオチャットを発表

原文: Apple announces open standard FaceTime video chat for iPhone 4

By AppleInsider Staff
Published: Monday, June 7, 2010 02:40 PM EST
Apple CEO の Steve Jobs は月曜日、トレードマークともなっている「one more thing」として、Apple業界標準とすることを目論んでいる FaceTime と呼ばれるサービスを利用して同社のデザイナーである Jony Ive とビデオ通話をしてみせた。
Jobs は腰掛けて、新しい iPhone から電話をかけた。 自らのイメージが隅の小さなボックスに表示される一方、画面全体に Ive が映し出された。

FaceTime が機能するには Wi-Fi が必要で、iPhone 4 携帯電話間で可能だ。 Jobs 曰く、Apple は携帯電話会社に対して「もう少し働きかけ」が必要だとのこと。
同社によると、FaceTime をオープンな業界標準にする計画で、他のデバイスとのコミュニケーションでも可能になるかもしれない。

iPhone 4
設定はいっさい必要なく、誰かとの通話中にも機能を有効にできる。 FaceTime ではフロントカメラでもリアカメラでも利用できる。

iPhone 4

iPhone 4

iPhone 4

iPhone 4
Apple はこの携帯電話のための新しいコマーシャルを披露した。そのなかではビデオチャット機能のもつ可能性が示されていた。 あるデモでは手話で人と話している人のものがあった。

AppleInsider: iPhone 4 の内側: FaceTime ビデオ通話 [Page 2]

原文: Inside iPhone 4: FaceTime video calling [Page 2]

By Daniel Eran Dilger
Published: Tuesday, June 8, 2010 06:00 PM EST
なぜ FaceTimeWi-Fi のみなのか
FaceTimeiPhone 上でしていることは、ビデオチャットを簡単に開始しインターネット越しに使えるようにすることだ。しかもハイクオリティで。 しかしそれは、NAT の境界を超えてビデオチャットを機能するようにする際に直面するのと同じ問題にぶちあたるだけでなく、FaceTime を 3G モバイルネットワークという信頼性の低い限られた帯域幅で動かそうとすると、その障壁はあまりにも高いものになってしまう。それは主に、モバイルネットワークが現時点では依然として大幅に高価なものだからだ。
3G ネットワーク上で動作する既存のビデオチャット携帯電話は通常、一分あたり .50 から一ドルを課しており、広く普及するようなものではない。 加えて、ビデオ通話は Apple のお膝元である AT&T ネットワークでは機能しないだろう。すでに携帯通話を処理するだけでも充分な困難に直面しているくらいだ。
今の時点で iPhone の新しい FaceTime 機能は Wi-Fi に限定されており、これが変わるのは 2010 年以降のいずれかの時期になり、それまでにキャリアー各社はそのアイデアを暖めて、価格を抑えつつ通話領域を劇的に広げなければならないことが伺える。
しかし、ビデオ通話をしたい人々のほとんどは家庭やオフィスの Wi-Fi にアクセスすることでそれが可能になり、そうした制限にまつわる課題はやや軽減されることになる。 Appleビデオチャットをモバイルキャリアーへのテザリングサービスとしてではなく、VoIP アプリケーションとして開拓していることも興味深い。 これによって iPhone(および iPod touch)は、今日の携帯ネットワークの音声中心的な性質にまっこうから立ち向かう可能性を秘めたデバイスという位置づけになるからだ。 次世代の LTE モバイルネットワークが登場すれば、その IP ベースの接続方法はモバイルネットワークは電話方式から単なるワイドエリアなブロードバンドデータプロバイダへとシフトすることになるだろう。
Apple は同様に、SMS や MMS といったモバイル標準よりも iPhone 上でのインターネット電子メールを後押ししている。こうした SMS や MMS は、実際に配信されるデータ量とは大きくかけ離れたメッセージあたりいくらという時代遅れの料金体系を引きずったままだ。

Apple FaceTime

Skype や Fring はどうなのか?
iPhone(そして Mac デスクトップ)はすでに Skype を経由したビデオ通話をサポートしている。 Apple は、SkypeiOS 4 のバックグランドで実行でき、Wi-Fi に加えて 3G ネットワーク上上でも実行できるようなサポートさえ追加している。 それではなぜ Apple は独自に Skype のライバルとなるようなものを導入しようとしているのだろうか? しかも 3G 越しには機能しないようなものを?
まずはじめに Apple はビデオ通話アプリを深いレベルで iPhone 4 の機能と統合したがっていた。こうすることで、ふたつのカメラを最大限活用し、すっきりとした「シンプルに一回のタッチ」を実現し、素晴らしい画質を実現するように高度に最適化できる。 さらに、オープンスタンダードも推進したい。 iChat AV や FaceTime とは違って Skype はオープンスタンダードをベースにはしていない。 同アプリケーションは、Skype が所有する完全に閉ざされたプロプライエタリプロトコルを使用している。
Skype がそのネットワーク上で利用を公式に認めているクライアントアプリはクローズドソースだ。 Skype はまったく外から見えない方法で NAT 問題を解決し、メッセージ暗号化セキュリティーを処理している。 それは実質的にルータを信頼せず、ネットワークに到達するために独自のメカニズムを利用している。
同社の主張によると、ピア・ツー・ピアネットワーク内でつながっているユーザからなる完全な分散型システムを利用し、ユーザが他のユーザを指定してセッションを開始する iChat のようなポイント・トゥ・ポイントではなく、ユーザ間で負荷を共有しているという。 しかし、このテクノロジーのいずれも、セキュリティーが担保できるようにピアレビューには開かれていないし、他者によってオープンに実装できるようにもなっていない。
これがために、iChat を備えたデスクトップおよび FaceTime を備えた iPhone 4 の双方で、Apple による Skype の代替という余地が生まれるのだ。この戦略は、MicrosoftプロプライエタリWindows Media Audio に対抗するかたちで同社がオープンな MP3/AAC オーディオを採用した際の立ち位置や、同社がインタラクティブコンテンツをめぐって Adobe Flash ではなく HTML5 をサポートした際のやり方に非常によく似ている。 そのいずれの場合にも Apple は、あるベンダー一社によって推進されているクローズドなスタンダードに依存するのではなく、オープンな相互運用性を構築すべく動いていた。
これを理解しないカスタマーは、こうした戦略を MicrosoftAdobeSkype への「攻撃」として見なしてきたが、こうした努力が実は市場を開かせ、Apple や他の企業が競い合うとともに協力できるようにもなってきたのだ。
Skype が異なるのは、WMA/WMV や Flash とは違い、AppleiPhone 4iOS 上で Skype をブロックしていないことだ。 Skype は、Apple 独自のハードウェアを推進するにあたっての直接的なライバルではないからだ。 Skype は、FaceTime (以前の携帯電話や 3G 通話をサポートしていない)が対象とはしていない課題に対処するような製品を提供している。 そして Skype はすでに完成され、携帯市場においてプレーヤーとして機能し防御もされている。
Fring のような他の iPhone VoIP アプリは、Skypeプロプライエタリプロトコルをサポートし、SIP といったオープンな代替ネットワークプロトコルもサポートできる。 それによって、Fring や他の企業は、Skype と標準ベースの FaceTime の双方をサポートした複数ネットワークに対応した VoIP アプリを作成することもできるようになる可能性が出てくるのだ。

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AppleInsider: iPhone 4 の内側: FaceTime ビデオ通話

原文: Inside iPhone 4: FaceTime video calling

By Daniel Eran Dilger
Published: Tuesday, June 8, 2010 06:00 PM EST
お馴染みとなった「one more thing」として、Apple CEO の Steve Jobs は、Wi-Fi 越しに機能する簡単なビデオチャットアプリとして新しい iPhone 4 対応の FaceTime を紹介した。 ここでは、なぜそれが重要なのか、どのようにオープンなのか、なぜ現時点では Wi-Fi のみなのか、それが Skype といった他の Voice over IP ビデオ通話アプリとどう違うのかを見ていくことにする。

FaceTime & iChat AV
Apple は、FaceTime を新しい iPhone 4 ハードウェア専用の iChat ライクなサービスとして披露した。 しかし正確にいうと iChat ではない。両者ともに共通する点は多いものの、現時点では iPhone 4 からデスクトップ Mac iChat クライアントへ通話する機能は備えていない(もっとも iPhone 4 の発売後から一年ほどでそうなることはほぼ間違いないだろう)。
AppleMac iChat はもともと AOL のプロプライエタリな AIM ネットワークのための IM クライアントだった。 Apple はその後、iChat を拡張してオープンな XMPP "Jabber" インスタントメッセージングをサポートするようにした。 さらに、iChat AV で Internet Engineering Task Force の SIP(Session Initiation Protocol)に対応して、標準ベースのビデオチャットとビデオカンファレンスを可能にした。
AppleMac iChat AV クライアントは、ビデオカンファレンス用製品として、ほとんどコストをかけることなく例外的に優れた画質を誇ったものの、今日のインターネットにある致命的な壁にぶち当たった: NAT(Network Address Translation:ネットワークアドレス変換)だ。 企業および家庭向けのルータはともに、内部向け IP アドレスをオープンなインターネットからは見えないようにしているため、ビデオチャットアプリケーションがインターネット越しに他のホストに対して双方向なリッチメディアストリームを備えたサーバおよびクライアントとして機能することが難しくなってしまっているのだ。

Apple FaceTime

NAT の問題
iChat AV が信頼性を持ってインターネット越しに他のクライアント(AOL といったビデオチャット用標準という同じく複雑なソフトウェアを実行する、互換性のある PC クライアントを含めて)と接続できるようにするためには、たいてい NAT をまたがなければならない。 これは特に複雑なことになる。というのも、それぞれの NAT が少しずつ違った振る舞いをするため、異なるタイプのルータやその異なった NAT の実装方法を処理するにあたってのあまりにも数多くの技術的課題が存在するのだ。
異なった種類の NAT が存在し、それらで理想的な相互運用性を実装するための完全な標準がまったく存在しないのだ。 加えて、ある企業が独自に定めたセキュリティポリシーによって、個人が独自にサーバを設定できないようになっていることもあり得る。これはビデオチャットにとっては問題だ。なぜなら iChat AV はリモートクライアントがトランザクションを開始するためにはサーバのように振る舞う必要があるからだ。
AppleiChat は独自の SNATMAP プロトコルを使って、クライアントがその外部向け IP アドレスを決定し、リモートホストファイアウォール越しにコミュニケーションを返すことができるようにポートマッピングを開けるようにしている。 Apple はまた、もともと Microsoft が定めた NAT ポート変換のための標準で、さまざまなコンシューマ向けルータ・ファイアウォールメーカーがサポートしている UPnP(Universal Plug n Play)も利用している。
これらを利用して iChat AV のトラフィックを NAT ルータを突破できるようにしているものの、それらが必ずしも企業向けルータや家庭向けルータ製品の全モデルでサポートされている訳ではない。 Mac OS X LeopardApple は、新たな IETF NAT 変換標準である ICE(Interactive Connectivity Establishment)へのサポートを追加することでものごとを改善してきたが、シンプルなビデオチャットを設定しようとする非テクニカルなコンシューマをめぐる問題が横たわっている。

FaceTime をオープンにする
Apple は、iPhone でのビデオ通話を実現するにあたっても同じような問題に直面している。 これは他のベンダーも同じことだ。 Apple は、モバイルビデオチャットを相互運用可能なビデオチャットセッションのオープンスタンダードにしたいと望んでおり、そのためにそのサービスを非常に Apple ぽい響きのある iChat と呼ぶのではなく、中立的な FaceTime という名称を採用した。
しかし、実質的に FaceTimeiChat AV for iPhone だ。 Jobs は、FaceTime が機能できるようにしているテクノロジーを「アルファベットのスープ」として表現していたが、その多くは iChat AV にも共通している。例えば:

  • H.264AAC:同社の ISO/MPEG ビデオ・オーディオコーデック(ちょうど iChat のように)。
  • SIP(Session Initiation Protocol):iChat AV で利用されている VoIP のためのオープンな IETF シグナリングプロトコル
  • STUN(Session Traversal Utilities for NAT):さまざまに異なる NAT に対処するための IETF 標準。
  • TURN(Traversal Using Relay NAT):NAT の背後にあるクライアントがサーバのように着信要求を受け取れるようにする IETF 標準。
  • ICE(Interactive Connectivity Establishment):NAT ファイアウォール越しに接続を確立できるようにする IETF 標準。
  • RTP(Real-time Transport Protocol):VoIP にメディアストリームを配信するための IETF 標準。
  • SRTP(Secure RTP):暗号、メッセージ認証、データストリーム保全を提供するためにデザインされた IETF 標準。
AppleFaceTime は、ビデオチャットのための斬新なまでに新しいプロトコルではなく、 iChat の標準をベースとした基盤からの進化であり、すでにデスクトップ PC 上でも互換性のあるクライアントとして AOL によって実装されているものだ。 そのため、他の携帯電話ベンダーが iPhone 4 携帯電話とも機能する FaceTime 互換クライアントを作成すると考えても行き過ぎではなく、もし Apple 独自の iChat AV が最新の FaceTime プロトコルと動作してデスクトップからモバイルビデオチャットができるようにならないとしたら、そちらの方が大きな驚きとなることだろう。
FaceTime を受け入れる必要のある企業は、Cisco(すでに関連する IETF プロトコルへのサポートを進めている)のようなネットワーク機器企業や、Nokia、RIM、HTC そして Motorola(すでに iPhone の機能、見た目、仕様に追いつこうと懸命になっている)のような携帯電話製造企業だ。 AppleFaceTime を売り込むにあたっての最良の方法は、コアテクノロジーオープンソース実装を送り出すことだろう。ちょうど同社が WebKit を送り出した時や、BSD が標準の IP ネットワーキングスタックを送り出した時のように。
AppleWebKit が成功した理由を理解しているが、必ずしも必要がないのに、ライバルに対してソフトウェアを提供する用意があるかまでは不明だ。 その場合、すべてが互換性を損なうようなさまざまなバグをもった FaceTime 互換デバイスが乱立する結果を引き起こすかもしれない。 もちろん、そのような状況によって同社が信頼性の高い FaceTime 携帯電話の主要ベンダーとなることで、Apple に資する可能性もなくはない。

Apple FaceTime

ページ 2 / 2: なぜ FaceTimeWi-Fi のみの対応なのか、Skype や Fring はどうなのか?

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AppleInsider: Microsoft、Office for Mac 2011 は 32 ビットのみになると明かす

原文: Microsoft reveals Office for Mac 2011 will be 32-bit only

By Slash Lane
Published: Wednesday, June 9, 2010 10:55 AM EST
今秋のリリースが予定されている Microsoft の Office for Mac 2011 について、同製品は 32 ビットの製品にしかならない見込みだ。その理由は、同社が完全には Mac OS XCocoa に移行できていないからだという。
MicrosoftMac OS X 開発チーム、MacBU は今週、公式ウェブサイトをアップデートして、同チームのメンバーが 今週の WWDC 2010 に参加する予定でありApple による開発者向けセッションに参加することを明らかにした。 同チームはまた、Windows 版と Mac 版 Office の互換性向上を焦点にしており、つまり Mac での 64 ビットオプションは今年は実現しないことを明らかにした。
「われわれの作業は互換性向上であり、まだユーザーインターフェース全体の Cocoa への移行が完了していない」と MacBU のプロダクトユニットマネージャである Jake Hoelter は書いている。 「そして、Appleフレームワークでは 64 ビット版をビルドするにはまず Cocoa に移行を完了していることが求められているため、Office 2011 は 32 ビットのみとなる。」
リボンユーザーインターフェースなど最新の Office for Mac にある要素は、Mac OS X の開発レイヤーである Cocoa 上でビルドされている。 また すべてが新しくなった Outlook は、Mac のための Cocoa を利用してゼロかビルドされている。
Hoelter が言うには、Office for Mac 2011 は Cocoa であろうとなかろうと「素晴らしい」ルック・アンド・フィールを実現しているという。 彼は、64 ビットアプリケーションを持つことの最大のアドバンテージは大きなメモリー容量だという。
「典型的あるいは平均よりも大きな文書を扱っているユーザのほとんどはパフォーマンスの違いに気づかないだろう」と彼。 「64 ビットは、満百万というセルにデータを入れた非常に大きな Excel ファイルを作成するとか、何千枚もの高解像度イメージを持った PowerPoint プレゼンテーションといった、巨大なデータ量を扱う人にとっては違いが出てくるかもしれない。」

Office 2011
彼はまた、Windows Office Engineering チームが Office for Windows を購入するほとんどの人は、たとえ 64 ビット版が利用可能だとしても 32 ビット版のままでいた方がいいと推奨していることも指摘した。 同チームによると、Windows での 32 ビット版がもっとも優れた互換性を提供しているという。
Hoelter が言うところでは、MacBU チームは、アプリケーションに Mac ユーザの求めるルック・アンド・フィールを与えることが簡単にできるという理由から Cocoa しているという。 彼は、将来的には同チームはさらに Cocoa へと移行する計画だという。
「それでも」と彼。「カスタマーは Office 2011 でもたらされる互換性、コラボレーション機能、ユーザ体験の向上に心から喜んでくれると考えている。」
この Office for Mac の新しいバージョンでは、その Windows 版との 機能ギャップが大きく改善される[和訳] ことが約束されており、それには Exchange のサポート、Office 2008 では削除された Visual Basic for Applications の再組み込みがある。 また、Office 2010 for Windows に似た外見となっており、先の Windows 版にあったような リボンインターフェース[和訳] も追加されている。
Office for Mac 2011 にはまた、複数のユーザーが異なる場所からでも Word や PowerPointExcel ファイルで作業できるようにするコラボレーションツールも加えられている。 Microsoft Web Apps へもアクセスでき、インターネット接続のあるあらゆるマシーンから Office ドキュメントを共有できるようになっている。 さらに Microsoft は、新しいリボンインターフェースはクラシックな Mac メニューと標準ツールバーとの「両方の世界のベストな部分」を提供する、としている。