AppleInsider: Apple の 4GB iPod nano の予測原価は $72 (更新済)

原文:Materials cost for Apple's 4GB iPod nano estimated at $72 [u]
By Katie Marsal
Published: Wednesday, September 20, 2006 11:00 AM EST

iSuppli が行った Apple Computer の新型 4GB iPod nano デジタルミュージックプレーヤの分解から、先代プレーヤと比較してコスト削減がすすみ、より大きな能力を備えていることが明らかになった。

これは予測されていたのだが、主要な変更点 のひとつは、先の PortalPlayer Inc. が提供していたセミカスタム版 PP5021 System-on-Chip (SoC)に代わって新しい Samsung Electronics 製 SoC が採用されていることだ。新デザインにはまた、先代と同じ供給元による複数のカスタマイズ版チップが搭載されている。iSuppli によると、それらのチップとして、オーディオコーデックには Wolfson Microelectronics plc および電源管理に現在は NXP Semiconductors と呼ばれる Philips があげられるという。

Samsung SoC が nano チップの中では出色

iSuppli によると、Samsung SoC は ARM Ltd. のマイクロプロセッサをベースにしており、フラッシュディスクコントローラを備えているという。この部分はかつて Silicon Storage Technology Inc. が供給する別の部品で構成されていた機能だ。先代の PortalPlayer と SST からの合計コストが $8 だったのに対して、Samsung SoC は $5.40 ではないかと同社は推計している。

新型 iPod nano に供給している他の主要なセミコンダクタ 2 社を紹介するにあたって iSuppli は、Apple はサイズと消費電力の削減を目指していたようだ、としている。Wolfson オーディオコーデック WM8750S はカスタム版で、第 1 世代の nano で採用されていた同社標準の WM8975G よりも小型だという。また同様に Philips PCF50635 電源管理 IC も、先代の nano で採用されていた同社標準の PCF50607 よりも小型のダイを使用しているという。

その他の部品について新型 nano は 第 1 世代のデザイン で採用されていたのと同じセミコンダクタを採用しているという。こうした部品には、Cypress Semiconductor Corp. の Programmable SoC (PSoC) マイクロコントローラや、同プレーヤを特徴付けていた ClickWheel インターフェースの供給問題から昨年採用された同社の CapSense テクノロジがある*1

「デザイン変更およびコンポーネント価格の下落から、Apple はリリース時点で $199 する新型 4GB nano の Bill-Of-Materials (部品価格:BOM) を $72.24 へと下げたのではないか、と iSuppli では推測している。このコストは、第 1 世代の 2GB nano がリリースされた際の $89.97 よりも低いコストとなっている」 と iSuppli の分解サービスマネージャ兼シニアアナリストである Andrew Rassweiler は記している。

iPod nano 分解比較

ビデオはどこ?

iSuppli によると、Samsung SoC の採用は予測できたものの、そのチップにビデオサポートがない、と指摘している。また新型 nano 全般について言えることだが、SanDisk をはじめとする Apple のライバルらがフラッシュメモリベースのプレーヤにビデオ機能を追加しようと迅速な対応を行っていることを考えると、やや驚きだとしている。

「ビデオをサポートしていないということから、ハードディスクベースの新型 iPod で引き続き PortalPlayer と Broadcom Corp. チップの組み合わせが採用されている理由を一部説明できるかもしれない*2」 と同社はしている。

iSuppli はまた、ビデオ機能が付いた新型のハードドライブベースの iPod の分析も行っており、先代と比較しても、より明るくなったディスプレイ以外で設計変更あるいはサプライヤの変更はなかったとの結論に達している。同社によると、このことから Apple がより革新的な製品のリリースを遅らせても、引き続き競争力を保てるだけのコストパフォーマンスを備えていることがわかるという。

Apple's 2G iPod nano の解剖図

Apple は最低でもマイナーアップデートを施して、iTunes からの映画ダウンロードサービス立ち上げをサポートする必要があった。しかし最新の iPod は、短編ビデオだけでなく映画も視聴したい消費者が必要とする、本当の意味でビデオ再生に向いたプレーヤの足元にも及ばない」 と iSuppli で消費者家電を専門とするシニアアナリストである Chris Crotty は書いている。

Crotty は、製品を第 3 四半期というタイミングに投入することで市場を当惑させてしまうのではないか、なぜなら Apple はホリデーシーズン前にまだ追加の新しい iPod を登場させることもできるからだ、と指摘している。「Apple はまた、先にプレビューを行った iTVバイス -- iTunes のビデオコンテンツをワイヤレスリンクを通じてテレビで再生できる機器 -- の投入まで新製品の投入を遅らせることもできる」 とも付け加えている。

iSuppli は、Appleフラッシュメモリベースのプレーヤにビデオ機能を追加せず、フラッグシップ iPod の新デザインを投入しないのは、同社の照準が携帯型の MP3 プレーヤからリビングルームへと移ったからなのかもしれない、と考えている。同社によると、このような照準変更から Apple が MP3 プレーヤ市場での覇権に自信を持っていることが伺える、とも指摘している。

AppleInsider は水曜日の午後に、別途 iPod nano の分解を、写真と共にお届けする予定だ。

*1:These parts reportedly include Cypress Semiconductor Corp.'s Programmable SoC (PSoC) microcontroller and its CapSense technology that last year replaced Synaptics's technology as the circuitry behind the player's characteristic ClickWheel interface.

*2:That lack of video support also may partly explain why the new hard-disk-drive based iPod continues to utilize the same combination of PortalPlayer and Broadcom Corp. chips,