AppleInsider: 詳細レビュー: Apple の iPad と iPhone OS 3.2 [Page 5]

原文: In-depth review: Apple's IPad and iPhone OS 3.2 [Page 5]

By Daniel Eran Dilger
Published: Friday, April 9, 2010 11:05 AM EST

iPad ソフトウェア: iPhone OS 3.x の機能と変更点
AppleiPhone OS 3.2 で iPad をリリースしてきた。これは iPhoneiPod touch で利用されている現行の 3.1.3 リリースにインクリメンタルな拡張をほどこしたものだ。 AppleInsideriPhone 3GS の独自 レビューiPhone 3.0 のコア機能を紹介している。
昨年発表された iPhone OS 製品と iPad との間にある変更点は四つのカテゴリーに分けられる:


1) iPad のための完全に新しくなったヒューマンインタフェースガイドライン
この新しい HIG によって、iPad がアプリのためのより大きなフォーマットプラットフォームとして設定されている。 これらガイドラインによって、従来の iPhone アプリ(Mail や Calendar、Mobile Safari など)をどうやって iPad アプリとしてスケールアップできるのか、そして Mac OS X デスクトップアプリ(iTunesiWork)をどうやってネイティブの洗練された iPad アプリにできるのかが示されている。

2) 一部のインターフェースの調整と新機能。
こうした調整のなかには、今後の iPhone OS アップデートを通じて iPhoneiPod touch に登場するかもしれないものもある。 例えば、iPad の拡張されたテキスト選択やコピー・ペーストシステムではスペルチェックや辞書定義、他のアプリ固有の機能も提供している。 そしてもちろんのことながら、新しい Bluetooth キーボードのサポートもある。

3) iPad に意図的に盛り込まれなかったいくつかのアプリ。
例えば、内蔵マイクやマイク対応ヘッドフォンのサポートが組み込まれているにもかかわらず、Voice Memo アプリの類はいっさいバンドルされていない(サードパーティ製オプションはある)。 同様に、Apple は Voice Command のサポートにも手を付けていない(これはもしかすると、iPod の音楽再生のナビゲートに使うことができるとしても、その価値がおもに電話をかけることに結びついているからかもしれない)。
またコンパスアプリもない(ただしデジタルコンパスはあり、Maps で動作する)。 Nike+ へのサポートもない(当然のことながら、あまり意味を持たないが)。 そして最後に、Calculator や Clock、Weather そして Stocks など、iPhone から持ち込まれたウィジェットアプリもいっさいない。

4) 最後に、一般的にかけている機能。
これらの一部は Apple が木曜日に発表した iPhone 4.0 で実現される予定だ。 こうした機能には、バックグランドで動作するサードパーティ製アプリ、アプリのフォルダ整理、統一受信箱や Exchange の改善といった Mail への拡張、Game Center 機能といったものが含まれている。
以下のセクションでは、これら四つの側面のそれぞれを、従来の iPhone および iPod touch との比較で眺めていこう。


iPad ソフトウェア: ヒューマンインタフェースガイドライン&アプリデザイン
iPhoneiPod touch の小さな 3.5" スクリーンからより iPad の大きなキャンバスへの移行を遂行するにあたり、Apple が成し遂げたかもしれないことがいくつかある。 iPad では、1990 年代の PC デスクトップのウィンドウのように浮かせることで、数多ある iPhone アプリを画面上に一度に実行するようにすることもできたはずだ。 幸いなことに、Apple はそうはしなかった。
替わりに、iPad ではユーザが iPhone アプリの巨大なライブラリーを実行できるように、Apple は自社の iPhone Human Interface Guidelines にまったく新しい拡張を施した。 この結果、小型画面で実行するようにデザインされた従来の iPhone アプリもうまい具合に実行できるような、iPad ソフトウェアの新しい層が形成されることになった。 iPad アプリの感触がつかめたら、その大きな画面で iPhone アプリを使いたいとは思わなくなるだろう。
数多くの iPhone ゲームはまったく問題なくプレイできるし、画面一杯にピクセルを倍増させてもかなり良い見た目にはなるものの、ユーザは間違いなく iPad に特化したソフトウェアでその新しいデバイスの魅力を最大限に引き出したくなるはずだ。 そして、App Store にはそのための選択肢はたくさんある。
Apple による iPad のための HIG では単に iPhone アプリを大きくしようとするものではない。 事実、アプリの全般的なデザインは大幅に変更され、iPad アプリがスマートフォンアプリのスケールアップ版ではなく、デスクトップアプリのような感触を与えるようになっている。
その例のひとつがツールバーだ。 iPhone の Mail では、アカウント、メールボックス、そして電子メールがシンプルなリストとして表示される。 個々のメールは画面下のツールバーとともに表示される。 しかし iPad では、画面を分割してメールのリストとメールの詳細を表示するためのスペースが十分にあるだけでなく、HIG では画面上にツールを表示するよう指定しているのだ。
動揺に、Safari のようなアプリもツールバーを画面上に表示するだけでなく(下図参照)、メニューバーを使って、デスクトップバージョンの Safari に似たブックマークバーといった新機能も提示している。 その一方で、iPadSafariiPhone のスタイルも取り込んでおり、画面資産を多く消費してしまうデスクトップスタイルのタブを表示するのではなく、タブ化された複数ページブラウジングシステムを採用している。

iPad HIG

iPad ソフトウェア: ヒューマンインタフェースガイドラインドキュメンテーション
AppleiWork アプリはドキュメントを扱うための HIG 原則を分かりやすく明らかにしている。 iPad 上でドキュメントはアプリケーションの一部であり、自分でファイルシステムのなかを探さなければならないようなものではない。 手動でドキュメントを保存するのではなく、アプリがあなたの作業の合間に保存し、あなたが行ったすべての記録を保持するので、後になってからでも順次取り消すことができる。
ドキュメントを iPad アプリにもってきたり、外に出したりするにはいくつかの方法がある。 ひとつは電子メールだ。 Mail からドキュメントを QuickView して、Mail から他のアプリを呼び出して開くことができる。 iWork ドキュメントを Appleiwork.com サービスにエクスポートすることもできる。ただし、まだ問題なくスムーズに動く段階ではない。
三番目として、Apple の「File Sharing」という iTunes で表示される機能(下図のように同期する際に表示される iPad の「Apps」タブ内に隠れている)を使って、ドキュメントを特定のアプリから、あるいはアプリへとコピーできる。

iPad File Sharing
AppleiPad でドキュメントを処理するために割り当てた手法から、同社がどうユーザが iPad を使ってほしいかが見えてくる。 つまり iPad は手持ちのノートブックを置き換えるためにデザインされたスタンドアローン型コンピュータではないということだ。 外出先でも仕事ができるような、高度な携帯ツールだが、コンテンツの出し入れをするためにアップリンクするための母艦が必要なのだ。
iPad からドキュメントをメールできるというのはかなり便利だが、電子メールにパックしない限り無線で iPad から直接ファイルを共有する手法がないのだ。 しかし、サラリーマンにインタビューしてみれば、それこそが彼らが実際にやっていることなのだ。 多くの人はどうやってファイル共有やワイヤレスネットワークを使ったら良いのか分からないが、添付ファイルをメールするというアイデアは理解できる。 そして、それが iPad のやっていることなのだ。
主にドキュメントを作成する iWork のようなアプリに加えて、写真といったメディアファイルを扱うアプリもある。 こうしたアプリは、ユーザにファイルのリストとして画像を探させるのではなく、ユーザのフォトライブラリーを Media Browser で閲覧できるようにしてくれる訳だ。

ページ 6 / 10: iPad ソフトウェア: -- ヒューマンインタフェースガイドライン&フレキシブルな方向; iPad ソフトウェア: -- 新たな調整&特徴; そして iPad ソフトウェア: 明らかに見当たらないアプリ。

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