AppleInsider: 詳細レビュー: Apple の iPad と iPhone OS 3.2 [Page 8]

原文: In-depth review: Apple's IPad and iPhone OS 3.2 [Page 8]

By Daniel Eran Dilger
Published: Friday, April 9, 2010 11:05 AM EST

iPad の全般的な印象
しっかりとした手応えがあり、持ち運びやすく、さらに理不尽なほど弱々しくはない。 あらゆるメディアが再生でき、ニュースや情報を苦もなく閲覧でき、アートワークやシリアスなビジネス文書も作成できる。 苦労しなくてすむコンピュータなのだ。
いくつか予測されていた機能が削ぎ落とされていはいる(それが PC ラップトップになってくれるものと思っていた場合は特に)。 あらゆるものの 80% を非常にうまくこなすことを目的としており、いずれにせよ恐らくする必要がない残りの 20% はほとんど無視している。 それは全てであろうとすることを放棄しているのだ。 それは、それが最高にうまくこなせることを本当に得意とするようになっているわけだ。
これは明らかに素晴らしいエンジニアリングの賜物だが、では誰がこれを欲しがるのだろうか?  単にもの新しさから iPad に飛びついたアーリーアダプターを別とすれば、一般人がそれにどう反応するのかはまだ定かではない。
Apple にとっては、ネットブックカテゴリー(とその価格帯)の代替として金銭的な損失をともなうことなく販売できる製品を手にすることにはなるものの、MacBook の売上げをさらっていくようにはデザインされていない。 一部のユーザは、それが携帯電話でないことに腹を立てているようだし、 他のユーザは、デスクトップ PC と比較してそもそもなぜ制限があるのか理解できていないと同時に、400 ドルのネットブックに付きものの欠点を忘れてしまっている。
この現実から、iPad とは Apple が以前に導入したがっていながら、そうしなかったシステムの新世代だと言えそうだ。 5 年前に「Safari Pad」なるコンセプト製品をめぐって噂されていたデザインは、市場に姿を現すことはなかった。
Apple が本当に新しい何かを生み出すためには、ユーザにそのアイデアを徐々に売り込んでいく必要があることを認識していた。はじめは、そのテクノロジースマートフォンへと小さくし、2007 年の iPhone 発表当時に存在していたスマートフォンの惨憺たるラインアップに対抗して売り込んだ。 スマートフォンについてはすでに市場が機能していたものの、タブレットはけっして成功していなかった。
しかし iPhone が大量に受け入れられることでコストダウンを実現した Apple は、そのテクノロジーiPod touch の携帯音楽プレーヤーとして生まれ変わらせた。 しかし夢は、教育機関からヘルスケア、さらにはビジネスから余暇を楽しむ消費者までと、幅広い要求に応えられるような、より大きなスケールのデバイスにしっかりと据えられていた。
自社の縄張りのなかで何十億ダウンロードを稼ぎ、ライブラリーに 185,000 タイトルを揃えた App Store での成功があってこそ、Apple はメディア・出版業界へと進出して、まったく新しいプラットフォームへと参加させることができるのだ。 Apple がこうした基礎工事を行っていなかったとしたら、だれもサポートはしなかったはずだ。

ほとんど競争のない iPad の独占的期間
この時点で Apple は、見た目がシャープなタブレットコンピュータを手にしているだけでなく、初代 Macintosh 発表当時にとてもよく似た感じの完全な戦略をも手にしている。しかも、それをサポートするだけのより多くのものとともに。
iPad は技術おたくのなかでも前衛的な人々をワクワクさせているようだが、1990 年代の遺産である自分の PC の一切合切をひとつの画面に詰め込んで、少なくとも彼らにとっては馴染みの問題に対処し続けることができると期待していた人々にとっては困惑のもとであり制限されているように感じられるようだ。その問題とは、 悪意のあるウィルスであり、スパイウェアであり、 保存されないデータの損失を潜在的に抱えたファイルシステム内の探索であり、 オペレーティングシステムの家庭電話をつかった認証などのことだ。
さまざまな iPad 代替製品が今年の市場に登場するだろうが、その多くはタッチに反応するのではなく、よりしっかりとしたプッシュが必要な、よりシンプルな抵抗性スクリーンを採用してくるだろう。その他にも、 Apple は拒否したものの、その他ほとんどの PC メーカーは Windowsx86 アーキテクチャでしか動作しないことから拒否できなかった Intel の効率の悪い Atom プロセッサ(Apple は ARM で実行して iPhone OS として送り出せるように Mac OS Xコンパイルした); 工業デザイン上のさまざまな制約; さらに、App Store や開発者やコンテンツ出版業界らへのその存在感の欠如もある。
AppleiPod で本物の挑戦を受けていたとしたら、それは iPhoneiPad でさえも 1 〜 2 年のうちに同じような挑戦に直面することになっていたかもしれない。 しかしその代わりに Apple は、自社のターゲットをハイエンド市場に定め、ライバルらが似たようなテクノロジーの製品を送り出すために多大な努力を費やさなければならないようにした。
彼らがあたふたとそうしているうちに、Apple は人が買いたいと思うような唯一本物のタブレットを手にするという、ちょっとした合間を楽しめるのだ。 同社がより幅広い市場において、必要なのは 500 ドルの携帯システムであって PC よりもはるかにシンプルなものなのだと確信させられるかどうかは、賭けが難しいゲームだが、まだ決着はついていない。

これまでの Apple 製品との比較
およそ 10 年前 Apple は初代の 5GB iPod ミュージックプレーヤーに対してわずか 12 ドル安いだけの価格(インフレ調整後の価格)を支払うことを人々に納得させた。 その翌年 Apple は、さらに高額な 10GB iPod モデル(今日の価格にして 599 ドルないし 591 ドル)を発表した。
わずか 2 年前 Apple は 16GB iPod touch を 399 ドルで 32GB モデルを 499 ドルで販売していた。 Apple ははるかに大きな容量でより使いやすくなった iPad を、携帯電話会社からの販売奨励金なくしては売れないのではないかと心配する人々は、恐らく Apple のモノを売る能力について忘れているのだろう。
iPad は高速で、使っていて楽しい。 面白いことをやりたい場合の、そのやり方をシンプルにできるようにし、コンピュータで同じようなことをしていたときのように、余計な出費もなく、ウィンドウやファイル、ポインターなど、技術的に細かなことは気にしなくて済むような感じだ。
iPad 体験の最悪の部分は、それに慣れてしまうと、iPhone の小さな画面に戻るのが辛くなることだ。 中毒性があるのだ。 もちろん、フルサイズのノートブックやデスクトップで作業をすることにはある種の慣れがあるし、iPad ではできないようなことを Mac ではできることがたくさんある。

iPad と iPod のこれまでの価格

ページ 9 / 10: 好きになれない点; そして、どの iPad があなた向きか?

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