AppleInsider: Apple、将来の MacBook Pro でデュアルグラフィクス拡張を計画

原文: Apple plans dual graphics enhancements on future MacBook Pros

By Kasper Jade
Published: Friday, February 19, 2010 08:45 AM EST
Apple が今後の MacBook Pro で計画している進化のひとつに、同ノートブックのデュアルグラフィクスチップの処理改善があることを AppleInsider は突き止めた。


デュアルグラフィクスの自動切り替え
より具体的には、Apple は自社の研究所において、統合・独立したグラフィックプロセッサーを自動的に切り替えられる次世代 MacBook Pro をいくつか実際に走らせている、とこの問題に詳しい人々は語っている。
これは現行の MacBook Pro ラインアップとは異なるものだ。現時点では、統合された Nvidia GeForce 9400M コアとよりパワフルで独立した 9600M GT との間で手動で切り替えなければならず、その際にはまず Mac の省エネ設定パネルでいずれかを選択してから、その変更が反映されるように一旦ログアウトしてからまたログインし直さなければならない(下図参照)。
Apple の計画を内々に知る人々も、この新しいテクノロジーMacBook Pro ファミリーへの直近のアップデートに含まれるかどうかまでは確信をもって答えられないものの、同社の計画の一部であることは疑っていないようだ。 Apple が自社のノートブック系列で直面している現行チップセットの状況も、こうした主張を支持している。

グラフィクスの切り替え

チップセットをめぐる逆境
Apple は一年半前に自社の MacBook 系列から Intel のサポートチップセットを放棄してNvidia最新のチップセットテクノロジー を採用するという思い切った決定をした。この Nvidiaチップセットは、システムの中核で GeForce 9400M がバンドルされた統合型 Intel CPU をサポートしつつ、より長時間のバッテリー持続時間と最大 5 倍ものグラフィックパフォーマンスを実現している。 MacBook Pro同様の扱いとなり、よりパワフルな Nvidia GeForce 9600M GT 独立グラフィックプロセッサーを追加して、より高いパフォーマンスを実現している。
この動きは Intelチップセットビジネスの脅威となり、同社が Nvidia に対して最新の Nehalem アーキテクチャーに向けて開発を進めるためのライセンス延長を拒否するにまで至った。 Nehalem は新しい Core i5 や Core i7 プロセッサーの基盤となっているもので、Apple は他のより幅広い業界が自社の今後のノートブック更新時に採用するとされているもので(1[和訳]2[和訳])、そのため Apple のような PC 製造企業はまた再びプロプライエタリーな Intel チップセットとそれに統合されたグラフィックプロセッサーに依存しなければならなくなってしまった。
Nvidia の方はというと、同社が Intel と交わしているライセンスは Nehalem アーキテクチャーも含まれているとして、Intel の主張に異を唱えている。 自社の主張にお墨付きを得たい Intel はこの問題を法廷に持ち込み、Nvidia による Nehalem および Intel の今後のアーキテクチャーと互換性を備えたチップの開発を停止させようと 同社に対して訴訟を起こした。 こうした行動をきっかけに合衆国 連邦取引委員会は昨年 12 月、Intel は自社の影響力を行使して市場での競争を阻害しているとする 独自の訴訟を起こした
現在進行形のこのハイテク論争によって、Nvidia が始めたばかりのチップセットビジネスは音を立てて停止することになり、Apple が進めていた今後のノートブックのデザインにも妨げとなってしまった、とこの問題に詳しい人々は話している。 彼らによると、こうした予期せぬ問題は現行の MacBook Pro 系列がますます古びたものとなっていく原因のひとつになる可能性があるという。というのも同モデルのラインは 16 ヶ月にわたって大幅なアップデートが施されていないからだ。これは平均をはるかに超える長さだ。
それでも Nvidia もただじっと待っているだけではなく、業界全般のノートブックデザインにおいて自社の地歩を確保しておくために今月にも Optimus[ホワイトペーパー PDF]と呼ばれる新しいテクノロジーを投入してきた。 それは次世代 MacBook Pro に搭載されると言われているテクノロジーの説明に驚くほど似ていることから、AppleNvidia との密接な関係を考えると、単なる偶然以上のものであるように見える。
具体的には Optimus は、Intel の統合グラフィックプロセッサーに加えて独立した Nvidia グラフィックチップを含んだ Nehalem ノートブックデザインとともに動作するよう設計されており、あるアプリケーションを実行するにあたって二つのうちのベストな方を選択して、独立した Nvidia チップか統合された Intel グラフィクスコアのどちらかに自動的に負荷を振り分けて、最適なバッテリー持続時間を提供しつつ最高のパフォーマンスを実現する。
「ちょうどハイブリッドカーガソリンエンジンとと電気モーターとを瞬時に切り替えて最適なエンジンを利用するように、Nvidia Optimus テクノロジーもグラフィックプロセッサーに同様のことをするのだ」と Nvidia は説明している。 「Optimus Technology は負荷をそのジョブにとってもっとも効果的なプロセッサーに瞬時に割り振り、独立したグラフィックプロセッサーを搭載した似たような構成のシステムと比較して、最大 2 倍にまでバッテリー持続時間を伸ばすことができる。」

Nvidia Optimus
Nvidia Optimus 採用シナリオの比較
例えば 3D ゲームをプレイしたり、動画を再生したり、グラフィックを多用するアプリケーションを利用する場合は、パフォーマンスの高い独立した Nvidia チップが使用され、ウェブ閲覧や電子メールといった基本的なアプリケーションでは、統合された Intel グラフィックプロセッサーが呼び出される。 Nvidia によると、このテクノロジーは今月のノートブックから出荷が開始され、今後の GeForce チップをはじめ、現行の MacBook Pro にある GeForce 9600M GT チップの後継である GeForce 200M および GeForce 300M シリーズがサポートされているという。
Optimus は公式には現在 Windows 7 しかサポートしていないものの、このテクノロジーの説明を受けた人々によると、それはソフトウェア的な事情によるものであって、NvidiaApple はすでにこの閉じられた扉を開くために取り組んでいる可能性が高い、としている。
Nvidia にコメントを求めたものの回答は得られず、Apple は噂や憶測などがからむ今後の見通しについての記事にはコメントしないという長年の企業ポリシーを持っている。