AppleInsider Review: 20 インチ iMac Core Duo 2.0GHz
20-inch iMac Core Duo 2.0GHz
February 5, 2006 EST
By Nick Aziz
製造メーカー:Apple Computer, Inc.
Web サイト:http://www.apple.com
価格:20 インチ iMac Core Duo 2.0GHz 1699.00 ドル
秋まで新しいデスクトップを買うつもりはなかったのだが、Apple が発表した iMac のアップデートには驚いた。Apple は、「プロシューマ」 たちの求めるパフォーマンスと価格が絶妙にマッチしていたモデルで突然アップデートをしたわけだからね。
最近のスタンダードからすると、私は特に厳しい基準を要求するユーザではない。Final Cut Pro でビデオ編集をするわけでもないし、iMovie だって使わないくらいだからだ。時折ゲームを楽しむが、ほとんどはインターネットベースの作業でコンピュータを使う。私のマシーンでいつも動いているアプリケーションは、Safari、Mail、Adium X、iTunes、NetNewsWire、Photoshop、Transmit、そして TextEdit だ。こうしたアプリを使って、車やオーディオ業界を追跡する Leftlane News を管理しているわけだ。
デュアル 2.0GHz Power Mac G5 を使ってきたこともあって、私は新しい iMac Core Duo に大きく期待していた。このオリジナルの Power Mac G5 のパフォーマンスレベルが、他の Mac を判断する際の絶対基準みたいなものになっているともいえる。新 iMac は 1,700 ドルで、オリジナルの Power Mac G5 デュアル 2.0GHz に相当するわけだが、それほど簡単なお話ではない。
設定と第一印象
最近の Apple 製品に多く見られるが、iMac のパッケージは驚くほどコンパクトだ。開封作業はシンプルでとてもよく考えられている。iMac の美しいアルミスタンドを保護するためのクリアフィルムだけはちょっと別だが (スタンド全体にベタベタが残ってしまう)。ぜんぜん Apple らしくないな、と思ったものだ。
重箱の隅をつつくのは止めて、設定にとりかかろう。iMac の設定作業は実に快適だった。最大の難関はパワースイッチのありかを突き止めることだった。iMac の美しい滑らかなベゼルのためなら、たった一回の苦労なんてなんでもない。iMac の起動は非常に早くて、44 秒ほどだ。デュアル 2.0GHz Power Mac が 1 分 3 秒かかるのと比べると、そのスピードが分かる。
iMac でまず目に付くのがディスプレイだ -- 他のモニターが色あせて見えるほど鮮やかな 20 インチフラットパネル。1680x1050 という解像度は十分に広く、標準的なテキストもとても読みやすい。このマシーンの横にあるのは 19 インチの LaCie Electron Blue III だが、その画面が色あせてぼやけた感じがするほどだ。
次に目が行くのは、内蔵された iSight カメラだろう。初めは Big Brother に監視されているような気分になるかもしれない。オリジナルの iSight に付いているような、プライバシーシャッターがあると良いとも思う。ただ、そういう物を付けると、Apple が丹精を込めて作り上げた iMac の滑らかなボディーの魅力が損ないかねない。性能面でいうと、iSight is は素晴らしい。携帯電話についているカメラと同じくらいのサイズしかないのに。Apple は iPod nano の時と同じように、かつては大きかった機器を驚くほどコンパクトにまとめてきた。しかも、性能は一切損なわずに。
滑らかなボディーについても触れておくと、Apple は Front Row コントローラを iMac の横側に付けておくために、シンプルながら非常に独創的な方法を編み出した。そう、内部に隠れた磁石だ。これほど基本的なことをスマートに実現してしまうのは Apple だけだ。ただ、困ったことに、このリモコンを付けておく面がすぐに傷だらけになってしまう。iPod と同じように、iMac は箱から出したばかりのときは美しいのだが、使ううちに、他の物と擦れたりして簡単に傷がついてしまう。
Front Row にはガッカリ
残念なことに、Front Row ではすべてが完璧というわけではないことが明らかになった。Apple はこの Front Row を、音楽再生、スライドショー、DVD や iMovie、iTunes Music Store から購入したテレビ番組といった動画を楽しむための新しいインターフェースとして投入してきた。
購入した新 iMac -- その他にも地元の販売店にある iMac -- で試した限りでは、付属の Apple Remote で大きな遅延が発生する。Front Row の動きに大きな時間差があったり、入力に全く反応しないことすらあった。
いくつかのアプリケーションを同時に動かしていると、Front Row が開くまでに 10 から 20 秒ほどかかる。同じように、Front Row を終了して、システムが通常モードに復帰するまでにもかなり時間がかかる。Front Row インターフェースでのナビゲーションはストレスが溜まるもので、一つ一つのアクションが遅い。
こうしたソフトウェアの問題は、きちんと反応しないリモコンと関係がある。他のアプリケーションを一切起動していない状態でも、Front Row を起動させるために 「メニュー」 ボタンを何度も押さなければならない。この問題は、コンピュータからの距離や、リモコンの方向に関係なく発生する。動画対応 iPod でこのリモコンを試してみたところ、こうした遅延はなかったので、iMac に問題があるのだろう。
ネイティブアプリケーション
このマシーンに入っている Intel ネイティブなソフトウェアは、恐らく、先に紹介した Power Mac G5 デュアル 2.0 に匹敵する速度だ。新マシーンは 2 - 3 倍速いとも言われているが、結局のところは、同じクロック数のデュアルプロセッサを積んだ Power Mac と同じくらいのレベルだ。これは実際凄いことだ -- Power Mac に匹敵するコンピュータが1,700 ドルで購入できるわけだから。G5 タワーと 20 インチの Cinema Display を購入することを考えると、実に 1,100 ドルもの節約になる。もちろん、一体型の iMac には Power Mac のような拡張性は一切ない。ただ、ほとんどのユーザにとっては、iMac のパッケージでも十分すぎるほどだ。
iMac と Power Mac G5 を並べて Intel 対応の Unreal Tournament 2004 をテストしてみた。Power Mac G5 は、デュアル 2.0Ghz で、256MB のメモリーを搭載した Radeon X800 と 1.5GB RAM を装備している。一方の iMac は Radeon X1600 -- こちらもメモリーは 256MB -- を搭載しているものの、RAM はわずか 512MB だ。どちらのマシーンも、Unreal の設定メニューで上限一杯の設定を施した。iMac の解像度は 1680x1050 に、Power Mac の方は 1600x1200 ピクセルに設定した。
この二台のマシーンのパフォーマンスを比較するため、内蔵の 「stat fps」 機能を使って、「Convoy」 のイントロ部分を実行してみた。Intel Mac に対応した統計分析パッケージが出ていないため、全体的な平均値を求めるのは無理だった。イントロ部分では、iMac は 1 秒あたり 48 フレームを下回ることは一度もなかった。最高時には 110 フレーム近辺まで行った。一方の Power Mac では、部分によっては 38 フレームを下回ることもあり、他の場面では 118 まで上がったこともあった。全体的には、iMac の方が Power Mac よりもわずかに勝っているといったところか。ただ、全体的な操作感はほぼ同じだった。
Rosetta:まったく駄目
Apple はまったく新しいプロセッサタイプへと乗り換えたため、PowerPC Mac 用に設計されたプログラムが新しい Intel マシーンでも動作するようにと Rosetta と呼ばれるテクノロジーを開発せざるを得なかった。Virtual PC のような通常のエミュレータとは異なり、Rosetta は背後で実行される。そのため、一般のユーザは、プログラムが Intel 用なのか PowerPC 用なのか分からないといった仕掛けだ。
Intel マシーンでも動作するようにアップデートされたアプリケーションはデュアルバイナリと呼ばれる 【訳注:正しくはユニバーサルバイナリ】。というのも、両方のアーキテクチャで動作するからだ。Apple は自社のプログラムをすべて変換し 【訳注:一部のプロフェッショナル向けアプリケーションはまだ】、多くのサードパーティ開発者もプログラムをアップデートし始めている。
i アプリやデュアルバイナリはこれまで同様きびきびと動作するものの、Rosetta 上のアプリケーションはのろい。システム全体が重くなるのだ。Rosetta プログラムを 2 種類 -- Photoshop と NetNewsWire -- をバックグラウンドで動かしていると、システム全体が目に見えて遅くなるのだ。コンピュータが一瞬固まり、数秒応答しなくなることさえある。
私の経験では、Dock で Safari から Photoshop へと切り替えると、おぞましい 「くるくる回るビーチボール」 を 20 秒ほど見つめることになる。それも、Photoshop で 300x125 の画像を一枚開くだけでだ。NetNewsWire はシンプルなアプリケーションなはずなのに、こちらもまた恐ろしく遅い。実際、TextEdit から NetNewsWire 切り替えて、自分の購読を再ロードするだけで 1 分もかかった。
このマシーンのパフォーマンス -- Rosetta 環境下で複数のアプリケーションを実行する際のもの -- を、自分が持っているもう一台の Mac に例えるなら、シングルプロセッサの 800Mhz Power Mac G4 に相当するといえる。それも、何年もメンテナンスされていないものだ。私が所有する 1.33GHz iBook G4 の方が新 iMac よりも明らかに機敏で、これは非常に残念だ。
Rosetta がシステム全体に及ぼす悪影響は決して大げさなものではない。PowerPC アプリケーションを実行していると、システム全体が使い物にならなくなる。Rosetta 環境下でプロセッサを酷使するタスクを実行するなんて考えられない -- まさに気が狂いそうな体験となるだろう。まともな作業をしたい場合は非常に苦痛になるはずだ*1。
RAM を追加すれば、こうした速度低下は幾分抑えられるかもしれないが、多くの新ユーザはアプリケーションの半分がエミュレーション環境下で実行されているとは知らないところに、基本的なタスクをカバーできるように Apple が十分な RAM を含めてくれるとは思えない。
Rosetta 環境下のアプリケーションを閉じると、マシーンは再び機敏になる。これはまさに、昼と夜のような差がある。
買うべきか、買わざるべきか
というわけで、Rosetta のパフォーマンスを心配するほど、先見の明に富む iMac 購入者に、私はどのようなアドバイスができるか? もし私のように、基本的には Apple アプリを使って、時々 Rosetta を使うだけなら、我慢できるかもしれない。Photoshop に代わってシンプルなタスクを行ってくれるようなデュアルバイナリアプリケーションが登場してほしい、と私は考えている。パワーユーザには残念なことだが、Rosetta 環境下で Photoshop は使えない。
Adobe や Macromedia が提供する、動作要件の厳しいプログラムスイートを使って仕事をしているのなら、現時点では Intel Mac はおすすめできない。Rosetta は純粋に遅すぎるのだ。
iMac はパワーユーザ向けではないと指摘する方や、だからこそ Apple は初めて Intel に移行させたのだと指摘する方がいるかもしれない。しかし、Photoshop で画像を切り取るだけで、デュアル 2.0GHz マシーンが遅くなるようではまずい。
Intel Mac の購入を考えているのなら、次のように考えてみよう:「自分がいつも使っているプログラムはデュアルバイナリになっているか?」 もし Yes なら、1,700 ドルを切る値段で、これまでで最高の Mac を手にできる。もし No なら、システムの真価が完全に発揮できるようになるまで、少し時間をおいた方が良いだろう。
メリット:素晴らしいボディー、美しいディスプレイ、デュアルバイナリの優れたゲームパフォーマンス。非常に高いポテンシャル。
デメリット:貧弱な Rosetta パフォーマンス。時折反応しない Front Row。
この記事に登場する Apple 製品:
*1:In fact, I think you'd be hard pressed to get anything accomplished.