AppleInsider: 新しい iPod アクセサリメーカーがワイヤレス製品を披露予定
New iPod accessory maker to debut wireless products
By Kasper Jade
Published: Friday, March 31, 2006 01:00 PM EST
新しい企業が来月、Apple Computer の iPod nano に対応したワイヤレスヘッドフォンキットを引っさげて、10 億ドル規模の iPod アクセサリ市場へと進出する予定だ、との情報を AppleInsider は入手した。
Audition Products が発表する予定のヘッドフォンキットは、Aura Communication が開発した 「Liberty Link」 テクノロジーをベースにしているとされており、Bluetooth ワイヤレステクノロジーを利用した同様の製品よりもはるかに低い価格帯で、高品質なワイヤレス体験を iPod nano ユーザに提供できるという。
これまでに、Audition からのアクセサリを機能に盛り込んだ Liberty Link ワイヤレスチップセットには数百万ドルが費やされているともいわれている。同技術は、磁気誘導を利用して iPod nano のベーストランスミッタとヘッドフォントの間でデジタルオーディオリンクを確立する。この技術は RFID （Radio Frequency Identification） に似ているともいわれているが、ユーザを完全に取り囲める 4 - 5 フィートほどの大きさの通信領域を作り出せる能力を持つという。転送範囲を制限することで、バッテリー駆動時間を長くできる、とも AppleInsider は聞いている。
さらに、Liberty Link の周波数スペクトルは、通信領域をしっかりとコントロールできることから、競合テクノロジーよりも 「効率よく利用できる」 とされている。Bluetooth と同じく、ヘッドフォンペアとベースとの間で自動生成されるコードでプライバシーは確保される。しかし、Liberty Link の音質は多くの場面で Bluetooth のそれよりも優れているという。従来の RF 信号につきものの干渉とは無縁だからだ。
Liberty Link は、オーディオストリームをヘッドフォンに転送する前の段階で、4:1 ADPCM （Adaptive Differential Pulse Code Modulation：適応差分パルス符号変調方式） を使ってストリームを圧縮する。圧縮されたストリームはその後、ヘッドフォン内で展開されて、リスナーの耳に届けられる。Liberty Link システムの試作品をテストした人々のなかには、これまでで 「最も快適なワイヤレス体験」 を楽しめると語っている人々もいる。
試作品段階のテストでは、ワイヤレスな Liberty Link ヘッドセットでは 「ほとんど干渉はなかった」 と先の人々のひとりは語っている。同機器はビットエラー率において、類似の Bluetooth 製品と比較して 10 倍も安定しており、消費電力が少ないだけでなく、価格も大幅に低くできるはずだという。Audition ワイヤレス製品初期の小売価格は 79 - 99 ドルとなる予定で、ベーストランスミッタ、ヘッドフォンそして充電器が含まれる。
エンドユーザにとって、操作はきわめて単純だ。iPod nano はすっぽりとトランスミッタのベースに納まり、オーディオ接続は nano のヘッドフォンジャックを経由して確立される。ヘッドフォンおよびベースの両方とも、再充電可能なリチウムイオンポリマー電池を採用しているとのことで、10 時間の連続再生が可能だという。
Liberty Link は、Audition 製品といった機器を可能にするだけでなく、これまでにない 「共有」 機能も可能にできる。一台のトランスミッタから、8 フィート圏内にいる複数のリスナーに向けて転送するよう設定が可能なのだ。トランスミッタ一台を共有モードにしておけば、そのオーディオストリームに参加したいリスナーは自分のヘッドセットを着用して、リンクボタンを押せばよい。二人のリスナーがトランスミッタ一台を共有したい場合などには理想的な機能だ。
業界内の情報筋によると、Apple の iPod nano や Sony PSP に対応した Liberty Link 製品も Aura から追加発表されるかもしれないとのこと。最近まで、価格に見合うだけのリスニング体験を得ることができなかったこともあり、ワイヤレスヘッドフォンの市場はほとんど、あるいは全くないといってよい状態だった。
Aura Communication の Liberty Link テクノロジーは、iPod のような携帯オーディオプレーヤーから 「ワイヤを切り取った」 新しい価格帯で提供したいと考えているようだ、との情報を AppleInsider は得ている。同テクノロジーを採用した別の未発表製品は、「iPod nano sled」（上の写真） との説明がある。しかし、この機器のさらなる詳細は不明なままだ。
*1:訳注：「そり」のこと
