AppleInsider: Steve Jobs が Apple の環境保護方針を明らかに

Steve Jobs unveils changes to Apple's environmental policy

By AppleInsider Staff

Published: Wednesday, May 2, 2007 12:00 PM EST


Apple CEO の Steve Jobs は水曜日、顧客と株主に宛てた公開書簡の中で、Apple がこれまで環境保護方針に対して真摯でなかったこと、ようやく同社の製品から有害な化学物質を取り除くにあたっての計画を策定することになったことを発表した。

Apple はこれまで、新製品から有害な化学物質を積極的に取り除こうとしていない、そして過去の製品を積極的に、且つ、適切にリサイクルしていないとの批判を一部の環境保護団体から受けてきました」と Jobs は語った。 「これらの目標に対する Apple の現在の実行および進捗状況を調査したところ、多くのケースにおいて Apple はこの分野におけるライバル達よりも進んでいるか、ほどなく抜きさるということが分かって驚きました。」

Jobs は、この先必要な作業にかかわらず、Apple は、同社がより環境に優しくなりたいと切望し計画していることについて、顧客や株主、従業員、裏方産業を置き去りにしたまま将来の計画を吹聴することはないという Apple の方針*1には「一点の曇りもない」と語った。

「私たちの株主は、私たちに更なるものを求める権利がありますし、そうすることが当然で、まさにそれを行っています」と彼は書いている。 「彼らは私たちに対して、この分野において先導的な役割を求めてきました。ちょうど私たちのビジネス分野でそうであるように。 ですから、本日、私たちは自らの方針を変更することにしました。」

Apple 社の方針として、同社は、2008 年末までに同社のディスプレイにおいて砒素を完全に除去すること、そして技術的および経済的に可能になり次第、最終的には 同社のディスプレイを LED に移行することで 水銀の使用も取りやめることを計画に掲げた。

「幸いなことに、iPod の全ディスプレイはすでに照明用に LED を利用しており、水銀は一切含まれていません」と Jobs。 「私たちは、2007 年に LED バックライトテクノロジーを採用した初めての Mac を導入する計画です。 私たちが全てのディスプレイから完全に蛍光灯を廃止できるかどうかは、大型ディスプレイの分野で LCD 業界がどれだけ迅速に LED バックライトに移行できるかにかかっています。」

Jobs は、Apple はまた 2008 年末までに、建設業界で利用され、コンピュータ部品やケーブルでも利用されるプラスチックの一種であるポリ塩化ビニール (PVC) や、発火のリスクを軽減する臭素系難燃剤 (BDR) といった、その他の有害化学物質の利用を完全に廃止する計画であるとも語った。

Jobs は、Apple のライバルを比較するにあたって、HP が近い将来同社の全パッケージから PVC の除去を計画していることを挙げつつ、Apple は 12 年前に同様の処置を行っていることを指摘した。 Jobs は他にも、Dell は昨年から大きなプラスチック筐体から大量の臭素系難燃剤を取り除くプロセスを開始したと語った。 この分野において、Apple の筐体には 2002 年来難燃材は使用されていない、と指摘した。

「ある環境団体が最近発表した採点表によると、Dell、HP そして Lenovo は、彼らの計画 (あるいは HP の場合は「計画発表の計画」) のおかげで Apple よりも良いスコアを獲得しています」と Jobs は環境推進グループ Greenpeace による報告を引き合いに、皮肉った。 「現実には、Apple は、製品から有害化学物質を取り除くにあたって、これら 3 社全てよりも進んでいます。」

リサイクルに関して Jobs は、Apple は 1994 年からリサイクルを開始し、今日では Mac および iPod が販売されている国の 82 パーセント以上でリサイクルプログラムを推進していると指摘した。 今年末までに、この数字は 93 パーセントにまで上昇する、と彼は語った。

企業のリサイクルプログラムの有効性を測る業界標準はないものの、Jobs はライバルの Dell が提案した、製品寿命を 7 年と仮定して、企業がその年にリサイクルした総重量に対して、その企業が 7 年前に販売した総重量のパーセンテージを測るという手法を評価した。

「これは私たちにも意味があります」と Jobs は語った「そして、その明快さと単純さという分かりやすさがあります。」


リサイクルした重量を過去の売り上げのパーセンテージとして表示したもの
Apple がリサイクルした重量を過去の売り上げのパーセンテージとして表示したもの

暦年 2006 年に Apple は、1300 万ポンドのコンピュータ関連廃棄物を排気した。これは Apple が 7 年前に販売した全製品の総重量の 9.5 パーセントに相当する。 Jobs は、この数字が 2007 年には 13 パーセント、2008 年には 20 パーセントになると見込んでいると語った。 「Apple の予測では 2010 年までに、年間 1900 万ポンド、同社が 7 年前に販売した製品重量の 30 パーセント近くにあたるコンピュータ関連廃棄物をリサイクルするとしている。

Jobs は、環境団体評価において Apple よりも高いスコアを獲得したライバル企業と比較するにあたって、もう一つの指摘を行った。曰く、HP および Dell が発表した最新のコンピュータ関連廃棄物に関連する数値は、それぞれ、年間 10 パーセント程度で、どちらの会社も将来その数字を増やしていく計画を発表していない、と。 Apple の総帥は、Apple は 2010 年までに、過去の販売重量におけるパーセンテージにおいて、Dell や HP よりもはるかに多くのリサイクルを行っているだろうと語った。

Jobs は、Apple が北アメリカで収集したコンピュータ関連廃棄物は、すべて合衆国内で処理され、廃棄のために海外に持ち出されることは一切ない、と語った。 「私たちは、各ベンダーから排出される『環境中運命』について注意深く見直し、リサイクルプロセスの最終段階において原材料がどのように処理されるのかを知りました」と彼は書いている。 「私たちは、リサイクルベンダーらに対して、業界内でも最高の環境基準を守るように要請しています。 年々のコンプライアンス公聴会に加えて、私たちは、下流ベンダーのパフォーマンスも検証します。」

Jobs はまた、システムデザイナーらに対して、新製品を生む過程での自らの設計や素材選択に「責任を取る」ように呼びかけ、1998 年に iMac が誕生してからその重量を 60 パーセント切り詰めたことを挙げて、同モデルを「素材利用の効率において世界レベルの例」として取り上げた。

Jobs は iPod にも触れ、Apple は今夏、無料の iPod 引き取りプログラムを拡大する予定であると語った。このプログラムは、合衆国内に展開する同社の 150 超にのぼる直営店に、古い iPod を持参して新しい iPod を購入した場合、10 パーセントのディスカウントが提供されるというもので、これを全世界に展開する同社の直営店に広げるというものだ。 同プログラムの拡張にはまた、合衆国であればどこからでも送料無料となるサービスが含まれる。

Apple CEO は将来に目を向けて、同社の環境への取り組みについての努力と成果に関するアップデートを、少なくとも年に一回、恐らく春に提供することを約束した。
Apple が実際に製品から有害な化学物質を取り除きつつあり、過去の製品をリサイクルしていることが分かって、皆さんも私と同様喜んでくださると思います」と Jobs は締めくくりに語った。 「皆さんをこれほどまで長く暗闇に放っておいて申し訳ありませんでした。」


Apple.com あるいは PDF をダウンロード すると、Steve の書簡を完全な形で閲覧できる。

*1:Apple's policy of not trumpeting its future plans has left customers, shareholders, employees and the industry in the dark about its desires and plans to become greener.