AppleInsider: Apple の iPhone: 初期 (ただし詳細な) レビュー

Apple's iPhone: an initial (but in-depth) review

By Daniel Eran Dilger

Published: Monday, July 2, 2007 09:00 AM EST


iPhone は表向きには携帯電話として市場に出されているが、同時に、最新の iPod でもあり、また Web ブラウザやスケジューラ、メモ帳、カメラを備えたハンドヘルドコンピュータでもある。 これら全ての機能は、特に、AT&T のサービスやデバイスそのものに備わっていない機能に対する批判を鑑みると、その $500-600 という価格に見合ったものなのだろうか?


iPhone 価格マジック

Microsoft の CEO Steve Ballmer は、iPhone が 1 月の Macworld Expo で初めて公開された際、「世界一高価な電話」として一笑に付したが、実際のところ、すでに $750-900 という価格帯で人気のスマートフォンが多数存在している。その中のいくつかは Windows Mobile を搭載している。

批評家らは、機能面で iPhone をこうした高級な携帯電話と比較したがるが、こと価格に関しては単純な電話と比較したがる。 不公平のように感じられるが、iPhone はその機能ではもっともハイエンドな携帯電話に匹敵しつつ、必要なサービスプランを含めた場合でももっとも安価なスマートフォンよりも価格は実際のところ低くなるというほどに価格面でも積極的なものになっている。

Ballmer の言葉から:Verizon Wireless が提供する Windows Mobile ベースの Motorola Q。 iPhone の $500 (4 GB バージョン) または $600 (8 GB バージョン) という値札に対して、Motorola Q の $99 という価格ははるかに手頃に感じられる。 ところが、Motorola Q は実は $99 ではない。この価格はリベートの適用を受け、Verizon のボイスおよびデータプランを 2 年間契約して初めて可能となる。

これらプランは当初、月あたり最低 $80 で、2 年間 Verizon と契約することで最低 $1920 かかる。 Verizon のオンラインショップでは、見つけることができたもっとも価格の低い Motorola Q はすべてのディスカウントを含めても $180 だった。 その後 $50 のリベートを手に入れても、その後には $2100 支払うことになるが、これには電話の本当の価格である $330 やその他関連経費にかかる物品販売税は含まれていない。

$500 の iPhone には、AT&T による同様のサービスプランやアクティベーション料金が含んで $1956 となっており、全体的には大幅に安い。 これによって、iPhone の 8 GB バージョンへのアップグレードさえ何でもなくなるものの、ある疑問がよぎる:このマルチ機能の iPhone が、どうして価格面で安く機能面でもシンプルなスマートフォンと、安いとは言わないまでも競合できるのか?

これほどまでに競争力のある価格にするために、Apple は多くの機能を犠牲にしたのだろうか? 以上のことを確認するため、私は、サンフランシスコのユニオンスクウェアにある Apple Store の前で徹夜した後に、新しい iPhone のテストに週末を費やした。 以下が、iPod ミュージック、iPod ビデオ、Web、電子メール&メッセージング、PDA そして電話機能という機能セットとして iPhone ができることの概要で、その次に全体的な印象、そして、$1000 近い価格帯で販売されているハイエンドスマートフォンと比較した時に iPhone にはない機能を取り上げる。


必見

iPhone は、私がこれまで手にしたコンシューマ向けハードウェアのなかでも、もっとも驚異的な製品だ。 実際に触ってみると、今日このような製品が単に存在すると言うことを、これまで想像できただろうかという思いが繰り返し頭をよぎる。 私はクライアントのために数多くのコンシューマデバイスを触ってきたので、もっともハイエンドなガジェットを動かすハードウェアやソフトウェアにも詳しい。 iPhone はそうした私の専門性を打ち砕くものあることを認めない訳にはいかない。

昨年、私は「Generation 6 iPods」と題する記事の中で、Apple の第六世代 iPod が実現し得る機能として、大型ディスプレイ、モバイルメッセージング機能、カメラ、スケジューラ、そして日記機能を盛り込んだ。 AppleiPhone で成し遂げたのは、私の想像を超えるものだった。

iPhone を革命的な存在にしているのはなにか? iPhone が一見現実不可能なもののように見えるのは、どれか一つの機能というわけではなく、そのハードウェアとソフトウェア機能の連携なのだ。


iPhone


iPod 6.0:オーディオ& Bluetooth

AppleiPhone でまず最初に目がいくのは、電話であるという以外に、iPod が大幅に飛躍を遂げたものであるということだ。 iPhone を純粋に iPod として使いたい iPod ユーザにとっての唯一の問題は、利用前にアクティベーションが必要なことだ。 iTunes を設定しないと、緊急連絡以外の機能が一切使えないのだ。 iPhone を購入してデータプランを契約せずに iPhone を使う手だてはない。

iPod の丸いクリックホイールは、そのシンプルさと使いやすさで賞賛されたが、それは恐ろしく精度が低かった。 それが完全に消えた。 置き換わったのは、iPhone の連絡先情報や電子メール、ビジュアルボイスメールとまったく同じ操作が可能な、CoverFlow を前面にうちだしたタッチスクリーン、標準的な QuickTime 映画再生コントロール、そしてオーディオ・ビデオトラックの一覧である。 CoverFlow は、iTunes 上でよりも iPhone 上での方がはるかに使い勝手がよい。 まるで小さなデバイス内部にはめ込まれた箱にはいった LP をめくっていくような感じだ。

ヘッドフォンが刺さっていないと、音声は iPhone のスピーカ部分からでてきて、かなり目立つ。 騒音がうるさい場所で腕を伸ばした状態でもオーディオを聞くことができ、デバイスのお尻の部分を手で囲んでやると音が自分の方に向かってくるようになる。 この内蔵スピーカは小さいものの、音楽やビデオの再生時には十分な帯域を再現する。 最大音量にすると、オーディオが途切れたり歪んだりするものの、75% ほどに設定すれば、机に座ってラジカセのように使うには十分に大きな音で、そこそこ良い音質で楽しめる。

iPhone は、ボリュームコントロールの上に物理的なミュートボタンがついている。 ミュートをオンにしても音楽再生の音は消えない。それは、呼び出し音や他のオーディオ信号をバイブレートモードにするだけだ。 ボリュームコントロールの方はすぐに音を消すことができ、思いがけず再生してしまってパニックになった場合に役立つ。

上部にあるスリープボタンでスクリーンをロックして消すことができる。これは、iPhone のボリュームコントロールを無効化しないので、iPod のホールドコントロールの改良版とも言える。 ボリュームロッカースイッチは、かなりしっかりしたタッチで操作しなければならないので、誤ってボリュームを上げてしまうことはまずないだろう。 前面のホームボタンかスリープボタンのどちらかで、iPhone を復帰させることができる。 スリープボタンはまた、ホームボタンと一緒に押せば、完全なリセットを行うためにも使える。

AppleiPhone とともに提供するイヤフォンには、統合されボタンのついたマイクが付いており、ユーザはボタンを使ってかかってきた通話に応答できる。 音楽を聴いている時に一回ボタンを押すと、一時停止となり、二回押すと次の曲へとスキップする。 ユニットには深くへこんだヘッドフォンジャックが付いており、なかには他のヘッドフォンがきつくて刺せないとの報告もあがってきている。特に、まっすぐなタイプではなく、右に曲がったプラグを備えたヘッドフォンで顕著なようだ。

Apple はまた、互換性のないヘッドフォンのためにヘッドフォンポートを延長するための TTY アダプタも $20 で提供しているが、目的の割には野暮ったい感じがする。 これは、TDD または難聴者のためのテレコミュニケーションバイスとしても知られる TTY デバイスでも利用できるように設計されており、耳の不自由なユーザが電話をかけることができるようにテレタイプのように動作する。

ヘッドフォンを差し込むと内蔵スピーカからは音が出なくなるものの、外すと再生が一時停止される。再生が手動で再開されない限り、メインスピーカから音が自動的に流れ出すことはない。 iPhone がロックされ、ヘッドフォンが刺さっていない場合、ユーザは電話のロックを解除し、iPod アプリケーションに入って再生を再開しなければならない (iPod アプリケーションがロック前に前面に出ていない限り)。 もちろん、Apple ヘッドフォンが刺さっていれば、便利な多機能ボタンをつかって再生を再開することができるが、邪魔なコードが付いていない限り、以前の iPod でもできたこのトリックは使えない。

iPhone は直接 Bluetooth ヘッドフォンをサポートしていないようで、ソフトウェアアップデートでこの機能が使えるように願うばかりだ。 これまでの iPod と同じく、iPhone でワイヤレスヘッドフォンを使うには外部の Bluetooth トランスミッタが必要だ。 iPhone は現時点では、携帯電話用のヘッドセットとの Bluetooth 接続をサポートしているだけで、Mac その他のデバイスと直接ファイルを共有したり、データ同期をしたり、他の Bluetooth 機器を利用したりすることはできない。

From iDay in SF: A Finer EDGE and New Bluetooth Info」にもあるように、Apple が内々に土壇場で iPhone 用に取得した Bluetooth 認可からは、CSR からの Bluecore 4 Bluetooth チップは、 Open Interface North America からの BLUEmagic 3.0 ソフトウェアで動作する。 つまり、Apple は独自の Bluetooth ソフトウェアを採用していないということで、その理由は Apple が計画している将来のワイヤレス製品で明らかになるだろう。

iPhone では、ユーザが直接デバイスへとファイルをコピーできる「ディスクモード」のためのメカニズムは提供されていない。 iPhone では、ファイルシステムコマンドラインへと直接アクセスするというコンセプトは提供していない。


ページ 2:「ありがたいことに、同じ iPod Dock Connector が使える」「iPhone ディスプレイとビデオ iPod としての機能」そして「ポケットの中の Web」

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