AppleInsider: Apple の iPhone: 初期 (ただし詳細な) レビュー Page 2
Apple's iPhone: an initial (but in-depth) review [Page 2]
Published: Monday, July 2, 2007 09:00 AM EST
ありがたいことに、同じ iPod Dock Connector が使える
Palm が冒したもっとも不思議で間抜けなミスは、Palm の世代が変わるごとに同期用のコネクタを変更するという習慣だ。 これが原因で、Palm アクセサリの新しい波はほどなく時代遅れとなり、フラストレーションを溜めたユーザは、忠実な Palm ユーザで居続けるよりは他のものへと移っていった。
Apple はその点賢く、USB、Firewire、ビデオ、オーディオを一つのプラグへと一体化した第三世代 iPod のためのドックコネクタを将来においても使用できるようにデザインした。 Apple は、mini および nano ラインを含めて、新しい iPod でも同じコネクタを利用し続けている。 iPhone も同じプラグを利用しており、充電アダプタやオーディオデバイス、すでに広く利用可能なその他のケーブルとすべて物理的に互換性を保っている。
iPhone は、第五世代のビデオ機能付き iPod と同じように、Firewire ケーブルを使っても充電でき、Firewire を利用した外部バッテリーパックも利用できる。 Firewire や USB の外部バッテリーパックから充電ができるようになっていることで、「David Sessions Tries to Milk iPhone Battery Panic in Slate」にあるような、iPhone には簡単に取り替えられるバッテリがないとのよくある批判は意味のないものになっている。 Apple によると、iPhone のバッテリは、取り替えが必要になるまでに、300-400 回の充電サイクルに耐えられるとしている。 $5-15 で iPod の代替バッテリを提供している iPod サードパーティ業界は、間違いなく、iPhone のバッテリの交換時期になればサービスを展開し始めるだろう。
初期テストにおいては、iPhone は、音楽の再生や WiFi をつかった Web 閲覧をしていても 6-8 時間のヘビーユースにも軽く耐えられるようだ。 iPhone は標準では、利用可能な WiFi ネットワークをアクティブに検索しにいくものの、これはバッテリに負担をかけるために設定項目から機能を無効化できるようになっている。 設定項目には、飛行機モードもあり、一回の操作でデバイスのすべての交信機能を無効化して搭乗に際しての規制に従いつつ、その他の機能は利用できるようにすることもできる。
ビデオ再生コントロールは、直感的で簡単に操作できる。 どこでも同じ操作感覚で扱える：Web ページ内のビデオでさえも、インライン再生ではなく、iPhone のスクリーンを最大限活用したフルスクリーンモモードで再生できる。 ローカルでの再生でもストリーム再生でも、画質は素晴らしい。 iPhone で、iTunes からコピーしたビデオをローカルで再生すると、空き容量を確保するためにそのファイルを削除するかも尋ねてくる。
これまでよりもはるかに大きく、はるかに高い解像度を持っていることから (非常にシャープな 160 dpi で 480x320)、iPhone は非常にビデオ再生に向いている。 iPhone のタッチスクリーンの精度は完璧で、指を画面に押し付ける必要は一切ない。 ただし、画面の電気的なキャパシタンスのため、指に何かを付けていてはいけない。 手袋をはめていたり、プラスチックや金属のスタイラスでは、画面は反応しない。 つまり、ポケットの中で何かがあたったとしても、それが指でない限り iPhone のスライダが誤って解除されることがないということだ。 さらに、肘や体の他の部分でスライダを解除しようとしても反応しない。というのも、画面は指のサイズ以外のあらゆるものを無視するからだ。
ガラス画面に傷を付けるのは容易ではないが、保護用のプラスチックフィルムを使ってももちろんよいだろう。 画面は、直接太陽光があたる戸外で見ても充分明るく、非常に幅広い視覚角度からみても画像は非常にシャープで、多くの人が同時にビデオクリップを覗き込むことができる。
このことから、YouTube ビューアは、私が想像していたよりもはるかに使いやすいことが明らかになった。 iPhone は、モバイルユーザにとって YouTube の本当の魅力を引き出すが、EDGE の細い回線よりはよりスピードのでる WiFi がどうしても欲しいところだろう。 iPhone の YouTube ブラウザは応答性が高く、Apple TV バージョンよりも遥かに優れている。
Google が Flash ビデオから MPEG H.264 形式への変換をはじめたのはごく最近のことで、利用できるビデオはまだ限られている。 この変換作業は、YouTube を Apple TV や iPhone と互換性を持たせたい Apple によってはじめられたものだった。 YouTube のビデオを H.264 へと移行させることで、両デバイスとも、汎用プロセッサ上で動作するソフトウェアコーデックを使って Flash ビデオを無理にデコードするのではなく、専用ハードウェアを利用して YouTube ビデオをデコードできるようになる。 この決定によって、Apple は iPhone に Flash を含めなくてもよくなり、競合デバイス上に Flash Lite を押し進め、Web 上ではさらに Flash/Flex/Apollo/AIR を展開しようとしている Adobe の努力を挫くことにも繋がる。
iPhone は、動画対応 iPod とは異なり、iPhone からテレビに向けたビデオの再生はできないようだ。 ハードウェア的には可能で、将来はソフトウェアアップデートで提供されるようになるのかもしれないが、iPhone にはビデオ出力に適したハードウェアがサポートされていない可能性や、Apple は第五世代の iPod から差別化を図ろうという誤った戦略のもとで手段を提供しないという可能性もある。 Apple はデモンストレーションでは、iPhone のディスプレイを頻繁に外部モニタへと繋いでおり、ビデオ出力用のハードウェアを備えていることを伺わせている。 現時点では、Phone を動画対応 iPod のドックに繋いでも「このアクセサリは iPhone では利用できません」というメッセージが表示される。
ポケットの中の Web
iPhone は、音楽およびビデオプレーヤとして大いなる飛躍を遂げただけでなく、素晴らしい Web クライアントでもある。 iPhone は、Nokia の N800 Linux をベースにした Web タブレットのような、Web ブラウザのようなおもちゃとして動作する縮小版 PC ではなく、すでに素晴らしい電話であり iPod であるデバイスに、素晴らしいモバイル Web ブラウザを加えるものだ。
iPhone の Safari ブラウザは、WiFi 環境ではページを高速で描画し素早く、操作が簡単なため使っていて楽しく、指で操作するズーム機能は非常に直感的だ。 iPhone 上の Safari は、ディスプレイから独立した解像度のパワーを引き出している。 指をつかったズームイン・ズームアウトを行うと、Web ページは即座に再描画され、非常にクリアなテキストが必要なサイズで表示される。 この機能が Mac のデスクトップに完全に登場するのは 2009 年まで待たなければならない。これは、既存のサードパーティ製アプリケーションが解像度独立に対応できるようになるまでに時間が必要だからだ。
iPhone はコンピュータと同期する際に、Safari からブックマークをインポートし、さらに過去の閲覧履歴へも簡単にアクセスできるようになる。 恥ずかしいサイトへのアクセス履歴も非常に簡単に削除できるので、心配しなくてもよい。 インポートされたブックマークは、Safari のデスクトップ版とまったく同じように整理され、簡単にアクセスできる。 ブックマークは、URL が入力される際に、一致項目が素早く表示される。 そのため、一旦サイトにアクセスすると、再び URL を入力せずとも簡単に再アクセスできるようになっている。
iPhone は、自動補完データやセキュアなログイン情報はインポートせず、iPhone 上で入力されたログイン情報を記録するかどうかも尋ねない。 このため、ログインが必要なサイトにアクセスするにはデスクトップ PC よりもはるかに面倒なことになるが、ロックされていない電話を悪用されて ID を盗まれることもなくなる。
Safari ブラウザの URL に表示される RSS を辿ると、Phone はその XML を Apple のサーバに引き渡し reader.mac.com で解析する。そして、RSS フィードから各ストーリを閲覧できるように、結果を馴染みのある Safari RSS スタイルの Web ページとして表示する。
iPhone の Safari は非常によくできているが、機能しない Web 機能も多数ある。その一部は、Web 開発者が利用されるコンテンツはマウスを備えたデスクトップ PC からだとの前提になっていることが原因のものもある。 iPhone は、こうした思い込みに挑戦することで、Web 全体がよりアクセシブルなものになる手助けになるかもしれない。 JavaScript および QuickTime 以外のブラウザプラグインが必要となるあらゆるものは動かない可能性がある。 これには Adobe Flash や Shockwave、Windows Media や Real 埋め込みまたはストリーミングオーディオおよびビデオ、あらゆるクライアントサイド Java アプレットや SVG が含まれる。 「The iPhone Threat to Adobe, Microsoft, Sun, Real, BREW, and Symbian」では、どうして Apple が Flash、Java、そしてプロプライエタリのオーディオおよびビデオ形式のサポートに無関心なのかについて論じている。
iPhone が、H.264 コーデックを利用しないあらゆる QuickTime ビデオや MP3、AAC、WAV、raw CD AIFF、オーディオブック、あるいは Apple Lossless 以外のあらゆるオーディオ形式をはじめ、Apple 独自の QuickTime VR さえもサポートしていないのは、ちょっとした驚きかもしれない。 iPhone のソフトウェアアーキテクチャは、iPod よりも Mac との共通点が多いものの、Mac というよりは iPod のように動作するようデザインされている。
現時点で iPhone を完全にはサポートしていない Web サイトの中には、スプレッドシートやワープロ文書を利用したり編集したりする Google の Docs および Sheets Web アプリケーションがある。 ただし、「Safari はサポート外」との警告を受けた後、iPhone 上で Google のアプリケーション使って文書を表示することができたが、編集はできなかった。 Google は iPhone のブラウザについて、「Apple's Secret iPhone Application Business Model」という記事の中の指摘にもあるように、Ajax 開発にとって理想的なプラットフォームであるとして、サポート対象へと広げるとの方針を明らかにしている。
iPhone は Safari に加えて、株価情報や複数の時間帯に対応した時計、Yahoo! によってアップデートされる地域の気象情報、衛星画像やステップ・バイ・ステップの道案内機能を持つ Google Maps、そして YouTube ビデオのためのシンプルなウィジェットも提供している。 すべて、反応がよく、美しく、WiFi 経由で、信号強度がバー一本というホットスポットから離れた場所でも驚くほど素早くアップデートされる。 ところが WiFi ホットスポットの外側では、iPhone は、ブロードバンド接続の四分の一から十分の一というスピード、ダイアルアップと比較しても 3-4 倍早いだけという EDGE モバイルデータサービスの制限を受けることになる。 EDGE で Web 閲覧をしたり地図検索をすると、イライラするほどに遅く、実用に堪えない。
私は Sprint Palm Treo も持っているが、この「Blazer」ブラウザで Web を利用するのは諦めている。というのも、ページの読み込みにあたって頻繁に使えなくなるからだ。 一方 iPhone では、EDGE は遅い。しかし、多くのページは適切に表示され、より高速な 3G サービスを備えていながら性能面ではるかに劣るミニブラウザしか備えていない携帯電話と比較してもはるかに使いやすい。
ページ 3：「電子メール、メッセージング、そしてネットワーク」「新しい PDA：連絡先情報、そしてカレンダー、そしてデータ同期機能」そして「iPhone Phone」
前のページへ