AppleInsider: iPod classic レビュー

iPod classic review

By Daniel Eran Dilger

Published: Friday, September 14, 2007 12:55 PM EST


生まれ変わった第 3 世代 iPod nano と同時にリリースされた iPod classic は、上品なメタルケース、nano と同じ新しいグラフィックインターフェース、そしてハードドライブそして屈強なバッテリーのおかげで iPod モデルの中で最大の容量そして最長のバッテリー駆動時間を誇る。 しかし、このレビューで見ていくように、classic はハードドライブベースの iPod 終焉の幕開けとなるかもしれない。Apple は自社のメディアプレーヤーラインアップ全体を Flashモリーストレージへと強力に移行をすすめているからだ。


物理的特徴

iPod classic」と名付けられた iPod 第 6 世代 (6G) は、昨年発表された「5.5G」 iPod と同じフォームファクターであるものの、傷つきやすかったプラスチック表面を取り除いてきた。 新モデルでは替わりに、nano と同じ構造を持っており、酸化アルミニウムメタルの表面がガラススクリーンを囲っている。

つまり、表面 -- そして、より重要なことにその画面 -- が、iPhone や新型 nano と同じくらい傷つきにくくなっている点だ。もっとも、新 nano も同じなのだが、同モデルの磨き上げられたステンレススチールの背面はこれまで同様、指紋と傷だらけになりやすいままだ。

80GB 6G classic は 30GB 5.5G iPod と比較するとやや薄い。Apple はこの他にも、やや厚くなるものの、160GB の classic も提供している。 このサイズ設定により、classic と他の iPod モデルの容量 -- iPhone のような 16GB iPod touch や 8GB の nano や iPhone -- との間に大きなギャップができてしまった。 Apple 他の iPod ラインはすべて、ハードドライブから Flash RAM へと移行してしまっているからだ。


Apple の iPod classic


Flash RAM 対ハードドライブ

Flash RAM の魅力は大きい。 まず手始めに、Flash からの読み込みはハードドライブからよりも速い。 classic は、音楽を再生し始めて、その直後にメニューを勢いよく移動したり、Coverflow でアルバムアートを高速で切り替えたりすると、どうしてもガタついてしまう。 これは、ディスプレイと再生の両方が一度にハードドライブへとデータを読み込みに殺到してしまうからだ。 もっとも、classic で音楽を数秒再生させてしまえば、十分な量を先読みでき、スキップの心配はなくなるため、本当の意味で深刻なパフォーマンス問題とはならない。 しかし、この問題は、AppleFlash に移行したがる理由のひとつでもある。

次に、Flash ははるかにエネルギー効率が良い。 iPod をハードドライブで駆動する場合、つねに、34MB から 64MB の小さなサイズの RAM を組み込まなければならない。 この RAM のおかげで、ディスク上の大きな固まりを読み込み、再生用に RAM にコピーできるのだ。 これによってスムーズで間断のない再生が可能になるだけでなく、ドライブをオフにして、ディスクからさらに音楽を読み込む必要が出てくるまでローパワーモードにできる。 こうした積極的なディスクキャッシュ利用なくして、iPod のバッテリーは長時間持続できない。 ビデオやゲームの再生は iPod のディスクをより頻繁に使用することになるため、バッテリー駆動時間も短くなってしまう。

AppleiPod ラインを iPhone のような機能へと移行させていくにあたって、記憶媒体としてハードドライブを使うことが電源面での不安から理にかなった選択にはならなくなっている。 ハードドライブベースの iPhoneiPod touch が出た場合、はるかに大きなバッテリーで数時間の駆動時間というような、ラップトップのようなもになってしまうはずだ。 そして、はるかに大きく重くなるはずだ。


Apple の iPod classic

ハードドライブの一番の利点は、容量対コストのより効果的な関係だ。 iPhone でもっとも高価なコンポーネントは 8GB の Flash で、iPod classic に納められているような、80GB 1.8 インチハードドライブとほぼ同じ価格だ。 ポケットモバイルデバイス用に、両者を組み合わせて 10 倍の容量を確保するというのも魅惑的だが、それは、バッテリー駆動時間、バッテリーサイズ、そして追加のハードドライブを組み合わせると、筐体は小さな本程度になるか、あるいは再充電なしには数時間も持たないモバイルデバイスという現実に直面する。 さらに、ハイブリッドデバイスの場合、ディスクにアクセスする度に反応が鈍くなる可能性がある。

それ以上に問題なのは、2.5 インチのラップトップ用ハードドライブは、すでに、デスクトップに納められているフルサイズの 3.5 インチハードドライブと比較して、より負担が軽い作業用とされており、はるかに短いライフスパンしか備えていない点だ。 超小型モバイル iPodバイスの場合は、さらに小さな iPod サイズの1.8 インチドライブからコンスタントに読み込みを行い、iPhoneiPod touchOS X 環境といった複雑なアプリケーションを備えた機能満載のオペレーティングシステムを実行している。こうなると、デバイスはさらに繊細なものなり、いつ何時不具合が発生するかも分からなくなってしまう。

こうしたことから、Apple はディスクモードにある iPod classic をブートデバイスとしては推奨していないのだ。iPod は単にフルタイムで利用するには向いていないのだ。 Apple はまた、同社のウェブサイトから、ハードドライブベースの iPod をエクササイズやランニング中に使用することに関する全ての事例を削除している。これは、運動という極端な環境でハードドライブを動作させることに伴うメカニカルなリスクを考慮してのことだ。 同社が Nike+ で使えるように提供しているのは Flash ベースの nano だけだ。 classic は iPod のなかでももっとも繊細なのだ。

つまり、ハードドライブベースの iPod classic は、iPod のロードマップ上で間もなく終焉を迎える可能性が高いのだ。 製造技術の進歩によって、Flash RAM コンポーネントの価格が下落するなか、iPod の前モデルがやがて Flash ベースへと移行することになるだろう。 ある時点で、ラップトップも同様の道をたどるはずだ。 大容量型 iPod の需要がどう推移するかにもよるが、classic ラインはこれから 1、2 年のうちに引退するかもしれない。


iPod セレクタ:サイズこそ重要

それまでは、iPod に数千曲の楽曲、そして映画を 1、2 編入れたい場合は classic が唯一のモデルとなる。 16GB 以上の容量が欲しい人がどの iPod を選ぶかは簡単だ。classic が唯一のオプションだからだ。 他の iPod モデルと比較すると、Apple は積極的にユーザをハードドライブストレージから移行させようとしているようだ。

Apple の初めのステップは、iTunes にある新しいコンテントを簡単に自動で同期できるようにしたことだった。 ミュージックライブラリ全体に匹敵する iPod を持ち歩くのではなく、より小さな容量しか持たない iPod でも新しいコンテンツを持てるように、洗練されたスマートプレイリストを簡単に設定できるようになっているのだ。 ポッドキャストやテレビ番組の同期も、新しいコンテントとして簡単に同期できる。 こうしたこと全ては、Flash ベースの iPod の容量制限という現実的なハードウェア問題へのソリューションとして iTunes ソフトウェアに盛り込まれている。


Apple の iPod classic

新しい 3G nano が、これまでのフルサイズ iPod が持っていた全機能を備えるようになったのは興味深い。 つまり、Apple は classic をさらに異なるモデルとして位置づけることに心配していないという兆候なのだ。その唯一の目的は大容量の実現だ。 同モデルのスクリーンは nano のものよりもわずか 0.5 インチ大きいだけで、実際にビデオ再生をしてみると、その違いはほとんど分からない。 nano はまた iPod classic よりも 50 ドル、100 ドル安い。

classic の大きな筐体は、やや長めのバッテリー駆動時間を実現している。 nano はオーディオ再生で 24 時間、ビデオ再生で 5 時間だが、classic の 10.5mm 80GB モデルではオーディオ再生で最長 30 時間、ビデオ再生で 5 時間、13.5mm の 160GB バージョンえはそれぞれ 40 時間と 7 時間となっている。 より大きな容量を持つモデルはより大きなバッテリーを積んでいることが窺える。

iSuppli によると、新型 80GB classic のバッテリーは、過去の 30GB video のものと まったく同じ だという。 160GB については一言もなし。

新しい旗艦 iPod は touch で、50 ドル高く、WiFi ブラウジング機能、YouTube そして WiFi ミュージックストアのためにトレードオフがある。 8mm の touch は、ビデオ再生、魔法のようなタッチスクリーン、そして 22 時間のオーディオ再生 (5 時間のビデオ再生) のために、より大きな、より高い解像度のスクリーンを備えている。 さらに 100 ドル絞り出せば、iPhone を手にでき、常にモバイルデータサービスが利用でき、カメラ、Bluetooth、Mail、Google Maps その他モバイル関連機能が利用できる。

iPod モデル間のこうした違いは、慣れてしまった記憶容量を諦めきれず、より長い再生時間を求めて、touch のような機能や限られた容量しか持たない薄型の nano にもさほど魅力を感じない既存の iPod ユーザの目には classic はもっとも魅力的に映るはずだ。


iPod のソフトウェア機能

より大きな筐体にはるかに大きな容量を備えている以外は、iPod classic は新しい nano と非常に似ており、3G iPod nano のレビュー で紹介したような、新しくなったアニメーション付きメニューや拡張されたミニアプリケーションを備えている。 両モデルとも、大幅に新しくなったオペレーティング環境で動作し、新しい classic や nano のデメリットは、5G iPod 用にデザインされたゲームが互換性を持っていないということだ。

新 classic および nano 共に、無料のゲームが 3 種類入っており、Apple はさらに 3 種類を準備中だとしている。 それらが出荷されるまで、購入できる新しいゲームはなく、すでに持っている 5G 用のゲームはもちろん同期されない。

アニメーション付きメニューやゲームサポートなど、新しいiPod ソフトウェアについてより詳しくは、3G nano のレビュー「Apple の新 iPod nano は nano の薄い衣を纏った 5G video iPod」を参照してほしい。


Apple の iPod classic


ビデオ出力への変更

最後に、iPod classic と先代の 5.5G iPod モデルとの違いについてもう一件。それは、ビデオ出力が変更されているということだ。 先代の動画対応 iPod は、video iPod ドックかヘッドフォンジャックに挿せるケーブルを通じてコンポジットビデオが出力できるようになっていた。 しかし、新しい classic、nano そして touch は皆、コンポジットビデオおよびより品質の高い HDTV や新しい規格のテレビで利用できるコンポーネントビデオが備えられている。 コンポーネントビデオは、より高品質な画像を送り出せる。

そして新モデルからは、ヘッドフォンジャックからのビデオ出力はなくなっている。 替わりに、動画に対応したすべての iPod で利用できるコンポジットケーブルを、新しい classic、nano および touch と共に販売している。 どちらのケーブルも、ドックコネクタを使って iPod に接続できる。 また、どのモデルも、50 ドルの USB 電源アダプタに対応している。 Apple はまた、50 ドルの「Apple Universal Dock」も販売しており、IR リモートコントロールが付いている。 この場合、上記ケーブルのうちのいずれかが、テレビあるいは HDTV セットに接続されている必要がある。


Apple の iPod classic

新しい iPod モデルは、先代の動画対応 iPod 用にデザインされた Apple のコンポジットケーブルとともに既存の「iPod Universal Dock コネクタ」では動作するものの、ドックコネクタからビデオを抽出する一部のサードパーティ製デバイスでは正しく動作しない可能性がある。


評価:5 点中 4 点

4 つ星


メリット:

  • 他の iPod よりもはるかに大きな容量。
  • 他の iPod モデルよりも長いバッテリー駆動時間。
  • 傷つきにくい金属製表面とガラススクリーン。
  • 拡張されたアニメーション付きメニューと Coverflow。
  • 無料の 3 種類のゲーム。
デメリット:
  • 5G ゲームと互換性がない点。
  • 3 種類の無料ゲーム以外に楽しめるゲームがない点。
  • 磨き挙げられた金属製の背面は非常に傷つきやすい点。


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