AppleInsider: Apple TV をしばらく使ってみた -- 詳細レビュー [Page 3]

Some time spent with Apple TV -- an in-depth review [Page 3]

By x3nc0re 548

Published: Thursday, May 24, 2007 10:00 AM EST

非 HD コンテントはどの程度悪いのか?

実際にあり得るセッティングの中で非 HD コンテントを Apple TV で視聴してみると、その品質は、無料のポッドキャスとのぼやけて濁った画質を底辺として、映画ダウンロードやリップした DVD の非常に満足なレベルまで多岐にわたる。 HD ケーブルテレビを購読しているユーザや、Blu-Ray 映画を楽しめる環境にあるユーザは、間違ってもシステムの入れ替えをしたり、ダウングレードして、現世代の iTunes や標準解像度 DVD のコンテント見るようなことはしない方が良いだろう。

HD コンテントのダウンロードが今年後半にも iTunes から提供される可能性があるとしても、その HD ダウンロードでさえ Blu-Ray と肩を並べるほどではないはずだ。なぜなら Blu-Ray の場合、理にかなったダウンンロードサイズを実現するための圧縮や帯域幅の問題とは無縁だからだ。

しかし同時に、iTunes のダウンロードサービスを便利に感じ、1000 ドルの Blu-Ray プレーヤーや 35 ドルする映画に投資しておらず、 HD ケーブルテレビサービスが提供されていても、ひと月に 100 ドル払って購読するにいたっていないユーザも沢山いるのだ。 こうした何千万にもおよぶユーザが Apple TV の現在の市場なのだ。 彼らは、Apple TV とこれまでの標準解像度のケーブルテレビや DVD と比較するかもしれない。

人の目とカメラとは異なるものの捉え方をするため、写真で標準解像度と高解像度とを比較してその違いを見つけるのは難しい。 ところが、標準の DVD を H.264 にリップして Apple TV 経由で HDTV ディスプレイに映すと、圧縮されていることがはっきり分かる。

ただ、デジタルカメラを使って、映画の実際の見た目をキャプチャするのは非常に困難だ。 カメラでは、グレアや波紋が入ってしまい、映画の明るい部分を洗い流してしまう。 自分の目でなら、下のスクリーンショットで Edward Norton についている「Hello I'm Bob」というネームタグはまったく問題なく読める。 ところが、写真では、カメラでは暗い場面のダイナミックレンジをキャプチャすることが困難なため、色が飛んでしまっている。

映画を代表するような写真を撮ろうとしている際、映画 (Fight Club だったが) の技術的な詳細よりもその演出に気を取られてしまっていることに気づいた。 当然のことながら、クレジットの文字はぼやけてしまい、拡大すると個々のピクセルが見えてしまう。 CGI 効果を求めて映画を見ているのなら、Apple TV を通した標準解像度では見たくないだろう。 物語を求めて映画を見ているのなら、Apple TV は俄然魅力的なものになる。


Apple TV

これは、YouTube でビデオクリップの品質をさほど問題だと思わないという現象と同じことだ。 レビューで、Apple TV コンテント中のピクセル数を取り上げているようでは、製品に本当に興味を持っているユーザの真のニーズに応えきれない。 現在のコンテントの技術仕様で Apple TV に欠けているのは、その便利さ、シンプルさ、そして価格で補われているからだ。


迂回方法

Apple TV のユーザインターフェースは、HDTV セットではくっきりと写り魅力的で、同梱されている 6 ボタンのリモコンで簡単に操作できる。 このリモコンは、Front Row Mac にバンドルされているものとまったく同じものだ。 各リモコンは特定のシステムとペアになっており、リモートで制御可能な Mac で溢れかえっている部屋の中でも意図しない操作を防いでいる。

新しい Apple TV の設定は、電源に繋ぎ、ワイヤレスネットワークあるいはイーサーネットに繋いでネットワークに参加させ、iTunes コンピュータ上のメディアライブラリとリンクさせるだけのことだ。 iTunes でペアリングコードを入力すると、Apple TV が iTunes 内にデバイスとして表示され、iPod と同じように、ライブラリー全体を同期するのか、ミュージック、テレビ番組、ムービー、そしてポッドキャストコンテント、そしてフォトアルバムのいずれかを同期するのか設定すれば、それで同期できるようになる。

Apple TV は、ソースメニューの下に、5 つの iTunes ライブラリーを追加できるようにしている。 Apple TV のハードドライブにすべてのコンテントを自動コピーしてしまうのではなく、その他のソースからの音楽やビデオをを閲覧して、必要に応じて再生できる。 ネットワークのスピードにもよるが、他のソースからのビデオ再生ではやや出遅れがあるかもしれないが、一旦再生が始まってしまえば、コンテンツはローカルなハードドライブにキャッシュされるのでスムースに再生される。

生コントロールは Tivo に似ていて、ユーザはリモコンを使って素早いスキップスキャンをしたり、ビデオの繰り返し再生をしたりできる。 ただし、この早送りの加速は速いので、特定の場面からの再生は難しすぎてできない。 というのも、あまりにも高速でターゲットを飛ばしてしまうからで、Apple はリモコンの敏感さを再検討した方が良いだろう。

リモコンでは音量調整ができるが、ほとんど使うことはない。というのも、ボリュームは最終的にテレビやステレオ側で調節してしまうからだ。 多くのユニバーサルリモコンは Apple のものをまねているが、シンプルさという点で失敗している。 Apple がプログラム可能なリモコンを同梱するというのも現実的ではないだろう。

また、やや困惑する点として、ユニットには電源を切るためのスイッチやシャットダウンメニューがないことが挙げられる。 ユニットを強制的にスリープにしたい場合は、一時停止ボタンを数秒間押し続けるというのが唯一の手段だ。 これは直感的ではないし、デバイスをスリープ状態にすることをメニューから隠して秘密にする理由もないはずだ。 Mac のような洗練されたスリープ・ウェイクアップ設定を提供すべきだし、夜にはシャットダウンできるか、少なくとも一定時間動作していない場合にはハイバーネートできるようにすべきだろう。


Apple TV Software, 1.0

Apple TV の第 1 世代のソフトウェアには、その他にも荒削りな点がある。 Apple TV にはユーザの写真を自動的に美しいスクリーンセーバにする機能があるのにもかかわらず、ユーザインターフェースの写真セクションでは、写真アルバムを単純な連続再生しかできない。 選択されたフォトアルバムを見ている時に、素早く写真を切り替えていったり、レビューのために戻ったりするような機能が一切ないのだ。そして提示される時間も固定されており、自動の Ken Burns エフェクトは確かに写真に面白い効果を加えてくれるものの、写真全体がつねに表示される訳ではないという代償を支払わなければならない。

写真表示はまた、アルバムと音楽を組み合わせてくれるが、どうもランダムでしかないようだ。 iPhoto のプレイリストのひとつに特定の音楽を組み合わせたにもかかわらず、Apple TV は認識できなかったようだ。 写真の再生中に Apple TV が提供する唯一のコントロールは、一時停止だけだ。 これは、フォトスライドショウの機能としてはかなり貧弱ではないか。特に、写真をテレビで見るというのは、誰もが、特に母親が -- そう、特に母親が -- したいことだからだ。

なぜ AppleiPhoto あるいは Finder のスライドショウ機能に匹敵するような機能を提供しないのだろう? やろうと思えばできるのだ。もちろん。 ユニットで写真やビデオ出力をする際の機能を拡張するような新しいモジュールをリリースすることなど、Apple にはわけもないことなはずだ。 例えば、なぜユーザがスライドショウの途中でスライドを切り替えたり、写真をズームしたり、パンできるようにしないのだろう?

Apple TV にはまた、もっとインタラクティブ機能が欲しい。 なぜ iQuiz のような、ユーザが自分のミュージックライブラリをどれだけ知っているかを試すような、Apple が最近リリースした 99 セントの iPod ゲームのようなものがないのだろう? ユーザに iPod と同じように曲や写真にまで評価を付けれるようにして、それを iTunes と同期できるようにしたらどうだろう? Apple TV はインタラクティブなビデオやゲームのためのプラットフォームとして計り知れないポテンシャルを備えているのに、ソフトウェアはそのハードウェアができることの表面を軽く引っ掻いているだけに過ぎない。

嬉しいことに、iTunes からソフトウェアアップデートを使えば、Apple が既存のソフトウェアをアップグレードするのも、新機能を追加するのも簡単にできるようになっている。 同社はすでに、MaciPod に対して定期的に新しい機能を配布するという評価を打ち立てているので、もし Apple TV ソフトウェアが現在のままの状態で長く放っておかれることになったら非常に残念なことだ。

数ヶ月前、Apple CFO の Peter Oppenheimer は経済アナリストとのカンファレンスコールで、「私たちは Apple TV のお客様にも、定期的に新しいソフトウェア機能や拡張を無料で提供する計画です」と語っていたのに。


ページ 4サードパーティ製エクステンション、既存の Apple TV プラグイン、将来の可能性、そして欠けているもの。

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