AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: Time Machine

Road to Mac OS X Leopard: Time Machine

By Prince McLean

Published: Friday, October 12, 2007 10:00 AM EST


バックアップというアイデアは古く、もしかすると、復元に値するデータを持つというコンセプトよりも古いものかもしれないが、Time Machine は Mac OS X Leopard でデモンストレートされたなかでも、もっとも視覚的に印象に残る新機能の一つだ。 ここではその新しい点と Apple が Time Machine で採用しているアプローチが異なる点、なぜバックアップの問題が解決されるのか、そして Leopard の新しい Time Machine がどの程度実用的に使えるのかを見ていく。

Time Machine の起源

Time Machine は、新旧テクノロジーの組み合わせになっているので、Leopard のその他の新機能と比べると、特定のポイントを起源として取り上げるのは難しい。 この新しい Time Machine は 3 つの機能レイヤーを組み合せたものだ:

  • データバックアップとファイル復元を視覚化する、その背後にある新しいテクノロジー
  • その標準的で変哲のないデータバックアップ管理機能。
  • アーカイブを溜め込む手法の背後にある新奇性のあるコアテクノロジー

この 3 つのうちの最初と最後のテクノロジーが Time Machine を本当に新しく興味深いものにしている。データバックアップの実行そのものはなにも新しいものなどではないのだ。 ほとんどのユーザにとって問題となるのは、データをバックアップしなければならないとよく分かっていながら、さまざまな理由からうまくそれをできていないということだ。 そしてそれこそは、Apple が Time Machine を追加することで解決しようとしている問題であり、ユーザが適切に情報をバックアップできなくしてしまっているような複雑さや煩雑なバックアップ管理からユーザを切り離そうとしているのだ。


壁に向かってバックアップする

データバックアップは、セキュリティ対策と同じく、安全と便利さとの兼ね合いである。 長期間にわたって頻繁にすべてをバックアップしておけば安全ではあるが、あまり便利ではない。 そしてほとんど、あるいは何もしない -- 例えば、プロジェクトの複製を作成して、それが壊れてしまった場合に備えて別のバージョンを確保しておく -- のは便利ではあるが、あまり安全ではない。 ほとんどのユーザにとっての問題は、全データ損失の危機はそれほど頻繁に起こるものではないので、適切・確実に動作してくれるバックアップシステムを構築するほどの同機がないことだ。

その裏を返してみると、一部のユーザはきちんと機能しているかのように見えるバックアップシステムを構築して、実はそうではないのに、安全を確保したという誤った感覚に陥ってしまっているということでもある。 責められるべきは、信頼性の低いバックアップメディアだったり、正しい手順にしたがっていないことだったり、本来保護するように設計されたはずの新しいデータを取り込めないシステムだったりする。

バックアップに関する 3 番目の問題は、有能な IT 専門家みずからがエータを安全に -- 常に、複数段階の保護をもって -- バックアップできるシステムを構築した場合でさえも、結果は非常に高額で、混乱に満ちて、稼働させることが一苦労なものになってしまっていることだ。 これはエンジニアリングにおける三角関係という典型的な問題だ。 時間、品質、そして価格という 3 つの制約し合う要求のバランスをとり、目的にきちんと合致するものを作り上げること。


時間、品質、そして価格を定める

効果的なバックアップを行い、確実にバックアップされていることを確認するには、バックアプシステムが十分に高速で、きちんと動作し、そして価格が高すぎないようでなければならない。 ハードドライブが多くのデータをバックアップする最善の手法となったのはごく最近のことだ。


Leopard Time Machine


テープバックアップ: 80 年代および 90 年代には、コンピュータユーザは一般的に、バックアップのためのデータを溜めておくために、十分に高速で、ある程度信頼性が置け、そして十分に低価格なメディアとしてテープドライブに依存してきた。 テープは、ハードドライブにデータを保存しておくのに比べてはるかに経済的で、バックグランドあるいは夜間に自動化されたソフトウェアで動作させることができた。 ところが、テープからデータを読み戻すには非常に長い時間が必要で、物理的なテープは消耗、破損、あるいは汚れて使えなくなるという点で悪名が高かった。

テープは一般的に安価だったものの、テープバックアップのためのユニットは通常かなり高価で、特に、「戦車のように堅牢な」DLT フォーマットのようなより高い信頼性を謳うハイエンドフォーマットは高価だった。 顧客や小企業はそれよりも信頼性の低い DDS テープ (上図) を使うのが一般的だった。


Leopard Time Machine


ディスケットバックアップ: テープよりも安価な代替手段として、フロッピーディスクが会ったが、一般的なプロッピーでは大したデータは保存できなかった。 1983 年、Iomega が Bernoulli Box を導入した。これは、Mac ユーザが fast SCSI ケーブルを使ってディスクあたり 35MB という大容量をバックアップすることで人気だった。 Bernoulli ディスク -- 基本的にはヘビーデューティーなフロッピーディスク -- の保存容量は、ディスクへより多くのデータを詰め込めるようなテクノロジーが出てくるにつれて安定して増加し、最終的にはおよそ 230 MB (上図) にまで達した。 Iomega のライバルは SyQuest で、リムーバブルなカートリッジにハードドライブプラッターを納めて販売していた。 Bernoulli と SyQuest のカートリッジは、データバックアップのために利用されたのに加えて、一般的な保存にも用いられた。


磁気光学ドライブ: 80 年代後半、磁気フロッピーは瞬く間にユーザのニーズに追いつかなくなり、一方のメカニカルなハードドライブは価格対パフォーマンスの壁にぶち当たっているように見えた。 Steve Job の NeXT は、新しいコンピュータのラインアップでの利用目的として、AppleMacintoshSony の 3.5" フロッピーが占めていたような位置を、NeXT Cube で MO ドライブが占めることを期待して、Canon の新しい 256 MB 磁気光学ドライブに賭けた。 判明したのは、第一世代の MO ドライブは信頼性が低く、価格も大幅に下落することは決してなく、さらに、パフォーマンス面でもハードドライブに匹敵できなかった。 この短命だった Floptical フォーマットと Sony の MiniDisc も MO テクノロジーを採用していたが、どちらも世界を席巻するには至らず、ほとんど採用されることはなかった。


Leopard Time Machine


90 年代の新しいディスク: 1994 年、Iomega は自社の Bernoulli Box を安価な 100 MB Zip ドライブ (上図) に置き換えた。 これは非常に人気があり、最終的にはフロッピーの代替機能として多くの PC および Mac に搭載された。 SyQuest は、より大きな容量を備え、遥かに高速で Zip のヘビーデューティーフロッピーデザインよりも信頼性がおけるハードドライブプラッターを採用した「EZ 135」で独自のライバルをリリースしようとしたが、Zip が勝ち抜き、やがて数年後に SyQuest は Iomega によって買収された。


レーザー光学ドライブ: つぎに消費者の間で広がったバックアップメディアは CD-R だった。これは、遥かに安価で、さらに価格が下落していたメディアに Zip よりも遥かに大きな容量を備えていた。 CD と DVD メディアは、モダンな 500GB ハードドライブでは 8GB DVD もあっという間にいっぱいになってしまうが、今日でも一部の利用方法に置いてはバックアップの保存方法として優れたコストパフォーマンスを発揮している。 二層式 DVD ブランクメディアはいまでもかなり高価で、記録可能な Blu-Ray BD-R などの、その後継としての光学ディスクはさらに高価だ。


Leopard Time Machine


インターネット: 1998 年までに、Job の Appleフロッピーディスクを一切搭載しない iMac をリリースした。この動きは PC 業界を驚かせた。 ユーザはどのようにファイルを書き込んだら良いのだろう? 10 年たった今も、ほとんどのデスクトップ PC には伝統的な 3.5" フロッピードライブが搭載されているというのに。 それ以来の 10 年間に、再記録可能な CD や DVD が新しいフロッピーとなったが、ほぼ誰もがどこにでもあるネットワークに接続できるような世界になって、リムーバブルなディスクにデータを複製することの重要性は急速にしぼんでいった。 iMac の「i」は、インターネットを表し、ユーザはネットを使ってファイルを分散させることが想定されていた。


Backup の現状

2007 年、データをテープドライブにバックアップするというアイデアは、サーバールームの外側にいる人々に取ってはまったく縁のないものとなり、企業ユーザでさえも多くのバックアップ目的においてハードドライブへと移行しつつある。 ホームユーザは日常的なバックアップは DVD に行うか、ネットワークファイルサービス、またはリムーバブルなハードディスクにデータを複製している。 ハードドライブの全般的な信頼性向上によって、磁気フロッピードライブにファイルを細切れにしていた時代とは異なって、それほど頻繁にデータロスに直面するわけではなくなっている。

Apple の現行 Backup アプリケーション (下図) は、主に .Mac と連携するようデザインされており、他の既存のバックアッププログラムと非常によく似た動作をする。 ユーザはバックアップするファイルを手動で選択して、バックアップを行うタイムスケジュールを設定する。 Backup は、ユーザの .Mac オンラインアカウントへとデータをコピーすることを想定しているが、iPod や CD または DVD にもバックアップできるようになっている。


Leopard Time Machine

問題は、今日のハードドライブによって可能となる低価格な保存スペースによって、私たちはディスクに重要なデータを山ほど抱えることになったということで、そのため、なにか問題やエラーが発生した場合、80 年代の不良フロッピーよりも遥かに大きなコンテントを消失する可能性があるということだ。 ハードドライブのサイズと経済の日々進化するテクノロジーは、問題であるだけでなく、解決法でもある: 重要なデータを他のハードドライブに複製してしまえば良いのだ。


ページ 2: Time Machine を支えるテクノロジー; 正体; 場所; 時間; そして手法。

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