AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: iChat 4.0 [Page 2]

Road to Mac OS X Leopard: iChat 4.0 [Page 2]

By Prince McLean
Published: Tuesday, October 16, 2007 10:00 AM EST

LeopardiChat AV 4.0
Mac OS X LeopardApple は、文書の共有や画面の共有といった、一般的にはインスタントメッセージングとは関連ないようなさまざまなものを追加してきた。 なぜ画面共有とオンラインチャットとが関係してくるのだろう? その魔法の答は、オンラインステータスの表示にある。AOL がプロモートし、バディーリストとして開発したアイデアだ。 オンラインステータスの表示で、ユーザのオンライン状態を察知して話しかけることができるかを報告する。
これによって、iChat のバディーリストが AOL または GoogleTalk/Jabber アカウントを持っていながら、直接話しかけるのが難しくなってしまう動的な IP アドレスを持っている人物をインターネット上で発見できるもっとも便利な方法となっているのだ。 AOL の OSCAR またはオープンな Jabber サーバがユーザの居場所やユーザの状態を追跡することで、iChat は画面共有を設定するための理想的な環境となる。
AOL や Jabber ネットワークによって提供されるリモートのオンラインステータスの他に、iChat はまたもう一つの発見プロトコルを長い間提供してきた: Apple 独自の Bonjour、かつて Rendezvous とされていたものだ。 AOL と Jabber はインターネット上のユーザを追跡するものの、Bonjour はローカルネットワーク上のユーザを追跡し、サーバが何かを管理する必要はない。
Bonjour は、80 年代にオリジナルの Macintosh とともにリリースされた AppleTalk と同じ自動発見テクノロジーを利用している。 長距離の AOL/Jabber をローカルの Bonjour 探索とを結びつけることで、iChat は画面を共有しりカンファレンスを設定したいユーザを発見するためのさまざまな方法を提供する。 Bonjour はインターネット -- およびリモートサーバ -- が利用できない時でさえ機能する。

Leopard の iChat 4.0

文書共有
今回 Leopard に含まれる新しい iChat AV 4.0 には、文書共有項目のための 2 つのオプションが用意されている (上図参照、Apple のウェブサイトより)。 ビデオチャットができるユーザとチャットをしている時にファイルをドラッグすると、2 つのターゲットが提示される。 ひとつはファイル転送機能をつかった文書のアップロード、ふたつめは文書の共有だ。 後者のオプションは、ビデオカンファレンスシステムのドキュメントカメラのように機能する。
Quick Look で表示できるファイルなら、文書の共有で「ビーム」できる。 文書が共有されている間、送信者側はその文書を Quick Look パネル表示として見ることができ、受信者側はビデオチャットととしてその文書を見ることができる。 送信者はドキュメントをスクロールして、設定されたペースでそのファイルを受信者側に見せることができる。ただし、そのドキュメントに絵を描いたりするコラボレーションによるホワイトボード機能は一切ない。 受信者側には読み込みのみの表示がされるので、自らマウスを使ってドキュメント内を移動することはできない。
文書共有は、写真やグラフィカルなプレゼンテーションには向いているものの、ビデオ再生のようなプレゼンテーションでは読み辛くなってしまうテキスト文書には不向きだ。 そうした文書は、ドロップターゲットのもう一つの機能であるファイル転送機能をつかって直接送信してしまった方が良いだろう。 アプリケーションは Quick Look と連携して特殊な表示を行う。例えば、KeynoteiPhoto のプレゼンテーションは、アニメーションによるページ移行を使った再生が可能だ。

Leopard の iChat 4.0

画面共有
iChat のもうひとつの新機能は画面共有で (上図、バディーリストの下にある新しいアイコン)、これはオープンソースVNC ソフトウェアを利用している。 Apple はこれまで TigerVNC を組み込んでおり、Chicken of the VNC といったスタンドアローンなクライアントや、Apple の Remote Desktop パッケージを使った管理者によって有効化、利用できるようになっていた。
ただ、ユーザが簡単に画面共有のためのセッションを設定できるようなシンプルで分かりやすい方法がなかった。 新しい iChat では、それが簡単にできる。 iChat にある新しい画面共有のためのアイコンをクリックすると、どのユーザでもこの機能をサポートしていれば、次の二つのオプションが利用可能になる。 自分の画面を共有するか、相手側の画面を共有するか。 相手側のユーザが接続を許可すれば、VNC セッションが設定される。
リモート画面を見ているユーザは、自分のデスクトップを「絵のなかの絵」ウィンドウに入れる。 そのウィンドウをクリックすると、リモートのデスクトップを自分のものと入れ替えることができ、そのウィンドウを閉じるとそのセッションが終了する。 画面共有のパフォーマンスは、接続の質に関係してくるが、ローカルな WiFi ネットワークであれば非常に便利だ。
この機能は、リモートユーザのために長距離のトラブルシューティングを行う際により威力を発揮するだろう。というのも、表示の確認や実際の作業が、口頭で説明するよりもはるかに簡単になるからだ。 画面共有をインスタントメッセージングに組み込むなど誰が考えつくだろうか?

テキストチャット機能
新しい iChat AV 4.0 (下図) にはまた、テキストチャット用の機能も追加されている。 この新しいインターフェースでは、これまでのブラッシュメタルの外見を廃して、サイドバーにタブとして複数のチャットが表示されるという Leopard の標準的なウィンドウになっている。 また、ネイティブで GoogleTalk のアカウントに対応し、Google のサーバ設定を知らなくとも簡単に設定できるようになっている。
これまでのバージョンの iChat では、SMS メッセージ -- 実際の作業は AOL の OSCAR サーバが行ってきた -- の送信を長くサポートしてきたものの、今回の新しいバージョンでは数字の入力が簡単になるようなインターフェースが採用されている。 この新しい iChat はまた、ステルスモードに対応し、Safari のものに似たダウンロードウィンドウでファイル転送を管理できる。

Leopard の iChat 4.0

ビデオカンファレンス機能
AppleiChat には、数千ドルもするようなプロ用システムも含め、利用可能ななかでももっとも優れてもっとも使いやすいビデオカンファレンス機能が備わっている。 コンシューマ向けビデオフォンというアイデアは「2001: a Space Odyssey」で描かれた 60 年代まで遡ることになり、70 年代以降 Bell Labs によってユーザ向けに投入されているが、消費者の間で広く使われるようになったわけではない。 ビデオカンファレンス最大の問題は、自分自身や自分の背後で起こっていることがどう映り込むかに関して自意識過剰になってしまうことだ。
電話に出たり、IM を送ったりする際には、その場で自分の見た目が印象を左右することはない。 この問題を回避するために、AppleiChat を拡張して、ビデオカンファレンス機能で文書共有できるようにして、フォーカスをユーザではなく写真や文書に向くようにした。 ビデオ背景とビデオエフェクトという iChat の他のふたつの機能では、瞬きしないカメラを見つめる居心地の悪さを回避しようとしている。

Leopard の iChat 4.0
ビデオ背景 (上図) では、H.264 ビデオ圧縮からのトリックを利用して背景を置き換えることができる。 映画で表示される通常の映像とは異なり、圧縮ビデオは通常、画面内の変更された箇所のみをアップデートする。 写真や映像を使って背景を置き換えるよう設定すると、iChat はユーザに対していったんフレームの外へ出るように指示し、背景に何が映るのかを認識する。 ユーザ再びフレーム内に戻ると、カメラの画像から変更された領域 (ユーザ) をマスクし、ユーザが選んだ写真または映像をユーザの背後にある静的な背景の替わりに表示する。 この機能は、照明がよく効いた部屋のなかでもっとも効果的の動作し、もちろんのことだが背景は動かないようにしておく必要がある。
もし、散らかった本棚よりも自分自身の見た目が気になる場合は、Photo Booth からエフェクトを選択して、ミラーやディストーションといったコミカルなエフェクトを施したり、グロー、コミックブック、あるいはカラーエフェクトといったアーティスティックなフィルタを施しても良い。
iChat はつねにミラー画像をユーザに提示し、受信者側には通常の画像を送信しているというのも興味深いのではないか。 これは、私たちのほとんどがビデオや写真ではなく鏡で自分自身を見ることに慣れているからだ。 鏡による反射とは異なる自分自身のイメージを見るのは、自分の声の録音を聞くのと同じくらい居心地の悪いものになり得る。 私は、こうした効果を施していない Yahoo のビデオチャットiChat を比較していて初めてこの点に気づいた。 結果として、iChat はより馴染みやすく見栄えの良いセルフイメージを表示してくれ、カメラの前に座る居心地の悪さを少し和らげてくれる。
iChat では、シンプルな背景置き換えに加えて、Quartz Composer を活用したビデオトリックを演じることもできる。 Apple は、ユーザの画像を透明でちらちらと揺れる画像 -- R2D2 がオビ・ワンを録画した画像のように -- として表示するホログラムフィルターをデモンストレーションしていた。 グラフィクスに詳しいユーザなら、さまざまなプラグインフィルターを作成できるだろう。
リアルタイムで動画処理を行うには、それなりにパワフルなビデオカードを備えた新しい Mac が必要だが、受信者側ではそのような処理負荷はかからない。 フィルターによってはビデオの圧縮が簡単になり、より低速な接続でもより品質の高いビデオを送れるようになる。
LeopardiChat でもっとも興味深い機能は、Quartz Composer を利用したサードパーティによって作成されることになるかもしれない。 全体的に見て、こうしたことからも iChat のために Leopard へとアップグレードする理由になる。

AppleInsider で連載中の「Leopard に向かって」シリーズのこれまでの回もチェックしてほしい: Mail 3.0Time MachineSpacesDock 1.6Finder 10.5Dictionary 2.0、そして Preview 4.0

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