AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: Dashboard、Spotlight そして Desktop

Mac OS X Leopard に向かって: Dashboard、Spotlight そして Desktop

By Prince McLean

Published: Friday, October 19, 2007 10:00 AM EST


Mac OS X Leopard で新しくなっているのは、なにも主要アプリケーションだけではない。 Apple は、同システムで動作するあらゆるアプリケーションに機能を追加して洗練させ、Desktop、Spotlight、そして Dashboard にもアップデート・拡張を施し、新機能やグラフィカルの向上、新しいパフォーマンス拡張を追加してきている。 ここでは Leopard のデスクトップ環境全体の新機能を見ていこう。


このレポートは、デスクトップの起源、歴史、そして成熟の過程にかなりのスペースを割いている。 時間のない人、あるいは Leopard で予定されている機能に興味のある人は、本レポートの ページ 4 へとジャンプされたい。


グラフィカルデスクトップの起源

初めてのグラフィカルデスクトップは、Ivan Sutherland が MIT 在籍時に自らの 博士論文のために Sketchpad (下図) を開発した 1963 年に登場した。 同システムは、芸術および技術目的の両面において利用できるコンピュータグラフィクスの可能性をデモンストレーションしており、コンピュータ用のヒューマンインターフェース開発へと道を拓くものだった。


Leopard Desktop

Douglas Engelbart は、Stanford Research Institute の Augmentation Research Center 在籍時に Sketchpad から着想を得、 ARPA、NASA、そして U.S. Air Force からの財政支援を受け、oNLine System と呼ばれるコンピューティング・コラボレーションツールに関連したアイデアを発展させていった。

1968 年 Engelbart は、サンフランシスコの Fall Joint Computer Conference において、およそ 1000 人のコンピュータの先駆的ユーザらを前に、自らの作品のデモンストレーションを行い、マウスでコントロールできるラスター化されたグラフィカルなコンピューティングインターフェースといったものがどのようなものなのかを披露した。


Leopard Desktop

このデモンストレーションでは、40 マイル離れた Menlo Park コンピュータシステムから送られてくるテキストおよびグラフィクスを生成する高解像度の CRT モニターの映像を投影して行われた。中には、マウスポインタの「バグ」ドットも含まれていた。 Engelbart は、マウス、キーボード、そしてコーディングキーセット (上図) の組み合わせを用いて直接画面上のデータを操作し、ハイパーリンクをクリックし、画面上でテキストを動かしてみせるというジェスチャーも披露することができた。 同時に利用しているユーザも、同時に同じシステムをコントロールすることさえできた。

Elgelbart の デモンストレーション によって、単に計算を行うために利用する機械としてではなく、人類の知識を増大させるためのシステムとしてのコンピュータシステムの開発に拍車がかることになった。 彼は「増大 (augmentation)」という言葉を使って、コンピュータによる支援が進化の容量を加速化するというアイデアを説明した。 Elgelbart は後に、鉛筆にブロックをくっつけて、「減少 (de-augmentation)」という逆の着想も紹介した。 それは、より多くの紙を消費するより大きな文字でよりゆっくりと書くというものだった。


Xerox PARC での開発

SRI の彼の研究室への援助資金が底を突き始めると、彼の研究員の多くはXerox の PARC、Palo Alto Research Center へと移っていった。そこでは、Xerox Alto を用いて 70 年代もグラフィカルコンピューティングの高度な開発が続けられていた。 1981 年の Star (下図) は、操作可能なオブジェクトを表示したウィンドウワークフレームとアイコンを利用した先駆けとなった。

Star は単独で動作するシステムではなく、ネットワーク化された「未来のオフィス」の一部として意図されていた。 典型的な設置コストが 50,000 ドルから 100,000 ドルだったこともあり、Xerox はこの Star システムの販売では苦戦した。 80 年代半ばにはより簡略化された Viewpoint と呼ばれるシステムを販売しようとしたものの、同様に苦難を味わうことになった。 Xerox は後に、GlobalView という名称で PC 向けに同社が開発したグラフィカルな操作環境を販売しようとした。


Leopard Desktop

Apple の Lisa と Macintosh

Xerox に端を発するさまざまなコンピュータ技術に関連した研究は、開発者らが PARC から移籍するにつれて広がっていった。 Xerox はm外部企業に向けて自社の技術を披露することにかけては寛大だったが、Star を商業的にリリースする計画を固めつつあったことから、社内ツアーの開催は止めてしまった。 1979 年 Xerox は、AppleSteve Jobs と Bill Atkinson に対して Star の進捗状況の成果をデモンストレーションするという契約の一環として Apple に 100 万ドルを投資した。 Apple が数年後に公開企業となると、Xerox が行った投資が突如として 1700 万ドル以上の価値を持つようになり、Star そのもので稼ぎだした額を上回ることになった。

Atkinson は、実際にはどのように Star が動作するのを完全には理解せず、ウィンドウの重複表示など、彼が Xerox デスクトップの一部であると考えた機能の実装作業を開始した。 その結果、Star は、Atkinson が考えていたほどには多くのことをこなすように設計さえされていないことが明らかになった。この経緯は、SCO, Linux, and Microsoft in the History of OS: 1980s (OS の歴史における SCO、Linux、そして Microsoft: 1980 年代) という記事に詳しい。 こうした想定は、Apple 開発者らを意欲的な製品開発へとかき立て、同社は高額な研究に資金をつぎ込んでモダンなグラフィカルデスクトップの先駆けとなっていった。

Xerox で目にしたものに興奮した Apple 従業員に加えて、Xerox の多くの従業員も製品としてそのテクノロジを実際に送り出そうとする Apple の関心に対して関心をかき立てられた。 1983 年の Lisa (下図) の立ち上げまでには、15 人の Xerox 従業員が Apple で働き始めていた。


Leopard Desktop

この Macintosh の並行開発によって、Apple は、Lisa よりもはるかに低いコストで販売できるシステムを手に入れることになった。Lisa は、高価な RAM 設置費用のために10,000 ドルほどの価格がつけられていた。しかし、2,500 ドルという Mac のためのハードウェア予算は、複数のアプリケーションを実行するだけの十分なメモリーを備えていないことを意味していた。 Lisa はそのマルチタスクシステムによって、Mac との差別化を目指し、ハイエンド市場をターゲットにしたよりパワフルなシステムとして同機を位置づけられていた。


Desktop のアクセサリ化

Bud Tribble は、一度にひとつのメインアプリケーションしか開けいないという制限にも拘らず、ユーザが限られた環境の中でも同時にミニアプリケーションを実行できるようにして、画面上の計算機やメモ帳、あるいはシステム環境設定のためのコントロールパネルといった簡単なタスクを行えるようにするというアイデアを思いついた。

Apple は、Andy Hertzfeld が自ら Folklore に寄せた「Desk Ornaments」という記事のなかで表現したように、このアイデアを「オーナメント (飾り)」、そして後には「デスクアクセサリ」と呼んだ。 デスクアクセサリには、オリジナルの Mac デスクトップ (下図) に含まれているもの以外は、特別なユーティリティを使ってシステムにコピーしてインストールする必要があった。 ただ、後のバージョンでは、新しいデスクアクセサリのインストールはもっと簡単になった。


Leopard Desktop


ページ 2 / 4: マルチプロセッサデスクトップからシンプルなウェブクライアントへ; ウェブサービスからマルチプロセッシングデスクトップへ; Apple の VTwin デスクトップ検索テクノロジ; そして Watson vs Sherlock

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