AppleInsider: Mac Office 2008 に向かって: インストールとインターフェース

Road to Office 2008: installation and interface

By Prince McLean

Published: Tuesday, November 13, 2007 09:00 AM EST


Microsoft が最後に Mac 用 Office をアップデートしてから 4 年が経過した。 新しい Office は先のバージョンを生暖かく再加熱しただけのものだろうか、あるいは、君が求めてやまないような、完全にオーバーホールが施され新鮮に生まれ変わっているのだろうか?  特に、従兄弟の Windows 版と比較した場合、どのくらい Mac っぽいのか、また逆にどのくらい Offlce っぽいのか?  われわれは Office 2008 for Mac のベータリリースをテストしている消息筋に連絡を取り、どうなっているのかを確認した。 ここでは、インストールおよび新しいユーザーインターフェースに関連して何を期待して良いのかを見ていこう。


このレポートは、ソフトウェアベースのオフィススイートおよび MacMicrosoft Office の起源、歴史、そして成熟の過程にかなりのスペースを割いている。 時間のない人、あるいは Office 2008 で予定されている機能に興味のある人は、本レポートの ページ 2 へとジャンプされたい。


Office 2008 のための舞台設定

前回 Office for Mac がリリースされたのは 2004 年のことだった。 そのバージョンでは、その前身である Office v.X から機能面で改良されており、Mac OS X にネイティブ対応していたものの、同スイート全体のルック・アンド・フィールには特に大きな変化はなかった。 さらに、Office の Mac バージョン固有の新機能も複数追加されており、Windows 側とは幾分異なるものになり、MicrosoftMac Office には Windows 版に移植されていない機能があると指摘していたほどだ。

Microsoft はまた、Mac 版では提供されていない他のアプリケーションを Office for Windows には含めており (Project や Access データベースなど)、Office for Windows と比較した場合、Mac バージョンの Word、ExcelPowerPoint、そして特に Entourage にはない機能もある。

Office 2004 はまた、MicrosoftMac Business Unit が直面している困難なエンジニアリング課題をも浮き彫りにした。 Office は、Mac ユーザにアピールするため、Mac アプリケーションとして求められる挙動にきちんと準拠していなければならない。 ところが、Windows との互換性 -- 単にファイルの交換だけでなく、全体の外見や機能も -- を保つためには、Office for MacWindows 側と同じ方向性と戦略を保たなければならないのだ。

Office がより Mac っぽくなるほど、企業がそれをサポートすることが難しくなる。というのも、企業の情報テクノロジーを管理している人々およびトレーナーが新しい環境を学ばなくてはならないからだ。 しかし、同製品がより Office っぽくなるほど、ホームユーザやクリエイティブ職、そして Mac の緊密に統合された「非 PC」コンピュータ環境を求めて意識的に Mac を購入したユーザにとって取っ付きにくくなってしまう。


Mac Office と Office for Windows を比較する

Microsoft Office の先のバージョン (下図: Word 2003) は、Office の Mac バージョンに非常によく似ているが、メニューバーをツールバーと並んでドキュメントウィンドウ内に設置するなど、Windows スタイルのウィジェットや習慣が採用されている。


Office 2008

Mac 上では、Microsoft は画面再上部に標準のメニューバーを利用するだけでなく、ドキュメントウィンドウ外にアイコンからなるフローティングツールバーという独自の伝統に従ってもいる (下図: Office 2004)。これは、Photoshop のツールパレットや 80 年代にもともとデザインされたクラシックな Mac アプリケーションに似ていなくもない。


Office 2008

2005 年 Microsoft は、Office の外観について大胆な見直しを行った (下図: 2005 年に構想された Word のデモ)。 Office ウィンドウはフラットでメタリックな外見となり、メニューバーそのものは標準的なドロップダウンメニューから新しい「Ribbon」インターフェースのキラキラしたボタンへと変更され、ユーザが必要に応じて変更できるようなグラフィカルなアイコン領域の並びが提示されている。 この Ribbon というアイデアは批判を呼びおこし、Microsoft は Fluent UI へとその名称を変更せざるを得なかった。


Office 2008

Fluent/Ribbon の背後にあるアイデアは、一度に密度の高い情報を沢山提示することにある。 このコンセプトは、メニューバーから項目を落として、ユーザが頻繁に利用する選択肢しか表示しないという、MicrosoftWindows XP で示した革新と似ている。 問題は、情報の在処を動かしてしまうことで、どこに項目があったのか思い出すための手を動かす筋肉の記憶を壊してしまうことだ。 Fluent Ribbon の場合、メニューが完全になくなり、替わりに新しいボタンコレクションが並んで提示されるので、新たにそれを覚えなければならない。 Office を使い慣れているユーザは、このバージョンに対して WordPerfectApple の Pages と同じくらいの違いを感じるはずだ。

今年 1 月 Microsoft は、新しい Windows Vista と共に Office 2007 for Windows (下図: Word 2007 aka 12) をリリースした。 Fluent/Ribbon はそのまま残されていたものの、保存その他の項目のために、最上部に小さなツールバーを取り付けていた。これは、Vista の Start ボタンに代わって、マーケティング要素が強くなった丸い Windows ロゴが採用されたのと同じ丸い Office ボタンの横に置かれている。 全体的なルック・アンド・フィールは MicrosoftVista Aero を反映して、ウィンドウの境界やコントロールに明るく盛り上がるようなグラデーションと、透明感と鮮やかな陰影が多用されている。


Office 2008

しかし、同じ外見を Mac に持ち込んだとしても、全く受け入れられないだろう。 Office 2007 の Fluent/Ribbon は、ツールバーアイコンと他の提示方法の混合としてメニューバーを新しいものにし、統一されたヒューマンユーザーインターフェースというコンセプトを完全に破壊している。 Mac 上のアプリケーションは、それぞれのメニューをメニューあるいはグラフィカルリボンとして表示するかを選択することはないし、Mac ユーザは、Windows Media Player が各リリースでしているような、あらゆるアプリケーションにスキンをかぶせて、その時々に流行っている派手な独自 UI を使うこともない。

Microsoft は、至る所からアイデアをコピーしてくるための労を惜しまないのに、良いアイデアをコピーするよりも悪いアイデアを思いつくことの方にはるかに長けている。 生産性アプリケーションは隅々までユーザを生産的にするためのものであって、彼らを楽しませるものではない。

Office 2007 の外観は Vista と一貫性があり、2007 年の Microsoft アプリケーションにとって強力なブランドを作り出しているが、クロスプラットフォームとして通用するようにはデザインされていない。むしろ、Sun の OpenOffice.org といったオープンソースのオフィスクローンを撃退することを主眼に設計されている。 そのため、MacBU は新しい Office をどうやって Mac に持ち込めば良いのか頭を悩ませることになった。


新しい Mac UI

Microsoft は今年、Office の外観に劇的な変化を導入したが、AppleMac OS X 10.3 Panther および Office 2004 当時から 4 年間にわたって Mac アプリケーションの外観に大幅な進化をもたらしてきた。 Mac OS X にバンドルされている Apple のアプリケーションは、Aqua ヒューマンインターフェースガイドラインに準拠して拡張されているが、新しいことを試すために時としてそこから逸脱することもある。 Mac OS X 10.2 TigerMail 2.0 ではバブル型ツールバーアイコンは、他とは違って見えるとして厳しく批判されたものの、Mail はそれでも、他の標準的な Mac OS X アプリケーションと同じようなユーザによるカスタマイズが可能なツールバーを利用している。

ユーザは、テキストラベルの付いたアイコン、アイコンのみ、またはテキストのみから選択でき、大きいまたは小さいアイコンサイズを選択できる。 ツールバーのカスタマイズとは常に、ツールバーにドラッグ・アンド・ドロップできるアイコンのシートをドロップダウンしてくることを意味している (下図: Pages 08)。 アプリケーションはまた、右上角にある錠剤型のアイコンをクリックすることでツールバーを隠せるようにすることが求められている。


Office 2008

TextEdit、iPhoto、あるいは iTunes といった一部のアプリケーションにはツールバーそのものがないものもあるが、他はカスタムツールバーのスタイルを維持している。Safari は、少数のボタンのためのテキストラベルを提供しないコンパクトなツールバーを備えている。それでもユーザは、Mail、iWork アプリケーション、Preview、あるいは他のツールバーを備えたアプリケーション同様に、Safariツールバーをカスタマイズできる。

生産性アプリケーションにある二番目に重要な Mac の規則にパネルがある。これは、NeXT から受け継いだアプリケーションに共通している。 Apple は標準の Color Picker パネルと Font 選択パネルを定義し、そして、Keynote、Pages、iWeb、そして Numbers 間で非常によく似た動作をする標準の Inspector パネル (下図) を利用し始めた。 Apple はまた、iTunesGarageBandPhoto BoothiPhoto、そして iMovie 内のライブラリに保存されているオーディオ、写真、そして動画を選択するための標準の Media Panel も提示している。


Office 2008

あらゆるアプリケーションで同じパネルを利用することで、アプリケーションがどれだけ異なるのかを抑えて、アプリケーションがどれだけシンプルに動作するのかを強調している。 既存の Word 2004 はこうした標準の Color、Font、あるいは Media パネルを使用していない。 替わりに同アプリケーションは、奇妙な様式の Color ウィンドウ、より機能の少ない独自の Font Formatting Palette (下図: 標準的な Mac の Fonts パネルの横) を提示し、そしてメディア選択用のインターフェースは一切用意されていない。 同アプリケーションのフローティングツールバーの使い方も、Mac OS X にとっては変に馴染みのないインターフェースのアイデアだ。


Office 2008


ページ 2 / 3: MacBU の妥協案; そして Office 2008 のウィンドウツールバーとコントロール

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