AppleInsider: Windows 7 vs. Mac OS X Snow Leopard: 生まれながらのライバル

原文:Windows 7 vs. Mac OS X Snow Leopard: competitive origins

By Prince McLean

Published: Tuesday, January 20, 2009 11:00 AM EST

テクノロジーメディアは、Microsoft の次期 OS である Windows 7Apple の新しい Mac OS X 10.6 Snow Leopard とをどうにかして競わせようとしているが、両製品はじっさいは直接的なライバルではない。

ユーザのほとんどがたどり着くオペレーティングシステムとは、購入するハードウェアに左右され、システムが提供している特定のソフトウェアの詳細で特定の仕様によるものではない。 過去を振り返っても、ハードウェアの選択にしても、必ずしも仕様によって決められているわけではない。本機時では、AppleMicrosoft とがオペレーティングシステム市場で繰り広げてきた競争の歴史を、Windows 7Snow Leopard が登場する今年まで振り返る。 モダンな MacWindows も実行できるが、AppleMicrosoft から OEM としてのライセンス付与を受けない唯一の PC メーカーでもある。対照的に、AppleMac OS X を唯一合法的に実行することができるのは、同社独自のプレミアム PC 上でのみだ。 こうした事情により Mac OS X は、ソフトウェア機能を誇示し、ハードウェアとのより強固な統合を売りに、Apple のハードウェアを差別化し、90 年代の 10 年間に地滑り的に失った Apple の地盤のいくらかを取り戻すことに貢献してもいる。

どのようにして Microsoft は 90 年代に Apple のお株を奪ったのか

90 年代、Microsoft とその Windows PC メーカーからなる同盟は、Apple を取るに足らない存在として見なしていたが、Mac OS X が登場し、その美しく洗練されたグラフィクスやマルウェアに悩まされることのないユーザエクスペリエンス、そのユニークで一貫性を保ったインターフェース機能によってユーザの注意を惹き付けるようになると、Microsoft は競争力のある製品を提供できるようにとライセンシーからの突き上げを受けるようになった。
Mac OS X は実質的に Apple の時計をリセットし、同社が PC 市場全体の 10% 以上を占め、ほぼすべてのグラフィカルデスクトップコンピュータを支配していた 1990 年へと逆戻りさせることになった。 当時その他の PC メーカーは DOS を走らせていたため、Apple が自社のグラフィカルで簡単に利用できる製品を目立たせることは比較的簡単だった。 新しい PC にインストールされて出荷された初のバージョンとなった Windows 3.0 は、まだ登場していなかった。
もしかすると、Apple にとってものごとがあまりにも簡単だったのかもしれない。AppleDOS PC と激しく競り合うことなく、自社の技術的優位性を利用して、マシーンにたいしてより高い価格設定をおこなっていた。 問題といえば、Apple 専門の市場には、販売のための専門アウトレットがなかったことだ。 同社は、コンピュータストアや Sears のような一般的な小売店でより安い DOS PC と肩を並べて Macintosh を販売せざるを得なかったことだ。Apple はこうした小売店のなすがままになっていた。というのも彼らは、DOS PC でより多くのマージンを稼ぎだしていたため、Apple 製品を売りたいというインセンティブをまったく持っていなかったのだ。



Mac の売上げが横ばいを続けるなか、PC の売上げは急速に伸びはじめた。 MicrosoftWindows に粘り強くアップデートを施したことで、Mac での体験と Windows シェルをインストールした DOS PC との体験との間のラインがぼやけはじめたのだ。 加えて、Microsoft が比較的まっさらな状態から Windows 開発していたのとは対照的に、AppleMac OS は 80 年代のレガシー問題に足を取られ、シンプルな協力式マルチタスクモデルや、メモリー保護やセキュアなユーザーアカウント、ファイル権限といったモダンなオペレーティングシステムが備えているべき機能を備えていなかった。
Snow Leopard vs. Windows 7
Windows 3.0 は Microsoft Windows の三番目のメジャーリリースで、1990 年 5 月 22 日にリリースされた。


Apple は、テクノロジーオーバーホールを行うのではなく、Taligent や、Copland、Gershwin といった一連のコードネームをリリースしたものの、約束はけっして実現されることはなかった。 90 年代終盤までに Apple は、グラフィカルデスクトップコンピューティングの盟主としてのポジションを失い、同業界においてイノベーションを起こしていたことさえ多くのウォッチャーから忘れられるまでに失墜していた。 しかし、同社は幸いにも、NeXT との吸収合併およびかつての CEO Steve Jobs の復帰とともにカムバックを果たすことになった。
Snow Leopard vs. Windows 7
Apple が発表した Copland のランタイムアーキテクチャーのダイアグラム


2000 年に逆転したテーブル

2000 年度初頭 MicrosoftWindows 2000(別名 Windows 5.0)をリリースした。これは、同社の新しい Windows NT オペレーティングシステムの成熟して安定したバージョンで、同社が Windows 95/98/Me として販売してきた WindowsDOS シェルバージョンに置き換わるべく開発されたものだった。 Microsoft の行く手を拒むものはいっさい存在しなかった。Apple は全 PC およびサーバー世界市場シェアのおよそ 2% にまで落ち込んでいたし、IBMOS/2、NeXT、BeOS、その他のデスクトップオペレーティングシステムのライバルたちは完全に視界から消えていた。

Snow Leopard vs. Windows 7
Windows 95(左:1995 年 8 月 24 日リリース)および Windows 98(右:1998 年 7 月 25 日リリース)


Microsoft が抱えていたやっかいな独占禁止法違反裁判は、ブッシュ新政権によって葬り去られようとしており、同社は Windows 2000 と同社のコンシューマ向けハードウェア用 Windows 98Whistler としてリリースしようとしていた。 このリリースの後、同社は、Longhorn および Blackcomb を含めたロードマップを発表した。独占的な OEM 契約を結ぶことで他の競争相手がオペレーティングシステム市場へと参入できないようにした、という訴訟を押さえ続けることができれば、同社はデスクトップ PC ソフトウェアイノベーションの先頭を維持することが保証されていたようなものだった。
Snow Leopard vs. Windows 7
Windows 2000 は、ビジネス用デスクトップ、ノートブック、そしてサーバーを対象に 2000 年 2 月 17 日にリリースされた。


究極的には Microsoft とって、あらゆる法的問題を成功裡に片付け、決着を付けることが可能だったものの、新たなチャレンジに見舞われることになった。 それは、90 年代初頭、インターネット普及前の遺物にまつわる非常に深刻なセキュリティ欠陥の止めどのない連鎖だった。 突如 Microsoft は、穴だらけの複雑なソフトウェアロードマップ、熾烈さを増す価格競争にさらされた製品(Linux やその他のフリーソフトウェアのおかげで)、そしてデスクトップイノベーションにおけるリーダーとしての同社の地位に立ち向かう Mac OS X からの新たな挑戦といった、10 年前に Apple がいた場所 に自らもいることに気づくことになった。

Windows XP vs. Mac OS X

MicrosoftWhistlerWindows XP として送り出されたが、内部的には Windows 5.1 という Windows 2000 のマイナーアップデートというものだった。 ところが、Microsoft はセキュリティー関連作業に向き合わざるを得なかったため、その後の 10 年間にわたって XP が同社のプライマリー OS となってしまった。 2006 年に Windows Vista(6.0)-- Longhorn からの派生ながら、完成まで計画以上の月日を費やした -- のリリース後 2 年経っても、Microsoft のインストールベースの 80% 近くが XP のままで、同社のハードウェアパートナーもシステムを XP へと変更し直せることを機能のひとつとして売り出していた。
Snow Leopard vs. Windows 7
2001 年 10 月 25 日にリリースされた XP は、Windows NT のカーネルおよびアーキテクチャー上にビルとされた Microsoft 初のコンシューマー向け OS だった。


対照的に、XP と時を同じくしてデビューした Mac OS X 10.0 は、2001 年の 10.1 無料アップデート、2002 年のメインストリーム 10.2 Jaguar、2003 年後半の 10.3 Panther、2005 年初頭の 10.4 Tiger、2006 年には Intel 対応 10.4 Tiger、そして 2007 年の 10.5 Leopard というように、一連の大きなレファレンスリリースでアップデートしていた。 その間 Microsoft も複数の「サービスパック」を XP 向けにリリースしていたが、XP SP2 のみにしか大幅な機能的アップデートが施されておらず、ほとんどは同 OS のセキュリティ問題へのパッチ関連だった。 Mac OS X のほうはというと、古いマシーン上でさえもより高速に新しいソフトウェアを実行できるようにしたパフォーマンス向上に加えて、Mac ユーザーのための多数の新機能、アプリケーション、サービスを提供した。 Apple はまた、Mac OS X のレファレンスリリースにたいして、無料の「サービスパック」マイナーアップデートも提供した。
Snow Leopard vs. Windows 7
Mac OS X 10.0 "Cheetah"(左:2001 年 3 月 24 日リリース)および Mac OS X 10.1 "Puma"(右:2001 年 9 月 25 日リリース)


Windows PC と Mac との関係を変えたもうひとつの要因に、Apple が新しい直営店を開発したことだ。これには、同社が所有して気軽に立ち寄れるアウトレットと、販売パートナーの店舗内に「店舗内店舗」をもうけるという二種類があった。 これによって Apple は、機能面や利便性ではなく、主に価格面で競合する Windows PC から離れて、差別化した自社マシーンを展示することができるようになった。 その結果、Apple は、自社のマシーンの機能を独自に売り込めるようになり、低価格な PC メーカーにあわせて苦労して価格を抑える必要がなくなった。
Snow Leopard vs. Windows 7
Mac OS X 10.2 "Jaguar"(左:2002 年 8 月 23 日リリース)および Mac OS X 10.3 "Panther"(右:2003 年 10 月 23 日リリース)


この小売戦略によってまた、ストアブランドにかかってくるノーブランド PC メーカーからのプレッシャーや低価格路線へのプレッシャーを Dell や HP といったネームブランドへと向けることとなった。このため、こうしたブランドは、さらなる低価格競争という容赦のなレースを余儀なくされ、それが製品品質の下落へとつながり、されに Apple の製品を他の PC メーカーから差別化することになった。 いまや直営店のおかげで、Apple は、より高価格でも環境に優しい素材やカスタマイズされたシリコンデザインをはじめ、新しいユニボディ MacBook で使われているような新しい製造技術を試したりできるようになった。
Snow Leopard vs. Windows 7
Mac OS X 10.4 "Tiger"(左:2005 年 4 月 29 日リリース)および Mac OS X 10.5 "Leopard"(右:2007 年 10 月 26 日リリース)


このように統合をすすめていくことすべてが、Mac OS XMac ハードウェアとの融合を促進し、小売製品としての Windows とはますます質を異にしていくことになった。 Apple は、Mac OS XWindows の代替としては宣伝しておらず、より全般的な PC vs. Mac というような争い方をしている。
ページ 2 / 2: Vista vs. Mac OS X;および Windows 7 vs Snow Leopard.

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