AppleInsider: Apple のカスタム A4 iPad チップは 10 億ドルの投資だったとの予測

原文: Custom Apple A4 iPad chip estimated to be $1 billion investment

By Sam Oliver
Published: Monday, February 22, 2010 10:40 AM EST
Intel のような従来のチップメーカーを迂回して iPad のために独自の ARM ベースのカスタムプロセッサーを製作することで、Apple はおよそ 10 億ドルにものぼる投資をおこなった可能性がある、と新たな記事が示唆している。
Intel にたいするライバルの伸長を追跡している The New York Times は、スマートフォンのための高度なモバイルプロセッサーを製作するのにテクノロジー企業がおこなってきた 高額な投資 について指摘している。 しかし、モバイルデバイス用のより小型で効率性の高いチップを構築するというレースにおいては、海外の製造企業は業界のリーダーである Intel にとっても手強い相手になることが示されている。
AppleNvidia そして Qualcomm は、ARM ベースの独自モバイルチップをデザインし、契約した企業に製造を委託している」と同記事。 「工場への直接投資をしなくとも、こうした企業は一からスマートフォン用チップを作成するにあたっておよそ 10 億ドルの費用がかかっている可能性がある。」
工場を建設すればこうしたコストはおよそ 30 億ドルになる、と記事にはある。 さらに、チップメーカーの誰が次世代デバイスプロセッサーを供給するかをめぐって争うことで、「チップ戦争がさらに血なまぐさいものになりそうだ」としている。
Intel はモバイルデバイス向けに自社の低消費電力・低コストな Atom プロセッサーをプッシュしているが、同チップはライバルである ARM チップベースのものよりも高額で消費電力も高い。 Atom は 2008 年に Apple 製品に搭載される とされていたのにもかかわらず、実際にはそうなっていない。
来る iPad には 1GHz Apple A4 プロセッサー[和訳] が搭載されており、これは ARM アーキテクチャーをベースにして CPU とグラフィック処理とを統合したものだ。 このプロセッサーCortex-A9 MPCore[和訳] をベースに、iPhone 3G を動かしている ARM ベースの CPU よりもはるかに高速だ。

A4 プロセッサー
iPad に加えて、ARM デザインをベースにしたプロセッサーは HP や Lenovo から登場する新しいラップトップにも搭載される予定だ。
Cortex-A9 のレファレンスデザインは、2 ないし 4 つのコア を要求している。 このアーキテクチャーは、600MHz iPhone 3GS がベースにしている ARM Cortex-A8 の後継となっている。

Cortex A9
AppleInsider が 2008 年に他に先駆けて報じたように、Apple は長年にわたって ARM アーキテクチャーのライセンスを受けていたものの、2 億 7800 万ドルで P.A. Semi を買収 して以降チップ製造ビジネスにも投資をしてきた。
しかし月曜日に Times が発表した 10 億ドルという見積から、Apple の投資は P.A. Semi の買収額よりもはるかに巨額であったことが伺える。 Apple は合衆国内のテクノロジー企業のなかでも もっとも多くの手持ちの現金 を用意しており、 その額は 12 月四半期の終わりの時点で 390 億 8000 万ドルであると発表されている。
Apple は自社のカスタムチップの電力効率によって、iPad では 10 時間というバッテリー持続時間と一ヶ月以上のスタンドバイを可能にしていると語っている。
iPad は、私たち独自のカスタムシリコンで駆動しています。 私たちには、Apple でカスタムシリコンを製作できるような素晴らしいチームがあります」と Apple CEO の Steve Jobsデバイスの発表時[和訳] に語っていた。 「私たちはこのチップを A4 と呼んでいます。私たちが手がけたなかでももっとも進化した、iPad を駆動するチップです。 このチップには、プロセッサー、グラフィクス、I/O、メモリーコントローラ ... すべてがこのひとつのチップに収められ、驚くほど高速です。」