AppleInsider: Apple の iPad の内側: Adobe Flash [Page 3]

Apple の iPad の内側: Adobe Flash [Page 3]

By Daniel Eran Dilger
Published: Saturday, February 20, 2010 12:00 AM EST
Flash はウェブにとって必須か?
Adobe は、HTML5 は「10 年先」である振りをしたいのだろう。そうすれば Flash が重要なままでいられる幾ばくかの機会が得られるだろうからだ。 Apple は過去 3 年にわたって iPhoneiPod touchFlash がなくとも幅広く成功できると証明してきた。 これによって、iPad でも Flash をサポートせずともなんら実質的な問題はないことが示された。
繰り返しになるが、AdobeFlash のための広範なライセンス契約や開発者のサポートを要求しながら、Flash に関連する重要なコンテンツはデスクトップユーザーだけが対象なのだ。 Flash Lite はモダンなコンテンツを再生さえしない。 Flash がデスクトップにフォーカスすることによる副作用のひとつは、ほとんどの Flash アニメーションがモバイルデバイス用にスケールダウンするようにはまったくなっていないことだ。 Flash コンテンツはほとんどがマルチタッチディスプレイではなく マウスポインター の利用を前提にしたインターフェースを対象にするととともに、同ランタイムは、バッテリー持続時間を確保するためにできるだけアイドル状態を保たなければならないモバイルデバイスの限られた容量ではなく、デスクトップクラスのコンピューティングリソースに最適化されているのだ。
Activity Monitor を実行する方法をしっている人なら誰でも、ウェブページ内で少しでも Flash が使われていると途方もないリソースが消費されることを見てとれる。 Greenpeace が正当な環境の見張り役なのであれば、まったく価値のないことのために Flash が消費するエネルギーの総量だけで、Flash を PVC や BFR を組み合わせたよりも大きな脅威としてターゲットにするはずだ。

ビデオ配信でも衰えていく Flash
Flash はまたウェブでの主要な用途も失いつつある。 ほとんどのウェブビデオはこれまで、FLV ファイル(Flashプロプライエタリーなネイティブメディアコンテナ)内で On2 のプロプライエタリーなコーデックでエンコードされて配信されていた。 しかし、もっとも進んだ開発では、MPEG-4 コンテナ(AppleQuickTime コンテナフォーマットをベース)内のオープンな H.264 コーデック仕様への移行がおこなわれている。
Adobe でさえ Flash で内部の MPEG-4 コンテナで H.264 をサポートして F4V という名称で呼んでいる。 この進行中の移行にともなって、GoogleYouTubeFlash から H.264 へと移行して証明しているように、ただビデオを配信するためであれば Flash を必要とする理由はほとんどなくなってしまうのだ。

Flash とリッチなインターネットアプリケーション
Adobe はまた、従来の印刷コンテンツのインタラクティブ版を提供するための方法として、リッチなインターネットアプリケーションを提供するための方法として Flex と AIR とを関連づけて Flash をプッシュしている*1
AppleiPad で、印刷開発者やコンテンツ企業を対象に替わりに HTML5 利用するというアイデアを推奨して、コンテンツにインタラクティブ性をもたせるためだけに Adobe にランタイム税を支払うのを避けるよう働きかけている。 Apple 自身はこれまでも HTML5 の主だった提唱者であり、JavaScript フレークワークを利用して MobileMe ウェブアプリのようなリッチなインターネットアプリを作成している。同社は SproutCore を利用してこうしたアプリを構築し、また音楽レーベルや映画スタジオとのパートナーシップで立ち上げたインタラクティブiTunes LPiTunes Extras コンテンツもある。
Google もまた HTML5 を利用したリッチなウェブアプリの開発でリードしている。これは同社の Chrome OS にも編み込まれた戦略だ。 Google の従業員らは AndroidJava のようなプラットフォームを、Apple が自社の Cocoa Touch iPhone OS プラットフォームを説明したのと同じ長期的プラットフォームではなく、やがては HTML5 ウェブアプリによって置き換わる暫定処置であると説明したことがある。

Adobe Flash よりもオープン性を好む Apple
AppleiPhoneiPod touch そして iPadFlash を搭載しないことで、FlashSilverlight のようなプロプライエタリーバイナリーではリーチできない豊富なユーザーという重要なインストールベースを生み出している。 こうすることで、モバイルアプリのための Apple 独自の App Store プラットフォームとオープンなウェブの両方に注意を向けさせることができ、開発者らには標準ベースのリッチなウェブアプリとオープンな仕様にもとづいたマルチメディア配布を擁護するように奨励することにもなっている。
対照的に Google もウェブでのオープンな仕様を忠実にサポートしているものの、Android の機能としてネイティブな Android アプリの魅力を損なうことにしかならない Flash 再生もサポートしようとしている。 Microsoft も同様に、スタイラスに依存したレガシーな Windows Mobile アプリをサポートしつつ、FlashSilverlight をプロモートしようとしている。 NokiaSymbianLinux プラットフォームもまた自身のネイティブ開発を犠牲にしつつ Flash を採用している。
Apple は自社のライバルがより多くのプラットフォームをサポートすればするほど、App Store でモバイルデバイスに向けたトップの地位をリードする自社のポジションをより確実なものにできると認識しているようだ。 こうしたすべての事情から、同社の iPhone OS デバイス上では Flash ランタイムを目にするという希望はまったく残されていないことになるのだ。

Apple の iPad の内側: マルチタスクキング [和訳]
Apple の iPad の内側: VGA ビデオ出力[和訳]

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*1:Adobe is also pushing Flash as a way to deliver interactive versions of traditional print content, the related Flex and AIR as a way to deliver Rich Internet Applications.