AppleInsider: ファーストルック: Apple の新しい iPad

原文: First Look: Apple's new iPad

By Daniel Eran Dilger
Published: Saturday, April 3, 2010 07:00 PM EST
AppleiPadiPhone OS を 1024x768 という解像度、9.7" スクリーンへとスケールアップしたものだ。 しかしこのデバイスは、単に大きくなった iPod touch という訳ではない。一連のユニークな機能(その一部は将来の iPhoneiPod に登場するかもしれない)が与えられ、ハードウェアとソフトウェアの洗練度も新たなレベルに達している。

ハードウェア: ディスプレイ
物理的に、iPadiPhone と比べてはるかに大きい。私が当初思い描いていたよりもだ。 iPad のお披露目イベントの際に触ったことがあったものの、これまでの Apple のモバイルデバイスのおよそ四倍の大きさのスクリーンだということが頭の中にあったくらいだ。
ところが実際の iPad のスクリーンは、どちらの方向に対しても iPhone のスクリーンの 2.5 倍にもなるのだ。 表面積でみてみると、iPad のスクリーンは 45 平方インチ(約 290 平方センチ)で、5.78 平方インチ(約 37.3 平方センチ)の iPhone のスクリーンと比較すると物理的に 8 倍近い(7.8 倍)大きさになる。
解像度の面では、iPad は 1024x768(786,432 ピクセル)で、iPhone の 480x320(153,600 ピクセル)と比較すると 5.12 倍も大きい。 つまり、iPad のスクリーンは以前の iPhone OS デバイスiPhoneiPod touch の 163 dpi のスクリーンに対して 132 dpi)よりも画面密度が低いものの、それでも MacBook(110 dpi)や iMac(108 dpi)よりは高いのだ。
箱から出してみると、光沢のあるディスプレイが鏡のようだ。 このディスプレイをオンにすると、その光沢も悪くはなく、iPhone によく似た感じになる(ただし MacBook のような感じではない)。反射しないように視野角度を調節するのはそれほど難しいことではない。
スクリーンのタッチコントロールは正確で素早くポイントでき、iPad のリッチなアニメーションスクリーンは活き活きと自然で、反応を計算しているマシーンのような感じはない。 このより大きなディスプレイでは、オブジェクトがジャンプして止まる様子など、iPhone にもありながらこれまでは気づかなかったような微妙なディテールにまで気づくことができる。
AppleInsiderApple 新しい iPad の開封高解像度写真[和訳] を見てほしい。

ハードウェア: 物理的形状
すべて iPhone でお馴染みの Dock Connector、マイクとリモコンをサポートしたヘッドフォンジャック(ヘッドフォンは同梱されていない)、ホーム、電源、ボリュームトグルスイッチの他に、iPad にはスクリーンオリエンテーションロックもある(ただしミュートスイッチはない)。
バイスを 360 度のループで回転させると、オリエンテーションが大きく切り替わってしまうので、このロックは便利だ。 特に寝そべった時、画面が回転しないようにできるのは嬉しい機能で、iPhone でも実現してほしいところだ。
iPad はとても薄く(その角度のついた縁のおかげで、実際よりもさらに薄く見える)、思い描いていたよりも重く感じられる。 わずか 1.5 ポンド(約 680 グラム)でしかないのだから決して重くはないのに、しっかりとした重みを持っている。 類似のデバイスと比べてみると、iPad はほとんど重みを感じない。 UMPCバイスは大抵 2 ポンド(約 907 グラム)くらいあるし、CrunchPad/JooJoo は 2.4 ポンド(1.09 キロ)ある。
iPad は意外なほどの親近感を持っている。 新しいのに、これまでずっとそこにあったかのような感じなのだ。 幾年の時間をかけて改良を重ねて洗練させた感じがあり、新しいユーザーマニュアルを参照しなければならない気分にはまったくならない。 これはそのデザイナーにとっては偉業だ。 とても人工的で工学的なものなのに、すぐにとても自然で有機的な感じがするものなどないはずなのに、iPad はそうした感覚を与えてくれる。
同時に iPad はひじょうに剛性がある。 その薄さや比較的大きなフォームファクターながら、まったく歪まない。 このデバイスは、デリケートな気遣いで扱うように求めているように見えて、実のところかなりラフな扱いにも耐えられるようデザインされている。
もうひとつすぐに気づくことがある: AppleiPad があれば Mac を買わなくてもいい、というようにはデザインしていないことだ。 実際、ネットブックの代替というだけではなく、ちょうど iPod touch のように、何をするにもまずは iTunes の入ったコンピュータにつながなくてはならないのだ(下図:電源を入れた時に目にするもの)。
ただ、これまでの iPhone OS デバイスとは違い、この新デバイスは標準的な USB では同期しかしない。実際に充電するにはより多くのパワーを必要とする仕様になっているのだ。 USB 2.0 では、デバイスのバッテリーを充電する場合でも 2.5 ワットしか供給されないのだ。 iPad の電源アダプタ(USB のような形をしており、古い iPhone の電源アダプタ、あるいは mini MacBook 電源アダプタのような見た目だ)は 10 ワット供給できる。 なので、お使いのシステムの USB ポートが特に 10 ワット供給できるようになっていない限り(すべてではないもののほとんどはできない)、iPhone のものでもなく典型的な PC USB ジャックでもなく、同梱されているアダプタを使って iPad を充電することになる。 幸いにも、iPad のバッテリーは長時間持つ。

iTunes connect iPad

ハードウェア: WiFi
iPad には、ちょうど iPhone と同じように WiFiBluetooth が搭載されているが、まったく iPhone とは異なっている。 まずはじめに、iPadWiFi は高速な 802.11 n ネットワークに対応しており、これはただより高速というだけでなく、より幅広いレンジでより少ない干渉の可能性を秘めている。というのも、ほとんど使われていない 5GHz バンド で設定できるからだ。
私は iPad を自分が使っている「n オンリー」な 5GHz Time Capsule WiFi ネットワークにまったく問題なくつなげることができた。ただ、その接続レートは 150 mbps のみに限られているが(私の MacBookiMac では利用可能な両方のバンドを使って接続でき、理論的に 300 mbps で接続できる。下図参照)。 しかし 150 というスピードであっても、iPad は802.11 a/b/g 互換ネットワークに接続し、理論最大値でも 54 mbps にしかならない iPhone よりもはるかに高速だ。
iPhoneiPod touch の将来のバージョンでも 802.11 n ネットワークへのハードウェアサポートを追加してくるだろうが、ソフトウェア的に遡及的サポートを実現することはできない。
WiFi iPadiPod touch と同じように、ほんとうの意味での GPS は持っていないことに留意してほしい。ロケーションサービスに WiFi 三角測量を利用しているだけで、正確さに劣る。 iPad の 3G バージョンには iPhone と同じような GPS が提供される。というのも、この機能はモバイルチップセットに関係しているからだ(3G モバイルネットワークは GPS 情報の計算を補助するために使われている)。

802.11n iPad

ハードウェア: Bluetooth
iPadBluetooth もまた、重要な面で iPhone の上を行く。 まず、iPad とワイヤレスキーボードとを関連づけることができ、画面の仮想キーボードで直接大量のテキストを入力しなければならない場合の問題を迂回してくれる (下のスクリーンショットBluetooth のシンプルな設定画面で、利用可能なキーボードの発見と接続を非常に簡単に行える)。
これはうまい具合で、ほとんどの Bluetooth キーボードで直接画面を復帰させることさえできる。 AppleBluetooth キーボードではスクリーンの明るさ、ボリューム調整、そして iPod 再生でのスキップやポーズもできる。 しかし、利用可能な Bluetooth キーボードに接続した後だと、仮想キーボードを表示させるためにはキーボードの電源を切る必要がある(つまり手動で接続解除しなければならない)。 キーボードから離れたとしてもうまくいかない。
キーボードの電源を再びオンにすると、iPad は即座に仮想キーボードを消して、外部キーボードに再接続する。 その一方で、iPad から Bluetooth 経由で自分の MacBook に接続しようとしたものの、できなかった。 Apple は他にもプリンタや、A2DP ステレオヘットフォンを除いた、他にもサポートできそうな他の Bluetooth プロファイルもサポートしていない。

iPad BT 設定

ハードウェア: オーディオ
iPad の内蔵スピーカーは大きな音が出せ、iPhone のものと比べるとはるかに大きい。 そして音も良く、この薄いメタルボックスのなかに収められ、右下隅の三つの薄いグリルから音が出てくることを考えると、驚くほど良い。
iPhone の場合だとゲームをしている場合などイライラの原因となることが多いが、iPad のこのオーディオホールを手で覆ってしまう可能性は低い。 このためビデオゲームや映画・テレビ番組の再生、あるいは単に自分の音楽コレクションを聞く場合の体験がより魅力的になるだろう。
ボリュームクランクを使えば、ユニット背面のハウジングが振動するのが感じられる。 安っぽくガサつく感じはなく、自分の音楽が手の中へと感覚的に広がるような感じだ。 もしそれがあなたの好みでなかったり、図書館にいる人たちがあなたとは違う趣味だとわかったら、自分のヘッドフォンをつなげて自分ひとりで音楽を楽しめば良い。

ソフトウェア
詳細レビューで iPad が実際にはどう動作するのかを扱う予定だが、このファーストルックから iPad は単に大きな iPod touch ではないことが明らかだろう。 広大な新しい画面資産によって、はるかに豊かで洗練されたインターフェースが可能となり、その一方で iTunes や Mail のレイアウトといったようなデスクトップコンセプトも取り込みつつ、iPhone OS お馴染みの習慣の両方を前面に押し出している。
Google Maps のクライアントや Safari ブラウザなど、基本的により大きくなった画面資産で同じことをするアプリでさえ、iPhone での素晴らしいパフォーマンスから iPad では魔法のようなものになっている。これはひとえに、世界地図やインターネットを手一杯に向かう際に、ひとめで処理できるデータが増えたことによる。
Apple の無料の iBooks アプリは、App Store にアクセスするとまずはじめに勧められるが、「クマのプーさん」がバンドルされている。うまく書かれた古典であるとはいえ、私は子供向けの本を読んでいることに気づかないまま、一章全部を読み進めてしまったほどだ。
AppleiWork 生産性スイートからシンプルなメモ帳まで(下図)、その他のアプリも、自分のモバイルスクリーンを横にして、自分の Bluetooth キーボードをつないで、iPhone OS の仮想キーボードでエラーやミスの修正にわずらわされることなく直接テキストを叩き込むことができるだけだったとしても、iPhone にあるものすべてに新しいレベルの洗練さが加えられている。
iPhone OS は何かを想像するのではなく、情報をただ消費するためだけのものだ」というアイデアを誇らしげに語っていた人々へ: もう少し掘り下げた方が良かったかもね。 物理キーボードがなかったとしても、iPad のハンズオン・タッチ機能にはオリジナルコンテンツを生み出すにあたってのあらゆる種類の手法が盛り込まれている。
これは未だに定義、展開、完全な探究がされていないコンピューティングにおける新たなフロンティアなのだ。 われわれの PR アナウンス用フィードに基づくと、これからそれをしていこうとしている熱烈な開発者らが沢山控えている*1。 そしてそうしたアプリは、Apple が生み出したこのプラットフォームに計り知れないほどの価値を付け加えることだろう。

iPad メモ帳

AppleInsideriPad 詳細レビューを楽しみにしていてほしい。 これまでの同システムに関連する記事:

Apple の iPad の内側: Adobe Flash[和訳]
Apple の iPad の内側: マルチタスクキング[和訳]
Apple の iPad の内側: iPhone OS vs Mac OS X[和訳]
Apple の iPad の内側: Apple の A4 プロセッサ[和訳]

*1:Based on our PR announcement feed, there's an enthusiastic bunch of developers working to do that.