AppleInsider: iPhone 4 の内側: FaceTime ビデオ通話 [Page 2]

原文: Inside iPhone 4: FaceTime video calling [Page 2]

By Daniel Eran Dilger
Published: Tuesday, June 8, 2010 06:00 PM EST
なぜ FaceTimeWi-Fi のみなのか
FaceTimeiPhone 上でしていることは、ビデオチャットを簡単に開始しインターネット越しに使えるようにすることだ。しかもハイクオリティで。 しかしそれは、NAT の境界を超えてビデオチャットを機能するようにする際に直面するのと同じ問題にぶちあたるだけでなく、FaceTime を 3G モバイルネットワークという信頼性の低い限られた帯域幅で動かそうとすると、その障壁はあまりにも高いものになってしまう。それは主に、モバイルネットワークが現時点では依然として大幅に高価なものだからだ。
3G ネットワーク上で動作する既存のビデオチャット携帯電話は通常、一分あたり .50 から一ドルを課しており、広く普及するようなものではない。 加えて、ビデオ通話は Apple のお膝元である AT&T ネットワークでは機能しないだろう。すでに携帯通話を処理するだけでも充分な困難に直面しているくらいだ。
今の時点で iPhone の新しい FaceTime 機能は Wi-Fi に限定されており、これが変わるのは 2010 年以降のいずれかの時期になり、それまでにキャリアー各社はそのアイデアを暖めて、価格を抑えつつ通話領域を劇的に広げなければならないことが伺える。
しかし、ビデオ通話をしたい人々のほとんどは家庭やオフィスの Wi-Fi にアクセスすることでそれが可能になり、そうした制限にまつわる課題はやや軽減されることになる。 Appleビデオチャットをモバイルキャリアーへのテザリングサービスとしてではなく、VoIP アプリケーションとして開拓していることも興味深い。 これによって iPhone(および iPod touch)は、今日の携帯ネットワークの音声中心的な性質にまっこうから立ち向かう可能性を秘めたデバイスという位置づけになるからだ。 次世代の LTE モバイルネットワークが登場すれば、その IP ベースの接続方法はモバイルネットワークは電話方式から単なるワイドエリアなブロードバンドデータプロバイダへとシフトすることになるだろう。
Apple は同様に、SMS や MMS といったモバイル標準よりも iPhone 上でのインターネット電子メールを後押ししている。こうした SMS や MMS は、実際に配信されるデータ量とは大きくかけ離れたメッセージあたりいくらという時代遅れの料金体系を引きずったままだ。

Apple FaceTime

Skype や Fring はどうなのか?
iPhone(そして Mac デスクトップ)はすでに Skype を経由したビデオ通話をサポートしている。 Apple は、SkypeiOS 4 のバックグランドで実行でき、Wi-Fi に加えて 3G ネットワーク上上でも実行できるようなサポートさえ追加している。 それではなぜ Apple は独自に Skype のライバルとなるようなものを導入しようとしているのだろうか? しかも 3G 越しには機能しないようなものを?
まずはじめに Apple はビデオ通話アプリを深いレベルで iPhone 4 の機能と統合したがっていた。こうすることで、ふたつのカメラを最大限活用し、すっきりとした「シンプルに一回のタッチ」を実現し、素晴らしい画質を実現するように高度に最適化できる。 さらに、オープンスタンダードも推進したい。 iChat AV や FaceTime とは違って Skype はオープンスタンダードをベースにはしていない。 同アプリケーションは、Skype が所有する完全に閉ざされたプロプライエタリプロトコルを使用している。
Skype がそのネットワーク上で利用を公式に認めているクライアントアプリはクローズドソースだ。 Skype はまったく外から見えない方法で NAT 問題を解決し、メッセージ暗号化セキュリティーを処理している。 それは実質的にルータを信頼せず、ネットワークに到達するために独自のメカニズムを利用している。
同社の主張によると、ピア・ツー・ピアネットワーク内でつながっているユーザからなる完全な分散型システムを利用し、ユーザが他のユーザを指定してセッションを開始する iChat のようなポイント・トゥ・ポイントではなく、ユーザ間で負荷を共有しているという。 しかし、このテクノロジーのいずれも、セキュリティーが担保できるようにピアレビューには開かれていないし、他者によってオープンに実装できるようにもなっていない。
これがために、iChat を備えたデスクトップおよび FaceTime を備えた iPhone 4 の双方で、Apple による Skype の代替という余地が生まれるのだ。この戦略は、MicrosoftプロプライエタリWindows Media Audio に対抗するかたちで同社がオープンな MP3/AAC オーディオを採用した際の立ち位置や、同社がインタラクティブコンテンツをめぐって Adobe Flash ではなく HTML5 をサポートした際のやり方に非常によく似ている。 そのいずれの場合にも Apple は、あるベンダー一社によって推進されているクローズドなスタンダードに依存するのではなく、オープンな相互運用性を構築すべく動いていた。
これを理解しないカスタマーは、こうした戦略を MicrosoftAdobeSkype への「攻撃」として見なしてきたが、こうした努力が実は市場を開かせ、Apple や他の企業が競い合うとともに協力できるようにもなってきたのだ。
Skype が異なるのは、WMA/WMV や Flash とは違い、AppleiPhone 4iOS 上で Skype をブロックしていないことだ。 Skype は、Apple 独自のハードウェアを推進するにあたっての直接的なライバルではないからだ。 Skype は、FaceTime (以前の携帯電話や 3G 通話をサポートしていない)が対象とはしていない課題に対処するような製品を提供している。 そして Skype はすでに完成され、携帯市場においてプレーヤーとして機能し防御もされている。
Fring のような他の iPhone VoIP アプリは、Skypeプロプライエタリプロトコルをサポートし、SIP といったオープンな代替ネットワークプロトコルもサポートできる。 それによって、Fring や他の企業は、Skype と標準ベースの FaceTime の双方をサポートした複数ネットワークに対応した VoIP アプリを作成することもできるようになる可能性が出てくるのだ。

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