AppleInsider: iPod touch 詳細レビュー [Page 2]

iPod touch 詳細レビュー [Page 2]

By Daniel Eran Dilger

Published: Monday, September 17, 2007 08:00 AM EST


touch は iPhone ではない

スタイルにわずかな違いこそあるものの、Apple は、touch は iPhone ではない、iPod だといっているかのようだ。 touch が携帯電話機能のない iPhone だと考えているユーザは、touch のそれ以外の多数の制限に動揺するはずだ。

iPhone と比較したとき欠けているのは、Bluetooth の内部サポートだ。 ドックコネクタ経由で Bluetooth サポートを追加することは技術的に可能なものの、内蔵サポートがないということはつまり、Bluetooth ステレオヘッドフォンが発売されたとしても簡単には使えない、Bluetooth 経由でのデータ同期や Bluetooth キーボードも簡単には使えないということだ。 もちろん、こうしたことは iPhone でもまだできないが、できるようにはなっている。 touch の場合、ドングルを追加しない限り不可能だ。

touch はまた iPhone ソフトウェアの一部も持っていない。 当たり前のことだが Phone アプリケーションや SMS はないし、さらには Google Maps、Stocks そして Weather、そして Notes までもないのは興味深いところだ。 これらアプリケーションのいずれも、別に電話固有のものではないし、WiFi 経由であれば非常に便利だ。 iPhone の EDGE 経由で Google Maps を利用することも可能だが、WiFi 経由での方がはるかに望ましい。 touch ではこうしたこと全てが不可能なのだ。

touch は純粋に iPod として呈示されているのだ。 つねにデータ接続が利用できない限りやや不便な Mail がないものの、Safari だって WiFi ホットスポットがないとそれほど便利ではない。 Mail や SMS がないと、Apple は少なくとも iChat t クライアントくらいは入れてくれてもよさそうなものだ。 しかし、マーケットメッセージは明確だ。 touch はモバイルメッセージングツールではなく、ビデオ視聴およびゲームプレイのための iPod なのだ。

また明らかに PDA でもない。 例えそうだったとしても、touch では、独立したアプリケーションとなったアドレスデータ -- iPhone では Phone セクションに隠されている -- に新しいアドレスデータが入力できる程度だ。 ところが、Calendar に新しい項目を入力する方法が示されておらず、コンピュータから同期されたものを表示するだけの機能しか提供してない。 たとえ touch は PDA ではないとしても、Calendar アプリケーションを骨抜きにしてしまういかなる正当な理由もないと感じる多くの人々少なくないはずだ。

Apple は明らかに、touch と iPhone を差別化しようとしている。 同社が主張するところでは、ユーザは iPod でカレンダー項目を入力できたことは一度もないので、touch でもそれは求めてはいけないということなのだ。 なるほど。ただし、iPod にはこれまで一度もタッチスクリーンキーボードが登場したことはないし、それこそが、iPod のカレンダー機能がしょぼいままだった理由だ。単にクリックホイールでカレンダー項目を入力することが実用的ではなっただけなのだ。

このレビューは、ユーザがするように、touch を iPhone と比較するだけでなく、その広告されている機能と比較することだ。Apple は、閲覧のみのカレンダーは良い製品差別化ではないので、対処する必要があるだろう。 例えて言うなら、コンピュータを買って、そのコンピュータが違うハードウェアモデルとして提供されているだけでなく、意図的に異なるレベルのソフトウェア機能に分断されているため、ネットワークに参加できなかったり、正しいバージョンのソフトウェアを買わないとメディアセンター機能が利用できないといったようなものだ。 Apple は、MicrosoftWindows Vista 戦略では顧客を満足させることができていない事実に留意すべきだ。


ビデオ出力への変更

逆に言うと、touch では、 iPhone にはまだできないことがいくつかできるようになっている。 もっとも大きな点がテレビへのビデオ出力だ。 重要な点として、新しい touch には nano や classic と同じ形式のビデオ出力機能が備わっている。

先の動画対応 iPod は、video iPod Dock からやヘッドフォンジャックに接続できる「iPod AV Cable」を経由したコンポジットビデオ出力が可能だったものの、新しい classic yや nano、touch では、コンポジットビデオか HDTV や新しい機種のテレビで使えるような、新しいコンポーネントビデオがサポートされた新しいドックコネクタケーブルが採用されている。 このコンポーネントビデオにより、より高品質な画像を送り出せるようになっている。

そしてすべての新モデルで、ヘッドフォンジャックからのビデオ出力がなくなっている。 替わりに、動画に対応したすべての iPod で利用できるコンポジットケーブルを、新しい classic、nano および touch と共に販売している。 両ケーブルとも、ドックコネクタを使って iPod に接続できる。 また、50 ドルの USB 電源アダプタに対応している。 Apple はまた、50 ドルの「Apple Universal Doc」も販売しており、IR リモートコントロールが付いている。 この場合、上記ケーブルのうちのいずれかが、テレビあるいは HDTV セットに接続されている必要がある。


Apple の iPod classic

新しい iPod モデルは、ドックコネクタからビデオを抽出する一部のサードパーティ製デバイスでは正しく動作しない可能性がある。 ただし、touch は新しくなった nano や classic とは、どのドックでも動作するものの、新しいドックコネクタ形式のケーブルとしか動作しないという点で異なる。nano および classic iPod のみ、これまでの動画対応 iPod 用にデザインされたコンポジットビデオ「iPod AV Cable」をヘッドフォンジャックに挿し込んで使えば、これまでの「iPod Universal Dock」でも動作する。

言い換えると、nano および classic は、ドックをかませていればあらゆるタイプのビデオ出力ケーブルが使えるが、touch の場合、ドックをかませていようとなかろうと、新しいドックコネクタケーブルでしか動作しない、ということだ。 具体的には、touch は、たとえドックを使っていても、ヘッドフォン「iPod AV Cable」では動作しない。

Apple はまだ新しいドックコネクタ用ビデオ出力ケーブルを発売していないので、touch のビデオ出力機能を検証することができなかった。 重要なのは、既存の Apple iPod AV Connection Kit は touch では動作しないと言うことだ。 新しいケーブルが発売されたら、touch のビデオ出力機能をテストし、他の iPod と比較することにしよう。ただ、nano や classic を含め、すべての iPod は、何らかのタイプのドックを使っている限り、これまで通り iPod AV Cable を使える。

新しい touch のソフトウェア

ソフトウェアの面でも、touch と iPhone を分けるさまざまな微妙な違いがある。 touch は、新しいシステムソフトウェアバージョン OS X 1.1 を実行しており、この記事の執筆時点では、まだ iPhone には搭載されていない。iPhone で実行されているのは、まだ 1.0.2 だ。 この新システムには、さまざまな拡張が施されている。 いくつかを紹介しよう。

Settings/Keyboard にある設定では、ピリオド入力のショートカットととしてスペースバーのダブルタップを割り当てることができ、12 種類のローカライズドキーボードから選択できる。
Settings/International にある設定では、ユーザインターフェースの言語を選択でき、その地域の日付、時刻、そして電話番号表記を利用できる。
Settings/Video にある設定では、「中断したところから再生を開始する」機能や、クローズドキャプションの有効化、そしてビデオ出力の形式を NTSC もしくは PAL から、そしてワイドスクリーンかフルスクリーンかを選択できる。
Settings/Safari にある設定では、開発者用デバッグコンソールを有効にして、ウェブページのエラーを検証できる。

Apple は、iPhone のためのビデオ出力機能を有効化する計画をまだ発表していないが、それも間もなくのことのようだ。 というのも、同社は広告のなかで、touch のビデオケーブルは iPhone と互換性があると謳っているからだ。 それまでは、touch が、これまでの iPod のようにビデオ出力ができる唯一の OS Xバイスとなる

クローズドキャプションのサポートも新しいもので、新型の nano や classic の設定にも最近登場している。 Apple は、iTunes からのダウンロード商品にもキャプションのサポートを追加しようとしているようだ (現時点ではサポートされていない)。 これは、聴覚障害を持っているユーザのためにも素晴らしいアクセシビリティ機能であり、外国語を学んでいるユーザにとっても便利な機能だ。

touch はまた、ホームボタンに新しいダブルクリック機能を追加してきている。 このボタンの標準アクションは、再生中の音楽をコントロールするための透明なオーバーレイを表示させるものだ。 今回導入された改良によって、音楽再生メニューから出入りすることなく、音楽をスキップしたり、ボリューム調整ができたり、他のことをやっている時に音楽の再生を中断したりできる。 また、Music セクションへとジャンプできるショートカットにもなる。

touch にあるその他の新しいソフトウェアの違いは、その新しいドックにあり、Mac OS X 10.5 Leopard に描かれているものにそっくりだ。 iPhone は 4 つのアイコンが、グラデーションのあるライトグレーの帯がアイコンを完全にかこっている一方、touch のものは、もっと微妙で、Leopard のようなドックで、軽くつやを消して間接的に光をあてたガラスのように見え、やや傾いた角度になっており、その上にドックアイコンが反射している。


Apple iPod touch


ページ 3SafariYouTube、そして写真;カレンダーとアドレスデータ;時計とアラーム音;そして音楽とビデオ。

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