AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: Dock 1.6

Road to Mac OS X Leopard: Dock 1.6

By Prince McLean

Published: Wednesday, October 10, 2007 10:00 AM EST


Mac OS X の Dock は、WindowsWindows デスクトップに似せているほとんどの Linux ディストリビューション、そして Classic Mac OS のこれまでバージョンのユーザインターフェースと比べても、とても個性的だ。 AppleMac OS X 10.5 Leopard の Dock を大幅にアップデートしてきた。 この 3 ページのレポートで何が新しくなったのか、何が変わったのかを見ていこう。


このレポートは、Dock の起源、歴史、そして成熟の過程にかなりのスペースを割いている。 時間のない人、あるいは Leopard で予定されている機能に興味のある人は、本レポートの ページ 2 へとジャンプされたい。


Dock の起源

Mac で Dock が Mac OS X のベータプレビューとして初めて一般に登場したのは、2000 年末のことだった。 ところが、Dock の背後にあるアイデアはすべてが新しいものというわけではなかった。 1987 年、英国に存在した Apple のドッペンゲルガー Acorn Computers が、Mac に似せた同社の RISCOS デスクトップオペレーティングシステムにアイコンバーを搭載して発表した。 画面下端には、ドライブや実行中のアプリケーションのアイコンが表示されていた。 90 年代初頭までに、この RISCOS アイコンバーは、RAM ディスク、プリンタ、フォルダ、アプリケーション、そしてシステムユーティリティを表示するようになっていた。


Mac OS X Leopard Dock


NeXT Dock

1988 年、Steve Jobs の NeXT が NeXTSTEP の新しいデスクトップのデモンストレーションを始め、そこには新しい Dock が含まれていた。 NeXT の Dock はブロックアイコンが連なったもので、各アイコンはアニメーションでアップデートが可能だった。 Dock のアイコンは、実行中のアプリケーションや起動準備のできたアプリケーションを表示できた。そして、実行中のアプリケーションは、区別可能なように小さなドットが付いた (下のデスクトップ図で一番上から 4 番目の Digital Librarian アイコン表示されているように)。 このため NeXT Dock は、アプリケーションランチャー以上の存在だった。

アイコンのサイズ変更はできなかったため、Dock は貴重な画面面積を大きく消費していた。 NeXT はまた、ファイルやフォルダ、あるいは開いているウィンドウといた、他のプレースホルダーを Dock に追加できるような手段を一切提供していなかった。 ファイルやフォルダは替わりに、File Viewer ウィンドウ内に確保されたスペースである Shelf (Mac Finder ウィンドウによく似ている) に表示できるようになっていた。

下のスクリーンショットでは、File Viewer ウィンドウの上 4 つのアイコンが Shelf にあり、Dock のアイコンは画面右および下に置かれている。 NeXT はまた、デスクトップ版 Mac のゴミ箱アイコンを、Recycler という Dock アイコンへと移動させた。 こうしたアイコンの動的な性質は、設定アイコン (上から 2 番目) によって表示される現在時および日付、そして新着メッセージを示す Mail サイン (上から 3 番目) に見られる。


Mac OS X Leopard Dock


Newton の Dock

90 年代初頭、Apple は Newton OS を実行する MessagePad を導入した。ここでも同様に、ランチャーとして「ボタンバー」が採用されていた。 Newton のボタンバーは、Apple が Newton 上の共通タスクを呼び出すために必要なクリック数を減らそうと投資した多大なリソースを反映していた。 他の項目も、エクストラのコレクションからボタンバーへとドラッグが可能になっていた。これは、 iPhoneiPod セクションにある More/Edit/Configure 画面に似ている。


Mac OS X Leopard Dock


Classic Mac OS での Dock の代替

Newton のボタンバーは、当時 System 7 と呼ばれたクラシック Mac OS へと組み込まれることはなかった。 替わりに Apple は 90 年代を通して、さまざまなシェアウェアツールをまとめて、Mac デスクトップへと組み込んでいった。 奇妙なことに、クラシック Mac ではどのアプリケーションが実際に実行されているのかを一目で見分ける方法が存在しなかったことだ。これは、日常的に Mac OS が一度に複数のアプリケーションを実行するようになる数年も前から NeXT の Dock が解決していた明らかなニーズだった。

クラシック Mac OS では替わりに、その時点で実行しているアプリケーションを表示するために右上のアイコンを使用した。このアイコンは、他の実行中のアプリケーションを示すドロップダウンメニューでもあった。 この Application Menu はまた、実行中のアプリケーションを切り替える手法としても利用された。 しかし、これはアプリケーションランチャーではなかった。


Mac OS X Leopard Dock

Apple はさまざまなシステムを Mac OS に追加して、後に Mac OS X Dock によって処理されることになる機能を提供していった。

  • System 7 では、画面解像度やオーディオボリュームといったシステムセッティングを設定するためのコントローラパネル・デスクアクセサリーが、他のウィンドウ上に浮かぶ小さなアイコンからなる Dock のような選択肢になっているコントローラストリップとして表示された (上図の左下)。 これは、アプリケーションの起動や表示はせず、本当は PowerBook でのみの使用を想定していた。
  • 後に、タブウィンドウ (上図右下) という形で、画面の端にラベルの付いたタブとして開いたウィンドウを畳めるようにした。そのタブを選択するとウィンドウがフルサイズに戻るようになっていた。
  • Windowshade では、開いたウィンドウをその場で最小化でき、ウィンドウのコンテンツをそのタイトルバーへと巻き上げていた。
  • Mac OS 8 の独立した Launcher (下図) は、セクションによってグループ化されたプログラムを編集可能なリストとして表示していた。

Mac OS X Leopard Dock


Windows: 君のための Dock はなし

MicrosoftWindows は、Mac および NeXT の双方からのアイデアを多く取り入れていたが、NeXT Dock のようなものは一切取り入れなかった。 替わりに、水平のタスクバーを装備し、各ウィンドウを長方形のバーで表示した。 水平なスタートメニューバーを開いたウィンドウのために四角く区切っていく際の一番の問題点は、その限られたスペースだ。 見た目に混雑したタスクバーでは、数が多くなってくるとどのアプリケーションが実行されているのかがはっきり分からなくなってしまう。 単一のアプリケーションの個々のウィンドウも、6 つ以上のウィンドウが開いていると、水平バーを使った表示が難しくなる。 また、タスクバーで使われている小さなアイコンをサイズ変更する手だても一切ない。


Mac OS X Leopard Dock

2001 年、Windows XP は、タスクバーの混雑問題 -- 複数の幅のあるバーを狭い空間に押し込めようとした場合の当然の帰結 -- を、各アプリケーションのウィンドウをまとめてグループ化されたタスクバー項目として表示することで解決しようとしてきた。 グループ化された項目は、ポップアップした際にメニューとして詳細を表示するが、ウィンドウタイトルはほとんど読めない。 これは、アプリケーションの個々のウィンドウをさらに分かりにくくしただけで、クラシック Mac OS の Application Menu で実行中のアプリケーションが確認し辛かったのとよく似ている。

Windows のタスクバーはまた、アプリケーションの起動に関しては何もできない。そこで Microsoft は、スタートメニューとタスクバートの間に QuickLaunch バーを追加してこれをできるようにした。 ただ、アプリケーション起動後の QuickLaunch は何もしない。つまり、どのアプリケーションが実際に実行されているも示さないし、そのアプリケーションのウィンドウとも何の連携もしない。 奇妙なことに、Windows のこのもっとも便利なインターフェース規則は、Windows XP Professional ではきちんと取り上げられなかった。QuickLaunch は標準で無効化されており、復元するためにはスタートメニュー設定を編集しなければならない。

Microsoft は、アプリケーションを起動するためには深く畳み込まれたサブメニューをナビゲートしなければならない Windows XP のよりオシャレなスタートメニューへと注意を向けたいばかりに、QuickLaunch を交代させてしまったようだ。しかし実際は、QuickLaunch は機能として紹介されていた。 QuickLaunch の主な問題は、限られたスペースをタスクバーと争っていたことだ。QuickLaunch アイコンが数個あるだけで、現在開いているウィンドウを表示するためのタスクバー用のスペースが減ってしまうのだ。 これまで 3 つのウィンドウしか開いたことのないユーザなら問題はない。そのため XP Home では QuickLaunch バーが有効になったままになっている。 しかし、ウェブブラウズ以上のことに PC を使うユーザなら誰でも、QuickLaunch アイコンで一杯にせずともタスクバーがほとんど使い物にならなくなることに気づくはずだ。


Mac OS X Leopard Dock

今年発表された Windows Vista は、スタートメニューを、どうやって使うのかさらに少ない情報しか提供しない丸いロゴボールにしてバーそのもののをピカピカにする以外、この奇妙なスタートメニュー問題を解決する手だてを打ってこなかった。 ぎゅっと縮められたタスクバーベイは、関連するウィンドウのライブプレビューを表示できるようになったが (上図)、そうするためには各タスクバーベイにマウスを持ってこなければならない。 ライブプレビューがただそこにあって、リアルタイムで、マウスを持ってくることなく一目でプレビューを見れるとしたらどうだろう? それは、5 年ほど遡って Mac OS X の Dock に行き当たる。


ページ 2Mac OS X: Dock の復活; Mac OS X Leopard の新しい Dock: そして Stack の Dock への復帰。

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