AppleInsider: Mac OS X Leopard Server に向かって: コラボレーション情報共有サービス [Page 2]

Mac OS X Leopard Server に向かって: コラボレーション情報共有サービス [Page 2]

By Prince McLean

Published: Monday, October 22, 2007 09:00 AM EST


Unix をめぐる戦争

1988 年 AT&T は Sun および SCO と手を組んで、AT&T の商用 UnixSunOSBSD、そして SCO の「SVR4」仕様に PC 互換機能を組み合わせた統一 Unix リリースを作成した。 Sun がすでに Unix 市場であまりに強い影響力を持ってしまっているのではないかとの恐れから、Digital、IBM そして HP に率いられたライバルの Unix ベンダーらは OSF と呼ばれる独自のアライアンスを形成した。 この分裂によって Unix 市場は分断され、Unix ベンダーは Open Group のもとで協力し合うようになる 90 年代半ばまで、成長やコミュニティ二による革新が冷え込んでしまった。このあたりの経緯は SCO, Linux, and Microsoft in the History of OS: 1990s (OS の歴史における SCO、Linux、そして Microsoft: 1990 年代) に詳しい。

90 年代初頭、UC Berkeley 出身の開発者らが設立した私企業 BSDi は、Unix から AT&T 独自のソフトウェアを取り除き、リベラルなライセンスを付与した BSD ソフトウェアと共に代替コードを配布する作業に乗り出した。 AT&T の Bell Labs は 1992 年に、BSD に対する差し止め請求を求めて訴訟を起こしたため、 コミュニティによる BSD の開発は後退し、そこに生まれた空白は Linux および GNU プロジェクトによって埋められることになった。その結果、オープンで Unix ライクなオペレーティングシステムを開発する 2 つの陣営と AT&T の商用 Unix という三すくみ状態になってしまった。

Microsoft は、この 90 年代に発生した Unix ベンダー間の技術的・政治的分裂によって直接的な利益を享受した。 Windows NT は、PC 市場で利用可能なより廉価なハードウェアと共に、Unix ワークステーションおよびサーバの売り上げに食い込んでいった。 その市場はまた Linux によっても標的とされるようになっていた。 1993 年 Novell は、CEO の Ray Noorda による働きかけによって AT&T が所有する Unix の権利を購入し、Microsoft への対抗姿勢を増していった。 1994 年 Novell から解雇された Noorda は、SCO を巻き込んで、Linux を用いた類似の独立した活動を開始した。

Noorda は、PC サーバ上の古くなった Xenix を実行する SCO のユーザインストールベースをターゲットに、Linux へと移行させる計画を立てた。 SCO からの引退後、同社はその Linux へのフォーカスを廃止し、替わりに、Novell から取得した AT&TUnix コードを巡る著作権侵害を申し立てて Linux ユーザを攻撃し始めた。 この訴訟は、裁判所が Unix の全著作権を持つのは Novell であり、SCO には侵害を訴える権利は一切ないという判断を下した最近になって、ようやく解決を見た。このあたりは SCO, Linux, and Microsoft in the History of OS: 2000s (OS の歴史における SCO、Linux、そして Microsoft: 2000 年代) を参照のこと。


Unix をめぐる平和

1996 年 Apple は、古くなった自社の Mac OS を置き換えるための新しいオペレーティングシステムを探し始めた。 同社は、MicrosoftWindows NT を評価したものの、その技術的観点から採用は見送った。 その後、BeOS 買い取りをめぐって Be 社と話し合ったものの、同オペレーティングシステムはまだ初期の開発者向けベータリリースの状態であり、オープンな Unix 基盤の上にビルドされていなかったこともあり、アプリケーションベースを一切持っていなかった。 Apple はその後 1996 年の年の瀬に NeXT に出会い、同社の Unix ベースのオペレーティングシステムを手に入れるために同社を買収した。

Apple は、NeXT が、経済市場や CIA や NASA といったセキュリティエージェンシーにも販売実績を持つ Unix ベースのオペレーティングシステム基盤という強固な基礎を持っているだけでなく、高度な開発フレームワークを持ち、移植性が非常に高いことにも気づいた。 NeXT は、Mac に似た NeXT コンピュータから HP や Sun が販売するワークステーション、さらには業界標準の PC など、さまざまなハードウェアプラットフォームに向けて自社のオペレーティングシステムを販売していた。 NeXT はまた、Apple が使用していた PowerPC アーキテクチャへの移植作業にもすでに着手していた。

この時点に至るまで Apple は、AppleShare (下図) と呼ばれる専用の Mac サーバアプリケーションを販売し続けていた。同製品は、Mac および PC ユーザを対象に AppleTalk プロトコルを通じたファイル・プリンタ共有を提供していた。 さらに、PowerPC に移行する以前の 1988 年から 1994 年にかけては A/UX Unix サーバも販売していた。そして 1996 年同社は、同じく AT&TUnix をベースにした IBMAIX を走らせる Apple Network Server と呼ばれる PowerPC サーバのラインアップの販売を開始した。 1993 年から 1998 年にかけて Apple は、クラシックな Mac で A/UX または AppleShare を実行する、Apple Workgroup Server と呼ばれる特殊な Mac を販売した。 NeXT を買収した同社はようやく、PowerPC Mac 上で動作する独自のモダンな Unix ベースのサーバを手にしたのだった。


Leopard Server


Mac OS X Server の序曲

Apple は先に Taligent の開発において IBM と協力関係にあり、Linux ユーザに Mac のハードウェアを使ってもらえることを狙って OSF と共同で mkLinux と呼ばれるオープンソースプロジェクトをホストしていた。
Taligent および mkLinux プロジェクトは、NeXTSTEP と同じく Mach カーネルをベースにしていた。 Apple は、自社内部の開発部門を NeXT のものと統合し、新しいカーネルを開発して、 OpenBSDFreeBSD、そして NetBSD という BSD 開発者による外部の 3 団体によって開発された新しいテクノロジと組み合わせた。

これらすべてのコードを一緒にして移行・アップデートするのにどれだけの作業が必要かに気づいた Apple は、一歩進んで、カーネルとコア OS をオープンソースとしてリリースできるように、NeXTSTEP のコア OS にあるすべての独自コードを取り除くことにした。 この作業が進行している間に、Apple は、クラシックな Mac OS をベースにして、ファイル・プリンタ共有、電子メール、そしてウェブホスティングサービスを提供する AppleShare IP (下図) の販売を継続した。


Leopard Server

Apple はまた、PowerPC Mac を対象に Mac OS X Server 1.0 (下図) という名称で、コード名を Phapsody という、実質的に NeXTSTEP を再ブランド化した製品も販売した。 同製品も類似のファイル共有およびウェブホスティングサービスを提供したものの、同社の新しい Unix 基盤の上に成り立っていた。


Leopard Server


Mac OS X Server リリース

AppleBSD を利用して商用 Unix につきものの問題から完全に解放された後、同社は 2000 年 4 月には自社のオペレーティングシステム基盤を Darwin オープンソースプロジェクトとしてリリースした。 こうした大幅な変更には、完全に新しい Quartz グラフィックレンダリングコンポジションエンジンも含まれていた。 Mac OS X 10.0 および 10.1 のサーバ版は、主に教育市場における既存のサーバユーザにアップグレードパスを提供する意味で、Apple の以前の AppleShare IP 製品の機能をそのまま引き継いでいた。


2002 年にリリースされた Mac OS X Server 10.2 Jaguar は、メインストリームのデスクトップユーザを対象とした Mac OS X 初のバージョンだった。 Jaguar Server 10.2 に向けて Apple 次のようなサービスを導入した:

  • Mac ファイルシステムのジャーなリングバージョンである jHFS+
  • LDAP ベースのディレクトリサーバで、PowerTalk 時代からの Open Directory という名称を再利用した Open Directory
  • 改良された QuickTime Streaming Server 4 および QuickTime Broadcaster
  • Common Unix Printing System をベースにビルドされた標準化されたプリティングアーキテクチャ
  • AIX ベースの Apple Network Server 以来、同社初のカスタム設計されたサーバハードウェアである Xserve
  • SNMP をベースにした Server Status リモート管理ツール

これらの機能は、オープンソースおよびオープンスタンダードを採用することで Apple がどの程度恩恵を受けたのかを示していた。 さらに、QuickTime Streaming Server、同社のファイルシステムテクノロジへの改良やその他の貢献もオープンソースコミュニティに還元して共有した。


2003 年にリリースされた Mac OS X Panther Server 10.3 には引き続き改良が施され、さらに多くのオープンソースプロジェクトが同システムに取り込まれた。 Panther Server には Samba 3 が組み込まれており、Windows クライアントを対象にしたファイル共有およびディレクトリサービス管理のための Windows ドメインコントローラとして機能可能だった。 Apple は、ウェブ開発のために MySQL および PHP をバンドルし、他のサービスも改良・アップデートした。


2005 年にリリースされた Mac OS X Tiger Server 10.4 は、Appe がデザインしたユーザーインターフェースオープンソースソフトウェアの組み合わせを導入し、「Open Source made easy」というマーケティングを展開した。 Mac OS X Server では、バンドルされた Apache ウェブサーバや Samba Windows ファイル共有、Postfix および Cyrus メールサーバを、Linux サーバで一般的なテキスト設定ファイルを編集したりウェブインターフェースから設定したりするのではなく、Server Admin (下図) のサービス管理用のグラフィカルなアプリケーション群を提供し、ユーザやグループの管理は Workgroup Manager で、サーバハードウェアは Server Monitor から管理できるようにした。


Leopard Server

Apple はさらに Access Control Lists のための内部サポートも追加した。 Support for ACLs では、Windows で利用されているものと互換性のある、より複雑なファイル権限のためのメカニズムを提供している。 Tiger はまた、Portable Home Directories を導入した。これは、デスクトップクライアントがサーバにログインし、ユーザプロファイルをダウンロードし、それらユーザディレクトリをサーバと同期を保てるようにする。 これは、Windowsローミングプロファイルや同期された共有フォルダに似たものだ。

その他独自に開発された追加機能としては、Xgrid 分散処理や 64 ビットアプリケーションのサポートだ。 Apple はまた、自社の WebObjects ディプロイメントサーバを Tiger Server に組み込んだ。これは以前であれば 50,000 ドルのライセンスが必要だったものだ。

Apple はさらに、オープンな Jabber プロジェクトをベースにした iChat インスタントメッセージングサーバを開発した。 この変更は iChat クライアントにも反映されている。 iChat は、独自の AOL IM システムとの互換に加えて、Google Talk などあらゆる Jabber システムとも利用できるようになった。この点については Mac OS X Leopard に向かって: iChat 4.0 を参照してほしい。

Tiger Server にはまた、Blossom ウェブログサーバの Java バージョンである Blojsom もバンドルされていた。 Apple は、同ウェブログサーバ用に独自のテーマをデザインし、Mac OS X Server を利用している企業がシンプルなウェブログを簡単に設定できるようにした。ただ、Apple は、ホストするブログに大幅な変更を施すことが非常に難しかったこともあり、ブログ機能にはほとんど注力しないままだった。


ページ 3 / 3: Leopard Server の新機能; Leopard のクライアント・サーバの統合; Wiki コラボレーション出版サービス; そして Leopard Server vs Microsoft Windows Server。

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Mac OS X Server v10.5 Leopard 10クライアント

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