AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: QuickTime、iTunes、そしてメディア機能 [Page 2]

Mac OS X Leopard に向かって: QuickTime、iTunes、そしてメディア機能 [Page 2]

By Prince McLean

Published: Thursday, October 25, 2007 10:10 AM EST


QuickTime パラシュートの拡大

Apple は、QuickTimeクロスプラットフォーム戦略の一環として、Silicon Graphic の MIPS をベースにした IRIX グラフィクスワークステーションなど、他のハードウェアアーキテクチャ上でも動作できるように QuickTime が利用している Mac Toolbox の一部の移植を続けた。 この移植作業の結果、QuickTime Media Layer とも言うべき、AppleMac プラットフォームを捨てなくてはならなくなった場合でも頼りになるテクノロジーポートフォリオが出来上がった。

Apple が 90 年代半ばに QuickTime に施した追加には、流れるようなインタラクティブでオブジェクトおよびパノラマのようなビデオを作成するための QuickTime VR があった。 ますます勢いを強める Windows 搭載汎用 PC を前に自社の QuickTime ポートフォリオを維持しようと腐心していた Apple を尻目に、MicrosoftApple に残された余地を洗い流すべく独自の追加計画を発表した。 1996 年半ば、QuickTime と機能面でまったく同じクロスプラットフォームソリューションを売り物にしていた Active Movie が、QuickTime VR の競合製品として Surround Video を発表した。

Apple にとって幸いなことに、Surround Video はまったくヒットせず、Active Movie は一度もクロスプラットフォームを実現できなかった。 替わりに同製品は、もうひとつの Windows 動画再生システムだった VfW を追いやり、後に Direct Show との名称で Direct X パッケージのなかに取り込まれることになった。 しかし、Apple は独自の問題を抱えていた。 Copland の大失敗とそれに関連する開発が頓挫したことから、才能あるエンジニアらの流出が起こっていたのだ。 AppleQuickTime の開発を先駆けた Bruce Leak は、1995 年に同社を辞して WebTV を立ち上げた。この WebTV は Apple および同社からスピンオフした General Magic からの多くの従業員によって構成されていた。

Apple は 1996 年にどん底に落ちた後、NeXT と交渉し始めた。 NeXTSTEP オペレーティングシステムの機能のなかでも特に Jobs が売り込んだのは、同システム独自のメディア開発ツールである NEXTIME (下図) だった。 NeXT の他のもの同様、同ツールもモダンな Unix 基盤の上で動作することの恩恵を受け、高度な AppKit 開発フレームワークに緊密に統合されていた。 これは Apple にとって特に魅力的だった。というのも、同社はその将来戦略を QuickTime を中心に描いていたからだ。この二社を合併すれば、Mac の弱い部分は NeXT の強い部分ですべて置き換えが可能であると共に、Apple はほとんど見過ごされてしまっている NeXT のソフトウェアテクノロジに市場を提供できたからだ。


Leopard: QuickTime


QuickTime の再誕生

Apple は、NeXTSTEPQuickTime を含めた自社のポートフォリオ資産とを統合していく戦略を進めつつ、行き詰まっていたメディア開発作業を再開した。 そのなかには QuickTime 3.0 も含まれていた。これは、HyperCard をベースにした広範なハイパーメディア開発システム、QuickTime Interactive というお荷物まで抱え込んだものだった。

Jobs は、軌道に戻り再び革新を行うという、Apple で新たに設定した目標からはずれたさまざまなプロジェクトを廃止した。 そのなかには QTi も含まれていた。 替わりに、QuickTime 3.0 (下図: Rhapsody DR2 リリースに同梱されていたもの) を簡素化して、メディア開発におけるレースで Apple が再び重要な位置を占めることができるような、実用的で出荷可能な製品にする努力が行われた。


Leopard: QuickTime

QuickTime の先のバージョンは、CD-ROM での展開を仮定したマルチメディア開発のための市場 -- QTi や HyperCard が視野に入れていたもの -- を育成しようとしていたものの、1997 年までにはメディア開発の本当の市場はインターネットであることが明確になっていた。 Macromedia が新たに買収した Flash や、RealNetworks の RealAudio および RealVideo ストリーミング製品は、そうしたオンライン市場をターゲットにしていた。 ウェブの重要性を認識するのが遅かったものの、Microsoft もまたインターネットメディアの独占に向けて舵を切り始めていた。


Microsoft の攻撃的な姿勢

1997 年初頭 Microsoft は WebTV を買収し、Windows XP Media Center Edition vs Apple TV にあるように、同社のラインアップおよび製品を Windows を中心とした戦略にフィットするように見直し始めた。 Microsoft はまた Apple に対して、Windows での QuickTime 再生の開発を中止しなければならないと通告した。 Microsoft の Christopher Phillips が QuickTime のマネージャである Peter Hoddie に、「我々は君に赤子を殺してもらいたいのだよ」と告げたのは広く知られている。

AppleQuickTime for Windows の中断を繰り返し拒んだため、MicrosoftApple に対し、もし同社がメディア再生を Microsoft を引き渡さないのなら、同社は単純に独自のオーサリングツールの開発に重点を置き、Apple を抹殺する、という態度をはっきりと示した。 Microsoft独占禁止法違反裁判での宣誓証言で、Microsoft のマルチメディアテクノロジーのマネージャ Eric Engstrom が「必要とあれば、Microsoft は 150 人のエンジニアを投入して、Apple をその市場から追い出すために開発プロジェクト進めていくことになる」と脅したとされている。

当時 AppleQuickTime グループには全員でもわずか 100 人のエンジニアしかいなかった。 Engstrom は、市場規模が小さすぎることから、Bill Gates はプログラムの開発に興味はない、と報告していた。 ところが彼は Apple に対して、「Microsoft は、Apple を再生市場から押し出すために、オーサリングツールを提供するために投資する必要があり、同社はその目標達成のためになら必要なリソース全てを注ぐつもりだ」と語ったのだ。

「我々は容赦なくマルチメディア再生を巡って争うつもりで、[他の] 誰にも Windows で再生をさせるつもりはない。 我々は、それをオペレーティングシステムの一部だと見なしているし、そのため、諸君らが Windows 上でのマルチメディア再生を諦める必要があるのだ。」Engstrom はそう電話会談で繰り返した、と Microsoft's Plot to Kill QuickTime (QuickTime を消し去る Microsoft の謀略) で指摘されている。

Microsoft はその後、Apple が長い間 Avid とパートナーを組んでリリースの準備をしていた、QuickTime をベースにした新しいコンシューマ向けビデオ編集製品 Avid Cinema に飛びついた。 同社は Avid エンジニアらに対してこう語った、「この分野に入りたければ、諸君の製品から QuickTime を捨てる必要がある。」 同社は 1998 年に Avid との関わりを深め、その結果 Microsoft が同社株の 9.1% を取得することになった。 Avid はその数ヶ月後、マルチメディアオーサリングのための同社の新しい Advanced Authoring Format において、Microsoft とのパートナーシップを発表した。 これが、約束の通り、AppleQuickTime に対する直接的な攻撃となった。

Microsoft は、AAF (オーサリング) と ASF (ストリーミング) を同社の新しい Windows Media アーキテクチャの中心とすることを計画しており、Adobe の Premier ビデオ編集製品についでもっとも目立つ QuickTime のユーザを買い占めることで、単純に QuickTime を蚊帳の外に置こうとした。 ところが、この戦略は逆に火を噴くことになった。


QuickTime に有利な状況展開

1998 年初頭、ISO の Motion Pictures Expert Group は、Micorosft の真新しく実力が証明されていないアーキテクチャよりも Apple のテクノロジーの成熟度を引き合いに、来る MPEG-4 標準のためのコンテナフォーマットの基盤として、Microsoft の ASF ではなく AppleQuickTime を選択したと発表した。

さらに、Adobe が Avid ライクな動きをして Premier の QuickTime から距離を置き始めたことから、Adobe が Premier に対して描いていたものを超えた QuickTime ベースのプロフェッショナルレベルのビデオエディタの開発を夢見て、Premier を支えていた Randy Ubillos やその開発チームが 1995 年に同社を離れて Macromedia へと移籍していった。 ところが、1998 年までに Macromedia はそのフォーカスを Flash に注ぎ、Final Cut と名前を変えていた Ubillos の Key Grip プロジェクトを中断するつもりになっていた。

Avid から QuickTime のサポートを取り除こうとしていた Microsoft の努力を前に、Apple は防御的になった。同社は、当初は単に同プロジェクトを存続するつもりだけだったのが、Macromedia から Final Cut を買い取ることに合意したのだ。 その後、 How Microsoft Pushed QuickTime's Final Cut (Microsoft はいかにして QuickTime の Final Cut を押し出したか) にあるように、重要な QuickTime アプリケーションをきちんと動作するようにする最善の方法は、それらアプリケーションを維持することだと気づいた。


Leopard: QuickTime

その年 Apple はまた、QuickTime 3.0 もリリースした。同リリースは、Microsoft の AAF および Windows Media イニシアチブの直接的な挑戦として、Windows での完全なオーサリングをサポートしていた。


ページ 3 of 4: QuickTime の新しい軌道; QuickTime のための新しいアプリケーション; 新しい QuickTime ハードウェア; そして Mac OS X 10.4 TigerQuickTime 7。

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