AppleInsider: Mac OS X Leopard に向かって: QuickTime、iTunes、そしてメディア機能 [Page 3]

Mac OS X Leopard に向かって: QuickTime、iTunes、そしてメディア機能 [Page 3]

By Prince McLean

Published: Thursday, October 25, 2007 10:10 AM EST


QuickTime の新しい軌道

翌年の 1999 年 Apple は、FireWire DV サポートを備えた PowerMac G3 上で動作する Final Cut Pro (前ページ) を送り出した。 同製品は、QuickTime の威力の廉価なデモンストレーションとなり、それまで高価な Avid スタジオにアクセスが必要だった作業の多くをこなせるようになっていた。 Apple はまた、自社の QuickTime エディタのコンシューマバージョンとして新しい iMovie をリリースして、Avid Cinema に取って代わった。

その年の末には、Apple はさらに QuickTime 4.0 をリリースした。同リリースには、標準でオープンなプロトコルを利用したインターネットストリーミングのためのサポートが追加され、自社の QuickTime Streaming Server をオープンソースプロジェクトとして提供しさえした。 QuickTime 4.0 の新プレーヤ (下図) は、回転式のボリュームコントロール、複数のスライドパネル -- 後に Mac OS X で登場するスライドに似ている -- を備え、また Final Cut Pro でお目見えしたブラッシュメタルを備えている。しかし、本物のデバイスを真似ようとしたため、標準的な Mac ユーザーインターフェースガイドラインからは逸脱したものになっている。 このために声高な批判にさらされることにもなった。


Leopard: QuickTime

2000 年 AppleMac OS X Developer Preview 3 を公開した。ここでは、新しい Aqua for QuickTime Player (下図) にブラッシュメタルが取り込まれていた。 標準的なウィンドウの鮮やかなホワイトストライプと比べると、ブラッシュメタルは控えめで洗練されているように見えた。 Mac OS 9 バージョンの他のユーザーインターフェースガジェットは取り残されたままだった。


Leopard: QuickTime

2000 年の Mac OS X Public Beta からは、さらに見直された Aqua-Metal QuickTime Player (下図) に QuickTime TV チャンネルが組み込まれ、映画再生における QuickTime の人気を梃にストリーミング市場に参入しようとする Apple のパートナーから提供されるコンテンツにアクセスできるようになっている。 AppleMacromedia から引き抜いて Worldwide Product Marketing 担当の副社長に任命した Phil Schiller は、QuickTime TV を「ライブ・オンデマンドストリーミングオーディオ・ビデオの最も成長著しいネットワーク」と呼んでいた。


Leopard: QuickTime


QuickTime のための新しいアプリケーション

Apple が他のプラットフォームに QuickTime Media Layer を移植しようとした投資も報われることになった。というのも、System 7 Mac API を移植して、NeXT からの新しい Unix ベースのオペレーティングシステム上で実行するための基盤として同レイヤーを利用することができたからだ。 それは Carbon と呼ばれ、開発者らが恐れていたほどの努力を必要とせず既存のアプリケーションを Mac OS X 上で動作できるように準備できるようになっていた。

Appleサードパーティの開発者らに Mac プラットフォームは投資に値することを納得させようと懸命になっていた時、Final Cut Pro が非常な成功を収めたことで、同社のための独自アプリケーションを開発するに十分だということが明らかになった。 Apple は続いて 2000 年に、DVDirector とその開発チーム、そして関連する DVD テクノロジーポートフォリオを Astarte GmBH から買収した。その翌年には DVD Studio Pro として製品をリリースし、独自の DVD を制作しているプロフェッショナル、フリーランス、そして小規模なフィルムスタジオからなる新興市場をサポートした。

2002 年 Apple は、ハイエンドビデオ作成ソフトウェアである Shake のために Nothing Real を、次いで Logic というプロフェッショナル並みの音楽スタジオツールをもつドイツのソフトウェア開発会社 Emagic を買収した。 同社はまた、2001 年には iMovieiTunesiDVD を加え、その翌年には iPhoto を加えて、矢継ぎ早に QuickTime ベースのコンシューマ向けアプリケーションスイートを組み上げていった。

Mac OS X 10.2 Jaguar のリリースまでに Apple は、QuickTime ベースのアプリケーションからなるプロフェッショナル向けおよびコンシューマ向けスイートを備えて、新しい Mac プラットフォームの優位性を誇示した。 同社はさらに、GarageBand、Motion、そして Aperture と続け、その間、既存のアプリケーションに向けて定期的にアップデートを提供した。この辺りは Why Apple Bounced Back (なぜ Apple はまた跳ね返ってきたか) に詳しい。


新しい QuickTime ハードウェア

Apple はまた、迅速に QuickTime を進化させて、新しいハードウェア製品をサポートした。 QuickTime 5.0 は 2001 年に出荷されたが、これは AppleiTunes 1.0 (下図: Mac OS 9 用) を導入したわずか 3 ヶ月後のことだった。 Apple は人気の SoundJam MP を買収し、iMovieQuickTime Player のブラッシュメタルを利用して全く新しいインターフェースをデザインして iTunes を作成した。

その年の 10 月、Apple は、Mac OS 9 および Mac OS X 10.1 の両方を対象に iTunes 2.0 によるサポートと共に初めての iPod を披露した。 この新しいバージョンには、イコライザやクロスフェード機能が加えられていたものの、インターフェースは変わらなかった。


Leopard: QuickTime

翌年 AppleQuickTime 6.0 に MPEG-4 part 2 および AAC audio へのサポートを加え、2003 年には iTunes 4.0 で AAC エンコーディングと再生機能を先駆的に投入した。これにより新しい iTunes Music Store が可能となった。 これは結果的に、新しい AAC 標準の急速な採用を後押しし、SonyMicrosoftWindows でしか動作しないデジタルダウンロードを宣伝していたその同じ時に、Mac のための商業音楽の選択肢を維持することが可能となった。この辺りの経緯については Rise of the iTunes Killers Myth (iTunes キラー神話の勃興) を参照してほしい。 6 ヶ月後、iTunes for Windows および新しい Mac OS X 10.3 Panther が 10 月にリリースされた。


Mac OS X 10.4 TigerQuickTime 7

根底にある iTunes のなかの QuickTime のパワーに一部支えられた iPod の人気によって、さらなるソフトウェアへの投資が可能となり、それが 2005 年に Mac OS X 10.4 TigerQuickTime 7 となった。 同リリースでは、MPEG-4 part 10 (H.264、または AVC) へのサポートが追加され、その年の後半に提供された新しい video iPod においてハードウェアベースのビデオデコードが可能となると共に、AppleiTunes Store でテレビおよび映画ビジネスへと進出することになった。

QuickTime 7 は Classic Mac OS のサポートを止めたことから、ネイティブな Quartz エンジン (Core Graphics) を利用して画面描画を行えるようになり、これによって再生中でもウィンドウのサイズ変更をライブで行えるようになった。 ビデオは OpenGL の表面として画面に表示されていた。 QuickTime 7 ではまた Quartz Composer アニメーションが導入されており、Core Video を経由してライブビデオに Core Image フィルタが適用できるようになっていた。 また、古い Mac Sound Manager も、新しい Core Audio に置き換わり、24 ビットという高解像度サウンドが可能となった。 Apple はさらに、QuickTime 開発のための Cocoa フレームワークである QTKit も投入した。

Tiger のリリース後、iTunes にはビデオ・ポットキャストサポートが加えられ、その年の末までにはバージョン 6 へとなった。これは 5.x がリリースされてからわずか数ヶ月後、4.x がリリースされてから 2 年後のことだった。 バージョン 5.0 は、Leopard に似た統一された外観が導入され、その後の 2 つのメジャーバージョンでもわずかな手が加えられただけになっている。 こうしたことから iTunes は、例えば昨年の iTunes 7.0 で Cover Flow が加えられたように、インターフェース要素で実験を行うための実験材料であることが窺える。 さらに、AppleiPod Games をデビューさせた。これは Leopard とほとんど関係ないものの、モバイルデバイス上に安全にソフトウェアを配布するためのモデルを同じように検証し、次の春には iPhone 上にソフトウェアをインストールする公式手法として採用される可能性が高い。この点については Steve Jobs Ends iPhone SDK Panic (Steve JobsiPhone SDK パニックを収拾) が指摘している。


ページ 4 / 4: Leopard での QuickTime の新機能; Leopard での Quicktime アプリケーション; QuickTime Streaming Server; そして HD-DVDBlu-Ray

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