AppleInsider: Mac Office 2008 に向かって: はじめに [Page 2]
Road to Mac Office 2008: an introduction [Page 2]
Published: Monday, November 12, 2007 08:30 AM EST
Microsoft Launches its Mac Apps on the PC
Apple は Word for DOS による不意打ちから 2 年後、Microsoft と新たな契約を結び、今後 2 年間にわたって Macintosh 用 Excel を独占的に作成する契約に合意した。 Gates は、An Introductory Mac OS X Leopard Review: Developer Tools でも指摘されているように、Apple の MacBASIC を消し去る方法として、Applesoft BASIC を巡る契約を失効とこの合意を結びつけた。 Gates はまた、Microsoft が Macintosh テクノロジーを Windows 1.0 で利用できるようにする無料ライセンスを提供するよう、Apple に要求した。
この合意は Apple にとっては破壊的なものであることが明らかになった。というのも、Microsoft は後にこの合意を利用して、自社の Mac アプリケーションを PC に移植する手法として、Mac にそっくりな環境を DOS に提供したからだ。 Microsoft は 1983 年に Windows 1.0 をデモンストレーションしていたものの、Apple とのこのライセンス合意に署名する 1985 年後半 (下図) になるまで商業製品としては出荷しなかった。 歴史修正論者は、Microsoft は Windows 1.0 や Word for DOS を、Macintosh に先駆けて独自に送り出し、マウスの使い方について Apple を訓練したと仄めかしたがる。
Windows 環境は、その上で動作するアプリケーションがなければほとんど価値がない。 1987 年に Excel を巡る 2 年間にわたる独占期間が終了すると、Microsoft は Windows 2.0 と共に Excel 2.0 (下図) を出荷した。 Apple は、Region の発明など、以前のライセンスには含まれていない Mac テクノロジーを利用しているとして Microsoft を訴えた。 この訴訟は 1994 年まで続いたが、その年、1985 年に Apple が交わしたオリジナルの合意が対象としている範囲があまりに不明瞭だとの理由から訴訟全体のほとんどが却下された。
Microsoft の Multiplan for DOS は一度も大きな注目を浴びることがなかったが、標準的な PC 上でグラフィカルな Excel を実行するという期待は注目を集めた。そして Microsoft は Lotus の市場シェアに食い込み始めた。 1989 年 Microsoft は Word for Windows を、そして 1990 年には Windows 3.0 を PowerPoint for Windows と共に出荷した。
OS/2 用 Windows を開発した Microsoft
Microsoft は引き続き Mac アプリケーションから自社の稼ぎのほとんどを生み出していたが、同社また 1985 年に IBM とのパートナーシップに入り、OS/2 と呼ばれる DOS の代替を開発し始めた。 Microsoft と IBM は、OS/2 という新しい基盤上に Windows 環境を移行して実行することを計画していた。つまり、実質的に Apple のテクノロジーを直接 IBM に移そうとした訳だ。これは、Apple が自社のルック・アンド・フィールを巡って Microsoft を訴えた理由の一部だった。これは、Apple が Atari、Commodore、Acorn、などグラフィカルユーザーインターフェースを提供している他のさまざまなベンダーは訴えていないことからも分かる。
OS/2 の開発を進めるうちに、Microsoft はそれを「Windows Plus」と表現し始めた。 さらに、WLO として知られる「Windows Libraries for OS/2」も開発し、OS/2 に Word (下図) と Excel を移植するためにこれらを利用した。 一方で Microsoft は、DOS アプリケーションベンダー -- Lotus や WordPerfect を含めて -- に対して、彼らのアプリケーションを直接 OS/2 のネイティブライブラリに移植するように要請した。
ところが同時に Microsoft は、新しいオペレーティングシステムを送り出すために一社で独自の計画に投資していた。 1988 年 Microsoft は Dave Cutler と彼が率いる Digital のオペレーティングシステム開発者のチームを雇用し、やがて Windows NT として出荷されることになるものの開発を開始した。 Jobs の NeXT コンピュータのために Microsoft は開発を行うのか尋ねられた Gates は、Windows 以外のあらゆるものに対して関心を示さず、「このための開発? 止めておくね」としか答えようとしなかった。
Microsoft は 1992 年まで OS/2 のための Office アプリケーションを出荷し続け、1993 年に Windows NT がリリースされた際には OS/2 との互換性を謳ったりした。 しかし同時に同社は、OS/2 へのサポートを維持することには全く関心を持っていなかった。 この姿勢は実質的にこれまでの DOS 開発者らを袋小路に追いやることになり、Microsoft は自社の PC 用アプリケーションを Windows ユーザのために唯一利用可能なオプションとしてプロモーションできるようになった。 ただ、Microsoft の支持者の中には、DOS ソフトウェア業界全体が Windows アプリケーションを期限までに提供できなかっただけだと主張する人たちもいる。 加えて、WordPerfect は Apple や NeXT がバンドルした競合するワードプロセッサについては不満を述べることができたのに、Microsoft に対しては不満を述べなかった。というのも、Microsoft は辛辣にそして意図的に WordPerfect に競合していたからだ。
PC にバンドルされた Windows 3.0
Windows 3.0 の売り上げは、PC メーカー -- Zenith によって率いられていた -- が Apple に対抗するために、新しい PC に Windows 3.0 をプリインストールするようになって、急激に上昇した。 Windows のそれまでのバージョンは、一度も新しい PC にプレインストールされなかったのだ。
Windows 3.0 をレビューした John Dvorak は、「Windows 3.0 は多くの注意を引くことになるだろう。しかし、人々はそれを試してみて、遠からず全員が素の DOS へと戻ってくだろう。 ときどきは、ある特定の目的のために Windows を立ち上げるかもしれないが、多くは Commodore 64 と一緒にクローゼットの中に置いておくようになるだろう」と述べた。
Windows 3.0 の売り上げが伸びるなか、Microsoft は公式に IBM との OS/2 を巡るパートナーシップを引き上げ、DOS アプリケーション開発者らを将来のないシステムに投資させたまま置き去りにした。 Office Wars 4 - Microsoft‚ Assault on Lotus and IBM (Office Wars 4 - Microsoft、Lotus と IBM を襲撃) でも指摘されているように、これによって、Microsoft 独自の Word や Excel が PC 上で WordPerfect や Lotus 1-2-3 を上回ることができるようになった。 Microsoft は、新しい PC に Office 95 のライセンスさえバンドルし、Microsoft が参入しようとするあらゆる業界において、サードパーティ製 Windows ソフトウェアのあらゆる健全な市場をさらに破壊していった。
行き詰まった Microsoft の Mac アプリケーション: Office 4
Microsoft は、1985 年、1987 年、1989 年、そして 1991 年 (下図: 495 ドルだった Word 5) と隔年ごとに Mac 用 Word の新しいメジャーバージョンを送り出し、これに合わせて Excel の新バージョンも 1988 年、1989 年、1990 年、そして 1992 年と発表した。 1990 年 Microsoft は、初めて Microsoft Office と呼ばれる、Word、Excel そして PowerPoint をひとつのパッケージへとバンドルした。これは Apple の Lisa Office のオリジナルリリースから 7 年後のことだった。
しかし Windows 3.0 が売れ行きを伸ばすなか、Microsoft は自らの関心を Mac から自社独自のプラットフォームへと移していった。 1991 の Word 5.0 for Macintosh は非常に評価が高かったものの、Microsoft が平行してリリースした Word for Windows 2.0 に加えられた機能の一部が含まれていなかった。 Mac と Windows で個別のバージョンを維持することが面倒になった Microsoft は、Pyramid というコードネームで Word の単一のクロスプラットフォームコードベースを開発する決定をした。
しかし WordPerfect からの強力な追い上げを受けて、Microsoft は統一された Word コードベースを書き直すという計画を放棄して、替わりに、既存の Word for Windows 2.0 コードを単純に移植して Word 6.0 for Macintosh を送り出した。 Microsoft は、クラシックな Mac OS が抱える違いや制限に関連する一連の問題に遭遇し、これが原因で Word 6 の評価はほとんど悪評に近いものになってしまった (Microsoft の開発者 Rick Schaut が Buggin' My Life Away : Mac Word 6.0 (バグ潰しの人生: Mac Word 6.0) のなかで述べているところによると)。
ある部分、Word 6 がより多くのリソースを必要としたことが原因だった。Windows で実行するよう設計されたものだったし、Mac のために書かれたカスタムコードで、その独特の部分にも対応した設計だった Word 5.1 に対抗して Mac 上で注意を引く必要があった。 ところが、Word 6 は、ひとえにこれまでとは違うという点でも批難されてしまった。 Microsoft が送り出した大幅な改良の中には、同じタスクをこなすためにこれまでに習得したことを忘れ、より複雑な方法を必要としているという理由だけで、既存のユーザからは嫌われたのだ。
1993 年に Office 4 for Mac -- これには Word 6、Excel 5、そして PowerPoint 4 -- をとにもかくにもリリースした後、Microsoft は Mac の開発を中断して、Windows にフォーカスし始めた。 そして Microsoft が送り出したのは:
- 1994 年の 16-bit Office 4 for Windows。
- PC に加えて MIPS、PowerPC、そして Alpha で動作する、1994 年の Office 4 for Windows NT 新しい 32-bit バージョン。
- 1995 年後半の Windows 95 のリリースと共に発表された Office 95。このリリースは Word のバージョンと合わせるために内部では Office 7 にジャンプした。そのため Office 5 や 6 は存在しない。
- 1996 年後半の Office 97。いわゆる Office 8。
Microsoft が Mac を諦めた時期、WordPerfect は Apple の System 7 (下図: 実行中の WordPerfect 3.5) のユニークな機能をサポートした大掛かりなアップデートをリリースした。 同社はその後、1996 年に Mac プラットフォームを廃止し、復帰することは一切ないとのアナウンスを発表した。
Nisus もまた Mac 市場に Microsoft がいないのに乗じて、Nisus Writer (下図) のアップデートを出して収益を上げた。
ページ 3 / 4: Apple の Claris; Apple、Microsoft そして新しい MacBU; Office for Mac 98; Office for Mac 2001; Office v.X; Office for Mac 2004; そして Apple による iWork の立ち上げ。
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