AppleInsider: Mac Office 2008 に向かって: はじめに [Page 3]

Road to Mac Office 2008: an introduction [Page 3]

By Prince McLean

Published: Monday, November 12, 2007 08:30 AM EST


AppleClaris

Apple 独自の Claris ソフトウェア子会社は、ヒット・アンド・エラー戦略を繰り返し、同社の Mac アプリケーションの促進と停滞の両端を行き来した。 1990 年同社は ClarisWorks を発表し、複数のモジュールを備えた統合オフィスアプリケーションとして Microsoft の Works プログラムに対抗した。 Mac 上での人気を獲得し、売り上げで Works を上回るようになると、Windows バージョンも提供し始めた。

Claris はそれに続いて、Informix WingZ をベースにした表計算ソフトの Resolve、FileMaker デスクトップデータベース、人気の Emailer メールクライアント、そして Organizer カレンダーなど、さまざまな Mac ソフトウェアを開発・買収した。

同社のソフトウェアはまずまずの評価を勝ち得ていたものの、同社はますます Apple が抱える困難な状況に巻き込まれていった。 つまり、一貫性のない問題処理法や明確な方向性の欠如といったものだ。 これが原因となり、既にあるアプリケーションのポートフォリオが時代遅れになりつつあるなか、才能あるエンジニアを失うことになった。 Claris の命運は、Apple が OpenDoc の可能性を示すために、同社人気の ClarisWorks 製品を実装すると決断した時に、終わりを告げた。 1996 年までに Claris の所有するアプリケーションポートフォリオは、Mac OS と同じくらい悲惨な状態になっていた、と Claris and the Origins of Apple iWork (ClarisApple iWork の起源) で指摘されている。


AppleMicrosoft そして新しい MacBU

Apple は NeXT を買収した後、Rhapsody と呼ばれる新しい OS 戦略を発表した。これは実質的に NeXTSTEPMac の外観を用いて再ブランドしたものだった。 OpenDoc、QuickDraw GX、そして Copland など、Apple による一連の技術的袋小路に飽き飽きしていたサードパーティの開発者らは、Apple の新戦略へのサポートを拒否し、同戦略を突き返してきた。

Apple は、新しいプラットフォームが出ても、そのためにプログラムを書いてくれる開発者が一人もいないという、1981 年当時の状況に戻ってしまったのだ。 最近の開発失敗によって再び、かつての Apple III や Lisa と同じレベルで、ひどい評価を受けることになり、既存の Mac ハードウェアビジネスは、15 年前に Apple II がそうだったように時代から取り残されていった。 Jobs はそのとき同様、同社のために新しいソフトウェアをリリースしてくれるように Microsoft と契約を結んだのだった。

Jobs が Microsoft と契約を結んだことで、5 年間にわたり Windows でのリリースと並行して Mac でも Office を提供するという取り決めがなされた。 さらに、80 年代後半から引きずってきた紛争の名残にも決着をつけることになった。 Microsoft独占禁止法違反裁判において、Apple の Software Engineering VP Avie Tevanian は、Apple は加えて「1996 年に Microsoft に対して同社の Windows オペレーティングシステムInternet ExplorerApple の特許を侵害していると通告した」と証言した。 さらにこの契約は、Apple が当時 Canyon の QuickTime 技術を Microsoft が侵害したことも関連していた、と Mac Office, $150 Million, and the Story Nobody Covered (Mac Office、1 億 5000 万ドル、そして誰も触れなかった物語) にはある。

今や AppleMicrosoft は協力しており、Apple が当時 Microsoft に対して起こしていた訴訟を終わらせ、1 億 5000 万ドル分の信任投票権付株式を受け取ることを条件に、MicrosoftMac Office と Apple がリソース不足から独自ソフトを開発できないでいたウェブブラウザを送り出した。 高い忠誠心を持つ Apple ファンのなかには、この取引を批判する向きもあるが、これによって NeXT のテクノロジーの改良版で置き換えるまでの間、クラシックな Mac プラットフォームを生きながらえさせることが可能となった。

1997 年初頭 Microsoft は、同社内に独立したグループとして Mac Business Unit を形成して、Mac ソフトウェアの開発に専念させるとの発表を行った。 MacBU には 145 人の従業員がおり、Apple 外では二番目に大きな Mac 開発グループとなった。


Office for Mac 98

その翌年 MacBU は Office for Mac 98 (下図) をリリースした。同ソフトは、その 1 年半前にリリースされた Microsoft の Office 97 for Windows のルック・アンド・フィールを多く受け継いでいた。 同リリースはバグに悩まされたものの、4 年間にわたって Office for Mac の新バージョンがなかったこともあって歓迎された。

UGeek Software Review はこうした暖かい歓迎を強調している: 「Microsoft Office 98 for Power Macintosh はあらゆる面で期待を超えている。」 Word 6 の騒動を受けて、新リリースでは、古い Word 5 メニューレイアウトか MicrosoftWindows バージョンと同じ新しいものかをユーザが選択できるようにしていた。 さらに、問題の箇所に下線を引いてハイライトするバックグランドでのスペル・文法チェックなど、Windows 版 Office からの新機能も取り入れた。 また PowerPC のみの対応として、それより古い 68K Mac へのサポートは打ち切った。


Office 2008

一方 Apple は 1998 年に Claris を吸収し、ClarisWorks for the MacAppleWorks という名称で販売し始めた。 2000 年 Apple は、Mac OS 9 と Mac OS X の両方で実行できるように ClarisWorks のもう一つのバージョンを Carbon 化されたアプリケーションとしてリリースした。 しかし当時でさえも、AppleAppleWorks に関して大した計画を持っておらず、できれば完全に置き換えたいと考えていたのは明らかだった。


Office for Mac 2001

Microsoft は、1999 年 1 月に Office for Windows の次期バージョンとして Office 2000 を送り出した。 それから 2 年近くを費やし、Office for Mac 2001 が登場したのは 2000 年 10 月のことだった。 Mac OS X のユーザは、Office 2001 が予定されているオペレーティングシステム上でネイティブに動作しないことに失望した。 同 Office には Classic 環境が必要だったのだ。

定価は 500 ドルで、実勢販売価格は 430 ドル、そしてアップグレードは 300 ドルだった。 Office 2001 には 2 年間の開発期間が費やされたにもかかわらず、Project Gallery (下図) や起動時に表示される拡張されたファイルオープンのダイアログ以外、98 バージョンからほとんど変わっていなかった。


Office 2008

ATPM の レビュー: Microsoft Office 2001 で指摘されているように、「Microsoft Office 2001 for Mac は、Macintosh プラットフォーム上で同社のアプリケーションスイートを維持するという Microsoft 側の法的義務を満たした」ものの、その Mac 版はその 2 年前にリリースされた Windows 版にも機能面で劣っていた。 同レビューは、このバージョンを「Office 98 への中途半端なアップグレード」とし、ユーザがアップグレードしなければならない理由はほとんどないとした。 「新機能の多くは洗練されていないか、説明も十分ではないか、バグがあるか、あるいはその全てが一緒になった状態だ。」


Office v.X

その一年後の 2001 年 11 月に、Microsoft は Office v.X (Office 10) を送りだした。これは Office XP for Windows のわずか 6 ヶ月後のことだった。 Microsoft は Carbon を利用した新しいスイートを送り出し、Office 2001 を Mac OS X へとより簡単に移植できるようにした。 ところが、新しい Aqua インターフェースにマッチするようにスイート全体の外観を見直す必要があった。 そうするなかで、Office for Mac は Excle (下図) にある美しい透明なチャートといった Windows バージョンにはない機能を送り出してきた。


Office 2008

Office v.X の売り上げは、Microsoft は予想よりもはるかに少ないものだった。 同社が初年度に出荷したのは予測していた 700,000 コピーのほぼ半分ほどだったのだ。 これは恐らく、その 1 年前に多くの Mac ユーザが 500 ドルした Office を購入してしまっていたことが大きいと考えられた。 同社はこの Office を新 OS 上でネイティブに走らせるためだけにさらに 300 ドルのアップグレード料を要求し、これがために 2002 年の Mac OS X 10.2 Jaguar リリースを前に売り上げを伸ばせなかった。 これを受けて Microsoft は異なる価格設定でさまざまな Office パッケージをリリースすることにした。

Professional Edition には、Microsoft が 2003 年に Connectix から買収した、Windows エミュレータである Virtual PC がバンドルされていた。 同社は AccessVisio、そして Project を移植していない点についてこのエミュレータを言い訳として利用していた、と MacUser は レビュー のなかで指摘している。 Microsoft はまた、500 ドルという価格を支払う理由として、無料の Remote Desktop Connection クライアントも追加した。

Standard Edition は 400 ドルで、Student and Teacher バージョンは 150 ドルで提供された。 アカデミック版の価格設定について、当時 MacBU のジェネラルマネージャだった Roz Ho は、Microsoft は顧客が受け入れてくれると信じているエンドユーザライセンス合意を用意している、とだけ語った。


Office for Mac 2004

Office v.X のリリースから 2 年半後の 2004 年 5 月、Microsoft は Office 2004 (Office 11) をリリースした。再び、Office 2003 for Windows のリリースからわずか 6 ヶ月後のことだった。

MacNN の Review: Microsoft Office 2004 はこのアップデートについてうまくまとめている:

「新バージョンは、Office スイートを構成している全 4 アプリケーションで、前バージョンにはなかった非常にクールな装飾が施されている。」 「また Wintel バージョンの Word との互換性も少しだけ向上しており、そうしたプラットフォームを使っている恵まれない同僚との仕事の共有もより完全に近いかたちで可能だ。 ただし、すでに Office v.X を利用しているユーザの多くは、すでに手にしているもので十分で、アップグレードの必要はないと思うはずだ。 その点からすると、Microsoft の主な競争相手は自分自身なのかもしれない。」

新機能には音声録音 (下図) や、一つのダッシュボードインターフェースに関連する連絡先、ドキュメント、そしてイベントをリンクできる Project Center があった。


Office 2008


Apple による iWork の立ち上げ

Office for Mac 2004 のリリースの一年前、Apple は 99 ドルの新しい PowerPoint 代替プレゼンテーションソフトとして Keynote をリリースした。 その一年後、同じようなデザインのページレイアウトプログラムとして Pages をリリースし、79 ドルで Keynote とパッケージした。 さらにその一年後、Apple にある同じチームは iWeb をリリースし、更新された iWork 06 パッケージと並んで、iLife にバンドルした。


Office 2008

その年 AppleiWork 08 リリースし、表計算ソフトとして Numbers (上図) をバンドルし、Keynote (下図上) には新しいアニメーション・ナレーションツールを加え、Pages (下図下) にはワードプロセッサ機能を追加した。 この iWork 08 パッケージは 79 ドルで、iLife との統合や他の Mac アプリケーションと共通の標準のツールバーやインターフェース要素などの Mac OS X にある機能を利用して、Office の直接的なライバルとなった。


Office 2008


Office 2008


ページ 4 / 4: Office for Mac 2008; Office 2008 の新機能; 詰め合わせ; そしてより洗練されたパレット。

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iWork '08

iWork '08