AppleInsider: Windows 7 vs. Snow Leopard: Microsoft のカムバック計画 [ページ 2]
原文:Windows 7 vs. Snow Leopard: Microsoft's comeback plan [Page 2]
Published: Thursday, January 22, 2009 11:05 AM ESTLive による梃入れMicrosoft はまた、iLife の後を追うかのように、フォトギャラリーやムービーメーカーを Windows パッケージから取り除き、無料ながらも Windows Live エッセンシャルと呼ぶ、別途のダウンロードパッケージとしてきた。 このパッケージにはまた、これまでバンドルされていた Windows メール、Live メッセンジャー、そして Writer も含まれている。 これにより、Windows 7 のディスクフットプリントは Vista と比較して小さくなった。もっともこれは、レビューにとっては有利になるかもしれないが、これがなぜ Windows 7 の中核となる新機能としてマーケティングされているのかは不明だ。Apple が iLife で目指していることとは異なり、Microsoft はこうしたアプリケーションを販売するのではなく、主に Google の製品と競合する電子メール(Hotmail)、メッセンジャー IM、その他のオンラインサービスといった、自社の Live 製品に注意を向けようとしている。 Windows 7 ユーザーに Live に登録し、基本的なアプリケーションをダウンロードもらうようにすることで、Microsoft は自社の独占的なオペレーティングシステムを梃に、Google から自社のウェブサービスへと利用者を誘導することを狙っているのだ。これは、ちょうど Google が先に Microsoft は Vista のデスクトップ検索を自社の Live Search サービスに統合しようとしていると訴えたように、独占的地位の乱用をめぐる新たな争点を生み出すことになるかもしれない。 Vista 採用率がぱっとしないことから、Microsoft による大々的な検索・オンラインサービスへの参入も鳴りを潜めているものの、同社のターゲットは、2005 年に Ballmer が声高に宣言したように、Google「抹殺」であることには変わりはない。
洗練されたデバイス管理
Windows 7 におけるもっと重要な改善点は、新しい「デバイスとプリンター」コントロールパネルだ(下図)。これは、デバイスステージと呼ばれ、ドライバー設定を処理するためのインターフェースウィンドウだけでなく、プリンタからスキャナー、カメラ、MP3 プレーヤー、マウスからキーボードまで、インストールされたあらゆるデバイスをグラフィカルに一覧表示するものだ。デバイスステージをサポートする製品は、そのデバイスで操作できるオプションをインストールし(下図)、さらには、Mac OS X でプリントセンターがプリンターを扱うのと似たような感じで、タスクバーにアイコンをポップアップ表示する。 Microsoft はこの分野で Apple よりも多くの仕事をする必要がある。というのも Windows は、より幅広く、妙な動作をすることもままあるハードウェアとともに動作することが求められているからだ。 ただ、どの程度の数のデバイスがこの新機能を特別にサポートした状態で登場するかや、どの程度の数の製造元が既存の製品のためにこの機能をサポートするようになるかは、まだ不明だ。 CES において Ballmer は、デバイスステージを特別にサポートしている Nikon の D90 カメラを Windows 7 でデモンストレーションしていた。これとは対照的に Apple は自らが、Mac OS X で使用されるすべてのビデオハードウェアをビルドし(訳注:?)、その他の周辺機器のほとんどは USB あるいは Firewire の自動設定機能を利用している。 Apple はまた、カメラ、iPod、そして iPhone のためのデバイス設定の一部を iTunes や iPhoto といったアプリケーションに委ねており、接続されたデバイスのすべての技術的詳細を、「この Mac について」メニューからアクセスできる、より多目的なシステムプロファイラーにまとめている。 そして、カメラから写真を撮り込むために特別な画面へとナビゲートするのではなく、普段使っている写真用アプリケーションをつかったり、ほかのストレージ機器とまったく同じように、直接 Finder からそうした写真へとアクセスできるようになっている。Apple は、このように自社オペレーティングシステムとハードウェア間で緊密に連携させることで、多くの場合より少ない設定を可能にしている。 これはまた、Apple がハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの両面において、新機能を素早く展開できるようになっていることも意味する。 Microsoft は Vista において、ラップトップの背面に第二の LED パネルを追加して、システムスリープ中でもユーザーが一部の情報にアクセスし、Vista に付きものの長いレジューム時間をなんとか軽減できる仕様もリリースしようとした。 ところが、OEM 各社はこの新しい SideShow と呼ばれるアイデアをサポートすることはなく、消費者の間でも関心を呼ぶことはなかったため、このコンセプトはお蔵入りとなった。
アウト・オブ・タッチ
Microsoft は、2007 年に iPhone が登場すると、マルチタッチの流行に飛び乗り、2010 年までに携帯電話やコンシューマー向け PC で、どのようにマルチタッチ・ユーザーインタフェースを実現するかについて、大胆な予言をいくつか発表した。 Surface キオスクテーブルのデモによる熱狂が冷め止むと、誰もマウスやトラックバッドを止めて、腕を伸ばしてわざわざ油まみれの手でスクリーンを触りたがっていないことが明らかになった。それでも Microsoft は自社の Windows 7 ウェブサイトで、「タッチスクリーンモニターをお持ちなら、コンピュータスクリーンをタッチするだけで、より直接的で自然な作業が可能です」とし、さらには「スタートメニューやタスクバーに広くタッチ対応エリアを設けることで、簡単に使えます」ともしていた。Windows 7 は現在では、タッチ機能をメディア・センターの一部として位置づけて(下図:Mirosoft の Windows 7 ウェブサイトから)、さらにはテレビを見たり、DVR プログラムステーションとして使えるタッチ対応のテレビ画面や大型のタッチスクリーンモニターを持っている場合は、触れることでテレビ番組の録画ができるともしている。 Microsoft は自社のウェブサイト上で、「『タッチ』を使って放送中のテレビ番組を見たり、録画したりするには、高度な、あるいは追加のハードウェアが必要になる場合があります」としている。新たなる出発: Vista から離れて
Microsoft が Windows 7 について謳っているその他の拡張は、より速い起動、シャットダウン、スリープからのレジュームなど、Vista のマーケティング時と同じに聞こえる。 しかし同社はまた、もともと大々的に売り込まれていた Vista の自己目的的な機能から Windows 7 を切り離そうというマーケティング方針のもと、Vista を上回るパフォーマンスと利便性の向上についても新たな注意を向けようとしている。 また、光沢のある見た目に注意を向けさせることも少なくなり、ユーザーアカウントコントロールによって出されていた警告メッセージによってシステム操作が妨害されることを少なくするような新しい努力がそれに取って代わった。ユーザーは、システム警告や通知ポップアップの頻度を設定できるようになり、これまでだと、システム警告として表示されていた「十種類の Windows 機能」にばらばらに散らばって表示されていたメッセージが、新しいアクションセンターに一括される。 例えば Vista では、アンチウィルス・マルウェアに対するメッセージや警告は、セキュリティーセンターか、Microsoft が別途買収した Windows ディフェンダーに表示されていた。 それが今や、すべてがアクションセンターに集められるようになった(下図)。Windows 7 における実際の新しい消費者向け機能として、Microsoft は「スクリーンディマー」と呼んでいるものがあるが、バッテリー駆動時間のための重要な新機能として十分と言えるものなのか。 Windows 7 ウェブサイトには、「素晴らしいアイデア: 自動的に明るさを落とすディスプレイで、より長いバッテリー駆動時間を。」(下図) この機能は、少なくとも過去 15 年間にわたって Windows に搭載されてきたものだ。同社は新しいオペレーティングシステムのリリースに向けてプロモートできる機能をなりふり構わずかき集めているような印象だ。Apple が Snow Leopard の開発・マーケティングにとったアプローチは、それ以外のものは考えられないくらいのものだった。 同社は昨年、新しいオペレーティングシステムを紹介するにあたって、Microsoft の Exchange Server を新たにサポートし、自社の iPhone 2.0 に統合されたプッシュメッセージのサポートを含める以外は、いっさい新機能を加えないとしていた。 ところが、同社が後に発表した詳細には、Snow Leopard が、幾分のパフォーマンス拡張とプッシュメッセージを加えただけの、たんなるマイナーアップデートではないことが示されていた。 次のセクションでは、Apple が滑り込ませてきた メジャーな機能 と、両社の戦略におけるその他の大きな違い、そして予定されているオペレーティングシステムリリースについてみていく。