AppleInsider: 詳細レビュー: Kindle 2、Apple TV の書籍版 [ページ 2]

原文: In-depth review: Kindle 2, the Apple TV of books [Page 2]

By Prince McLean
Published: Wednesday, March 4, 2009 09:00 AM EST

Kindle のスイートスポット
以上のようなことから、Kindle 2 は、小説や長い記事、雑誌記事を読むことに限られる。 ナビゲーションが増えれば増えるほど、Kindle 2 の魅力は色褪せるのだ。 ただ、単にページをめくっていくものとしては、Kindle はきちんとした役割を果たしてくれる。 画面の読みやすさは、すでに優れていたオリジナル版よりも、さらに良くなっている。一回充電するだけで、永遠ともいえるほど電池がもつ。さらに、ほとんどどこにいても、PC に接続して同期することなく、新鮮なコンテンツを比較的高速でダウンロードできる。
長時間集中力をたもつことができる真剣な読者が減りつつあるとはいえ、そうした市場は、読者を出版元につないでおくことにかけては世界のリーダー的存在である Amazon にしっかりとつなぎ止められている。 以上から、Kindle 2 は利用可能な電子リーダーとしては最高の位置につけていることになる。 同社の 3G モバイル「Whispernet」サービスを通じて、書籍データを電子的に Kindle 2 ユーザーのもとに送るというのもまた、特に、燃料費が高騰して、流通コストが跳ね上がっている昨今では、本を印刷し郵送するよりも、はるかに費用対効果が高い(環境的に健全であるということも当然ながら)。
ところが、Kindle 2 にとっての完璧なターゲット市場はまた、その多くがすでに、物理的な書籍を抱えてうずくまることに愛着を感じている層だ。 これでは、Amazon が狙っているように Kindle 2 を「本の iPod」にできない。
Apple が 10 年前に、その頃姿を現しつつあった MP3 プレーヤー市場に飛び込んでいった時、同社は、理想の音を再現するために特別に部屋を建てて、そのなかに籠っているオーディオマニアらのニーズに応えようとした訳ではなかった。 実際のところ Apple は、音楽の消費者という新しい層をターゲットにしていたのだ。 つまり、バックグランドで気軽に音楽を聞くような、活発に動きまわる人々だ。 以降、iPod は、オーディオブックへと進出し、ポッドキャスティングを開拓し、ゲーム機能を追加していった。 最新の iPod touch では、ウェブをブラウズでき、プッシュメッセージを処理し、さらには、さまざまなモバイルソフトを実行できる。
しかし、Kindle 2 は、それとはまっこうから逆行する。 つまり、新しいやり方で情報を体験するように導くのではなく、これまで人々がやってきた読書の仕方を変えようと目指しているのだ。 Kindle 2 の E Ink テクノロジーフォームファクターは、すべて、ペーパーバックという紙にインクで書かれた体験を置き換えることを中心にデザインされている。それは、あたかも AppleiPod を、金メッキされたコネクターでつながれた真空管アンプの上に置かれた、レーザー読み取り方式のビニールレコードプレーヤーとして売り込もうとしているようなものだ。 そのような製品は、ごく限られたニッチな市場にしかアピールせず、しかも、そうしたグループの大多数からはそっぽを向かれてしまうことだろう。 Kindle 2 は同じように、ハードコアな読者という限られたニッチにしかアピールせず、しかも、紙を好む人々に喜ばれることは望むべくもないのだ。

私にそれを読んで
Kindle 2 が、伝統的な過去を電子形式でコピーしようとする試みから脱皮できるかもしれないのは、同機のオーディオブックサポートと、テキストスピーチテクノロジーだろう。 残念ながら、そのサイズと形から、同機をおもにオーディオブックプレーヤーとして使用するのはかなり間抜けなものになってしまう。というのも、そうしたタスクはすでに、ポケットサイズの iPod でうまく処理できているからだ。
今回のリビジョンにおける新機能である、Kindle 2 のテキストスピーチ機能のほうが興味深い。 この機能によって、読者は目を休ませて、設定可能な合成スピーチテクノロジーが読み上げるのを受動的に受け取れるようになるからだ。 その声につれて、ディスプレイもアップデートされて同じページを表示するので、そのまま読み続けていくことも簡単にできる。
Kindle 2 の合成音声をほんものの人間と間違える人はいないだろうが、この新機能はなかなか便利で、理解しやすい。 著作者団体は、Amazon がこの機能を追加したことに対して、電子ブックは Amazon によるパフォーマンスのためにはライセンスされていない、と抗議の声を上げた。 これを受けて Amazon は、個々の作品において読み上げ機能をオプトアウトできるようにすることを約束した。それがユーザーに与える苛立を考えると、こうした要求をするのは、恐らくもっとも馬鹿げた著者くらいなものだろう。

より安く、シンプルに、格好良く
E Ink 電子リーダーを販売するという、本当に限定された現実に直面した Amazon は、読書好きの関心を勝ち取るために、改良した Kindle をできるだけ魅力的なものにしようとベストを尽くした。 Apple からのヒントを手がかりに、Kindle 2 は、ユーザーが交換できるタイプのバッテリーとメモリーカードリーダーを廃し、デバイスを洗練させ、製造コストを下げてきた。

Kindle2
同機器は、内蔵された 2GB のメモリーとともに出荷されるようになった。これでも、何千冊という書籍をいれるには十分だ。 また、オリジナルのモデルにあった、独立したワイヤレススイッチを完全になくし、DC 電源プラグと USB ポートを統合して、iPhone に似たような、単一の同期・電源ケーブルを備えた USB 駆動型のデバイスになった。

Kindle2

Amazon Kindle

Amazon Kindle 2
これまた iPhone と同じく、ヘッドフォンジャックをてっぺんに移し、パワー・同期用のミニ USB コネクターを底辺の中心にもってきた。 音量ロック用スイッチも、もともと底辺側の扱いにくい場所にあったものを、より手の届きやすい右上の側面にもってきた。 備え付けの内蔵スピーカーも大幅に改良され、これまでのモデルにあったような、妙な親指ダイヤルや、銀色の LCD トラックではなく、五方向のジョイスティックコントローラとともに、標準的なメニューボタンを用いることで、ナビゲーションも大幅に改善された。

Amazon Kindle

Amazon Kindle 2
Kindle 2 のページ前後用ボタンもまた、オリジナルモデルにあったような、「アクティブエッジ」という、手にとった時に誤って手が触れてしまうようなふくらみではなく、より理解しやすい独立ボタンとして設置されている。 キーボードも拡張され、二〜三の単語を入力する以上のことには向かないものの、少なくともオリジナル版にあったような、安っぽいプラスチックのゴチャゴチャでもなく、鋭角的なエッジのある奇妙な方角を向いたキーでもなくなった。


ページ 3 / 3: 電子ブックカタログ;Kindle 2.5: お手持ちの電話にあるものと同じコンテンツ;そして、まとめ。

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