AppleInsider: 詳細レビュー: Kindle 2、Apple TV の書籍版

原文: In-depth review: Kindle 2, the Apple TV of books

By Prince McLean
Published: Wednesday, March 4, 2009 09:00 AM EST
Amazon は、Kindle 発売一周年を記念して、ハードウェアのオールラウンドなアップデートを施してきた。それにより、ぎくしゃくした安っぽい見た目のデバイスが、さっぱりと洗練されたものへと姿を変えた。 では、その Kindle 2 は、メインストリームのユーザーに訴求するに相応しいものになったのだろうか? 
第一世代の Kindle にたいする 最初のレビュー で私たちが指摘していたように、Amazon による電子ブック市場参入は、大して先駆的なものではかった。 Sony の Reader や他のライバルデバイスは、これまでの 10 年間にわたる努力もむなしく、同市場においてそれほどのインパクトを与えてこれずにいた。 Sony と Borders との間では、Kindle 登場の一年も前に Reader をプロモーションするためのパートナーシップが結ばれていたものの、ほどんどその成果をみることがなかった。
しかし Amazon は、Kindle 投入に際し、世界各地における通信販売の経験を活用し、膨大な書籍カタログ(そして、出版側のさらなる参入)を梃(てこ)に、印刷出版から電子ブック市場へと参入するにあたり、さらなる勢いをつけてきた。 ところが、第一世代の Kindle はまた、Amazon にはハードウェアをビルドする経験がないことも露呈してしまった。
オリジナルの Kindle は、醜く薄っぺらで安っぽく、Amazon の電子リーダー体験をテストするという栄誉を担うのは、もっとも熱心な電子ブックユーザーに限られるだろうことを確実にするような代物だった。 昨年同社が出荷した Kindle は、およそ 50 万台 ほどだった。 これはもしかすると、電子リーダーにおいてはかなりの成果かもしれないが、情報アクセスのための主な手法として新しく名乗りを上げるようなものではなかった。
今年になって、Kindle 2先日開封したもの)は、パッケージ全体を大幅に改良し、399 ドルから 359 ドルと、価格もわずかながら下げてきた。しかし、電子リーダーを差別化するとともに、そのアキレス腱ともなったコアテクノロジーである E Ink はそのままだった。 E Ink は、LCD バックライトのスクリーンよりもはるかに消費電力が少なく、製造費もきわめて廉価だ。しかし同時に、リフレッシュレートは非常に遅く、ウェブの機敏なペースに慣れているユーザーにとっては、苛立たしいほどにもっさりとしている。

Kindle2

Kindle2
スクリーンのリフレッシュレートや、16 種類の図形をグレイで表示するという新機能でもって、わずかながらも改善された Kindle 2 は、小説や長い記事をゆったりと読むといった行為においては、紙の書籍に置き換わるエレクトロニクスに求められるものとして、非常に快適だ。 ただ、ユーザーは、本を読むという中核的な機能以外では、Kindle 2 のパフォーマンスに期待しないしないほうがいい。

Kindle が総崩れとなる場所
AmazonKindle を、本を読むことに加えて、新聞やブログを読むためのものとして提示するとともに、ウェブをブラウズするための「実験的」なソフトウェアさえも装備してきた。 ところが、紙の本の代替という、そのスイートな本分から離れて、ハイパーリンクの張られた情報を閲覧するという汎用ブラウザの領域に踏み出してしまうと、ワイヤレスで利用することが前提となっている Kindle は、またたく間に総崩れになってしまう。

Kindle2
Kindle 2 のブラウザーは、実験的なものとはいえない。というのも、そもそもソフトウェアが完成の域に達していないからだ。E Ink のスクリーンでは、適度に素早くスケールし、色やアニメーションを表示したり、テキストを入力したり、ページ間を高速にジャンプしたり、情報を素早く取り込むことができるようにページをスクロールすることができないために、Kindle 2 は機能的に不足したウェブブラウザーにしかならないのだ。
ほとんどの人(特に Kindle 2 がターゲットとする人々)が、新聞やブログを読むという行為から、フルカラーで、動画やユーザーコメント、ソーシャルネットワーキング機能をもつウェブブラウザーで、記事を飛ばし読みすることへと移行してしまっていることを考えると、E Ink を搭載した Kindle ではまったく歯が立たないのだ。

たいした活躍をしてくれないキラーアプリ
継続して読み進めていくのではなく、参考資料として役立ってくれる書籍にも、同じ問題があてはまる。 非常に軽量で、ポケットにも収まりそうな Kindle 2 は、教科書で一杯になった重たいバックパックの替わりになってくれそうに思える。ところが、問題は、教科書内でセクション間をすばやく移動するということが、E Ink ベースの電子リーダーにとってはあまりに辛いことなのだ。
単語を探して、バーチャルなしおりを設定することはできても、Kindle 2 の比較的小さなスクリーンは、フルサイズの教科書というよりはペーパーバックの文庫本に近く、実際にページを繰る感覚がないことや、大きなカラー図形やイラストがないことを合わせると、大量の資料に分け入っていって求めるものを探すとすると、重量や何百ページものために木を殺すことを考えても、紙の教科書の二番煎じにもならない。

Kindle2
多くの教科書は、電子ブックの形式では利用できないという事実もまた問題だ。 教科書で求められるような、ランダムなアクセスを考えると、AmazonKindle や類似の電子リーダーで採用されているフォームファクターやテクノロジーよりも、ノート型コンピュータで PDF 版を扱った方が、適切であるように感じられるのだ。

ページ 2 / 3: Kindle のスイートスポット;私にそれを読んで;そして、より安く、シンプルに、格好良く。

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