AppleInsider: Microsoft、 Google の Nexus One は Zune 失敗の轍を踏むと警鈴をならす

原文: Microsoft frets Google's Nexus One will suffer Zune's failure

By Prince McLean
Published: Monday, January 11, 2010 06:00 PM EST
Microsoft は報道関係者にたいし、Google は、同社の Android プラットフォームのバランスを保とうとすることで、Nexus OneZune と同じような一連の問題に直面するだろう、と語った。
ラスベガスで開催されている Consumer Electronics Show において、Microsoft のエンターテイメント・デバイス部門でプレジデントを務める Robbie Bachは Bloomberg にたいし、直販や携帯電話製造へと Google が侵出していくことで、他の Android ライセンシーらを脅かしてしまうのではないか、と 語った
「現在彼らがやろうとしているような方法で両方のことをおこなうことは、極めて極めて難しい」と Bach。 「Google のアナウンスによって、どこに彼らがコミットしていくかというシグナルが送られる。 それによって、我々にもいくらかの機会が生まれるわけで、我々はそうした機会を追究していくことになる。」

経験からの言葉
Bach は、Microsoft 独自の「PlaysForSure」Windows Media 戦略を統括していた。これは、ハードウェアメーカーが AppleiPod と競うために、MP3 プレーヤーを製造する際に利用できるような、ライセンスされたソフトウェアプラットフォームを提供するためだった。 そのプログラムが牽引力を発揮できないことが明らかになった時、Microsoft は、Zune ブランドのもとで Microsoft ブランドの Windows Media プレーヤーを送り出す計画をアナウンスして、自らこの問題を手がけることにした。
同社は、ZuneAppleiPod だけがライバルであり、他の PlaysForSure ライセンシーは引き続き、平行して成長を続けられるようにする、と強調した。 ところが、すでに 当時でさえも 明らかだったが、Zune は、Apple の領土を脅かすこともなく、PlaysForSure デバイスの息の根を止め、MP3 市場全体のごくわずかなシェアを奪い取ったただけだったのだ。
Bach は最近、同社の音楽プレーヤー分野への侵出に批判的なアナリストらにたいし、同社はこれまでどおり、音楽ビジネスにおいて一定の成果をあげたと感じており、同市場は同社の全般的な戦略にとって必須であるとみなしている、と 語った。 しかし彼はまた、どうしたらもっと良い結果になったと考えているのかは説明しなかったものの、もしまた最初からやり直すチャンスがあるとしたら、同社はちがったやり方でものごとにあたっただろう、とも認めた。
Microsoft がとったかもしれない道がどのようなものであったにせよ、同社の Windows Media プラットフォームは、大失敗へと歩んでいたようだ。 Zune の例がなければ、同社は、スマートフォン分野で直面している同じような問題に対処するはめになっていただろう。同社はこの分野では(これまでのところ)、主に HTC といった Windows Mobile ライセンシーを尊重して、独自ブランドの携帯電話をリリースすることを避けている。
しかし、そうした代替戦略をもってしても、実売数、顧客のマインドシェア、さらには開発者らの注意という面で、Microsoft の携帯プラットフォームは、地滑り的な敗北を止めることができていない。 コンシューマー製品は、Microsoft が世界の PC オペレーティングシステムプロバイダーとしての地歩を固めることに成功した PC よりも、強固な統合によって利益 をあげているからだ。

プラットフォーム別ビジネスモデル

Microsoft vs Google: 我々の轍を踏むな
Bach からの Google への警告は、これが初めてではなく、これまでにも Microsoft 幹部は同社のライバルに対し、同社が先に手がけたのと同じことをしているとバカにしたことがあった。 CEO の Steve Ballmer は昨夏、同社の Worldwide Partner Conference に参加した聴衆に向かって、「彼らは決断できないのか、何が問題なのかは知らないが、昨年わたしがチェックしたんだが、クライアントオペレーティングシステムとして二つ[AndroidChrome OS]も必要ない」と、GoogleChrome OS イニシアティブを 笑い飛ばした。 「ひとつだけで充分だ。」
Ballmer のコメントは、興味深い。というのも彼自身の会社は、90 年代全般にわたって、二種類のはっきりと別の PC オペレーティングシステムを維持していたからだ。 DOS をベースにしたコンシューマー向けの Windows 95/98/ME と、ビジネスユーザーをターゲットにした、まったく別個の Windows NT/2000 オペレーティングシステムだ。
加えて同社は、同社のデスクトップラインナップと平行して、ハンドヘルドデバイスや組み込みアプリをターゲットとした、まったく新しい Windows CE オペレーティングシステムを立ち上げた。 今日でさえも Microsoft は、依然として、主要ラインナップに二種類の大きく異なるクライアントオペレーティングシステムを維持している。 デスクトップ PC 向けの Windows 7Windows CE ベースの Windows Mobile プラットフォームだ。
同社はまた、PC ユーザーやライセンシーが Windows XP から最新の Windows 7 リリースへと乳離れさせることにも苦労している。少なくとも同社の主要サポートを、ひとつの PC クライアントオペレーティングシステムに絞り込むことができるようにしたいからだ。 しかし、同社はまだそこには達していない。

Microsoft vs Google: 我々の轍を踏むな
Google は自社の Android プラットフォームを、MicrosoftWindows を実行する際のようにはきつく管理しておらず、同社のライセンシーが独自ユーザーインタフェースを組み合わせることができるようにし、ハードウェアの面で強固なデザインレファレンスに従うように強いてもいない。 こうすることで同社は、MicrosoftZune で直面したのと同じ運命から逃れることができ、同社が Microsoft がこれまでやろうとさえしなかったことをうまくできるようにしている。 それは、自社パートナーと直接的に競合するスマートフォンや PC デバイスを出荷することだ。
同時に GoogleNexus One[和訳] は、業界ウォッチャーからほとんど一様に、昨シーズンのフラッグシップ Android モデルのさらに一枚上手にいったとして「Droid キラー」と言及されている。 Google は、ユーザーの好みのキャリアーに応じて、Verizon の Droid を Nexus One の代替として広告することで、脅威をしずめようとしている。 ところが同社は、近い将来 Verizon にも独自ブランドのモデルを登場させる計画も発表した。
これによって、MotorolaAndroid パートナーから離脱することになるかは、まだ分からない。同社は、自社の全リソースを Google のプラットフォームにつぎ込んだばかりだからだ。 そこに Google は、新しい Nexus One 後継機を他の製造企業と組んで発表する可能性があると示したのだ。
この動きはまた、外堀が埋まった状態の Sony Ericsson を怖じ気づかせることにもなるかもしれない。同社は、iPhone と競うことができるような洗練された携帯プラットフォームを求めて、Windows Mobile から Symbian へ、そして Android へと渡り歩いてきた。 Sony は、もしグループが収益を再び上げられないようであれば、Ericsson とのパートナーシップを取りやめる意向を示している。こうなると、規模において第三位の Android ライセンシーを殺してしまうことになるだろう。
一方 LG は、Android 製品を話題にしつつも、Windows Mobile 陣営にしっかりと腰を据え、Samsung の方は、Android に注力するのではなく独自の Bada プラットフォームを立ち上げるとアナウンスした。 Nexus One のメーカーである HTC でさえ、AndroidWindows Mobileバイスのラインより廉価で販売できる BREW 携帯をビルドする計画をちらつかせている。
スマートフォン市場で Apple が直面するライバルの数が多ければ多いほど、同社にとっては有利だ。 90 年代において、なぜ AppleMicrosoft に対してグラフィカルデスクトップ PC での先駆者的地位を失ったかというと、同社が 80 年代に「ルック・アンド・フィール」訴訟でライバルらを蹴散らそうとしたことで、HP や GEM からのウィンドーイング製品を閉め出すことになり、Microsoft が同社の Windows 製品の周囲に競争のない独占的な怪物を確立させるに任せてしまったことに関連する。
Apple はこの十年間、iPodiPhone 市場のどちらにおいても、Creative や、より最近では Nokia からの特許侵害の訴えに対して防御的処置をとった以外は、著作権あるいは特許権侵害の問題でライバルを攻撃することをはっきりと避けてきた。 法廷で争うよりも、市場で争う方が、Apple にとってうまくことが運ぶことは歴史的に明らかだからだ。