AppleInsider: Apple タブレットのマルチタッチ FingerWorks テクノロジーの内側 [Page 2]

原文: Inside the multitouch FingerWorks tech in Apple's tablet [Page 2]

By Prince McLean
Published: Saturday, January 23, 2010 02:00 PM EST
キーボードに殴り込みをかけたタッチ: 2000 年代
1990 年代当時、熱烈なファンは、メインストリームのユーザーがタイピングからスタイラスをつかって文字を書くという過去の手法へと回帰するとしていたが、脅威にさらされる側のキーボードは、こうしたペン中心的な熱狂から、傷ひとつ負うことがなかった。 むしろ、キーボードの利用は拡大し、サイエンスフィクションの作家らが長く予見していた、制約のないタッチベースのインタフェースへと変身を遂げていった。
スタイラスがユーザーに提供できたのは、キーボードでのタイピングにおける効率性を高めるために、旧来からの手書きを模した道具によるより「自然な」入力システムへと移行するのではなく、デバイスとのやり取りにおけるさらに遅くぎこちない手法でしかなかった。
手書きテキストを読み取るテクノロジーを開発するために膨大な資金が注ぎ込まれたものの、キーボードでのタイピングにまつわる問題の多くを解決することができなかった。 つまり、キーボードを叩くことにたいして、書くという身体的ストレスのほとんどが改善されない:入力スピードがはるかに遅い:そして格納しなければならず、紛失しやすいスタイラスバイスを備えるという不便さから、物理的サイズから得られる利点が打ち消されてしまっていること、だ。
スタイラスを備えた PalmPDA人気の絶頂に上り詰め 始めた頃、Apple は同じようにキーボードをいっさい使用しないモバイルデバイスを発表した。 ところが Apple の新しい iPod は、スタイラス入力を利用するのではなく、メカニカルなスクロールホイールを採用し、メニューを素早く簡単にナビゲートできるようにしていた。 大量のテキストを入力するには向かないものの、大きな音楽コレクションを見渡すには非常に人気の手法となった。
2002 年以降、AppleiPod デザインには、ソリッドステート(非メカニカルな)のタッチセンサー付クリックホイールが採用された。 Apple はそれ以前に、自社が 1994 年に送り出した PowerBook 500 でタッチセンサー付トラックパッドを採用して新境地を切り拓いていた。これは、メカニカルなトラックボールジョイスティックではなく、ソリッドステートなポインティングデバイスを採用した初めてのノートブックだった。 同社は、それからほぼ 10 年後、タッチセンサーを新しいモバイルデバイスの主たるユーザーインタフェースにしている。
その一方、PalmMicrosoft は、スタイラスを用いた PDA オペレーティングシステムを携帯電話として使えるように調整を始めた。 PalmTreo ラインアップは、従来型の Pilot PDA から BlackBerry のようなミニキーパッドスタイラスベースの画面へと変えられた。 Microsoft のライセンシーは、ミニキーボードやフルサイズのスライド式キーボード、そしてスタイラスベースのスクリーンをさまざまに組み合わせて、多様なデバイスを開発した。 実際のところ、Microsoft がもともと自社の「Windows Smartphone」として描いていた定義は、タッチスクリーンをいっさい備えないデバイスで、ナビゲーションはすべて物理ボタンでおこなうようなものだった。

タッチの進化


FingerWorks に目を付けた Apple: 2005 年
初期のスマートフォンユーザーらは、特にテキストを入力するにあたっては、親指を使ったタイピングに熟達し、 画面をタップするために提供されていた扱いにいくスタイラスを無視してしまうのが、一般的だった。 スタイラスがまたたく間に人気を失うや、新しいキーボードテクノロジーが FingerWorks という新興企業からリリースされた。 同社のデバイスは基本的に、一度に複数のタッチに反応するようデザインされたトラックパッドで、キーボードのような操作と、Newton で用いられていたような直感的なジェスチャーの両方が可能だったが、スタイラスではなく指によるタッチで操作をするようになっていた。
FingerWorks は、マルチタッチ研究における開拓者で、デラウエア大学の同僚だった、John Elias と Wayne Westerman の二人によって率いられていた。 二人は、1998 年に会社を設立すると、マルチタッチトラックパッドバイスとして機能する一連のデバイスを製作した。そうした製品には、TouchStream フルキーボードや、マウスの代替としてプログラミング可能な多機能 iGesture Pad などがあった。
同社は、ニッチなパワーユーザや、反復性ストレス損傷に苦しむ人々の間で好評となり、こうした人々は、FingerWorks の大型な低衝撃性デバイスのおかげで、メカニカルなキーボードを利用する際に付きものの痛みを避けることができるようになったと報告していた。 しかし、同社は、匿名の消息筋によって 2005 年に密かに買収されるまで、メインストリームのユーザーにリーチできない状態が続いた。



後に明らかになったのは、FingerWorks 買収をめぐって Apple に対して起こされた訴訟の後、FingerWorks のテクノロジーとその創設者らは Apple の一部となったということだった。 さらに、Elias と Westerman が提出した一連の新しい特許申請は、Apple に関連づけられていた。
それから一年半以上にわたって、同社内では FingerWorks のマルチタッチというアイデアを、不透明なトラックパッドから容量性タッチスクリーンの透明なレイヤーへと適合させる研究が行われ、2007 年 1 月の iPhone 登場の際にデモンストレーションされたような直接的なマルチタッチ操作ができるようにしたのだった。

ページ 3 / 3: スタイラスの息の根を止めた Steve Jobs.

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