AppleInsider: iTunes の値上げで音楽レーベルにとっての売上げは低下

原文: iTunes price increases mean slower sales for music labels

By Neil Hughes
Published: Tuesday, February 9, 2010 11:25 AM EST
Apple が音楽レーベルにたいして iTunes Music Store で一曲あたり 0.69 〜 1.29 ドルに設定できるという柔軟性を認めて以来、デジタル音楽セールスの伸びが鈍化した、とある音楽レーベルの幹部が火曜日明らかにした。
Warner Music Group 内 MediaMemo の Peter Kafka が 火曜日明らかにした ところによると、値上げが実行された 2009 年 4 月以降、デジタル音楽の販売が鈍化したという。 デジタルアルバムのダウンロードは 12 月には 5 パーセント伸びたが、これは 9 月四半期の 10 パーセント、6 月四半期の 11 パーセントからのダウンだ。 デジタル分野の総収入も鈍化している: Warner は年末の四半期には 8 パーセントの伸びだったが、一年前は 20 パーセントだった。
Warner CEO の Edgar Bronfman Jr. は、価格変更は Warner にとって「全体的にはポジティブ」だったものの、不景気時に 30 パーセントもの値上げをしたのは最善策ではなかったことも認めたとされている。
火曜日におこなわた四半期収益カンファレンスコールで同幹部はさらに、Apple と同社の iPad 発表が出版業界に与えた影響についてもコメントした。 具体的には、Apple は、同社が音楽業界にたいしてより強固なアプローチをとったのに対して、出版社には自社の電子ブックの価格設定において ある程度の柔軟性 を認めたことだ。
「収益カンファレンスコールで Bronfman は、書籍業界が Apple の援護のもとに Amazon(AMZN)が設定した 9.99 ドルという敷居を超えて価格設定できるようにしたことについて言及する際、やや声が残念そうだった」と Kafka は書いている。
Bronfman は、「出版業界は、iPad にむけて、音楽業界よりもはるかに柔軟でいられるのは興味深い」と語ったとされる。
去年 8 月 AppleiTunes は合衆国内の 全音楽販売の四分の一 を占めていたことが明らかになった。 これによって iTunes は、これまでで最大の音楽販売店となり、14 パーセントで第二位の Walmart を引き離している。 すべて合わせると、デジタルダウンロードは音楽セールスの 35 パーセントに達し、iTunes はオンラインセールスの 69 パーセントを占めている。 しかし iTunes の人気をもってしても、CD が依然として一番売れている形式で、全体の売上げの 65 パーセントを占めている。
2009 年初頭 Apple は、レコードレーベルが iTunes の音楽ダウンロードから デジタル著作権保護管理を外す よう説得した。 しかし、そのプロセスにおいて Apple は、価格設定における柔軟性を認めざるを得なかった。 そして去年 4 月から、一部の 人気トラック で 30 パーセントの値上げがなされ、0.99 ドルから 1.29 ドルへとなった。
ところが Apple が電子ブックビジネスにおいて AmazonKindle に追い討ちをかけようとするにあたって、同社は出版社にたいして新刊のハードカバータイトルにおいて、Amazon の 9.99 ドルよりも高い 12.99 〜 14.99 ドルで価格を設定する権限を認めた。 Apple の交渉は出版社の Macmillan が Amazon に働きかけて 自社の価格を調整できるように求めるという事態になり、Amazon 側は渋々ながらそれに合意した。 Amazon Kindle での値上げは、AppleiPad が発売される 3 月と 同時になるとみられている
出版社と Amazon との間の新たな軋轢を引き起こしたのは、その新しい iBooks アプリケーション とそれに伴う iBookstore を携えた Apple の電子ブック市場への参入にほかならない。 Macmillan の先鞭に従うように Hachette Book Group[和訳]HarperCollins が両社ともに、Amazon との間でより柔軟性に富んだ価格体系での新しい契約を結びたい意向をあきらかにした。
出版社は、こうした値上げをしてもより大きな収益にはつながらないものの、著者やエージェントに各デジタルセールスごとにより儲けを上げられるようにすることで、市場の健全性を保護することになると語った。 一部では、現在の 9.99 ドルという Amazon の価格モデルでは、書籍の価値を損ない、ハードカバー版を販売する小売業者を傷つけていると言う声もある。