AppleInsider: Flash Wars: Flash に対する数多の敵と障害 [Part 2 / 3]
原文: Flash Wars: The Many Enemies and Obstacles of Flash [Part 2 of 3]
Flash に対する数多の敵
Microsoft は今や Flash を Windows に対する競争相手であると見るようになってきている。というのも、Flash は Java が 10 年前に試みたのと同じように、クロスプラットフォームかつアプリケーション展開ができるからだ。 重要なウェブコンテンツがすべて Flash で実現されてしまったら、さらに Windows は必要なくなってしまう。ほとんどのプラットフォームが Flash のなんらかのバージョンを実行できるからだ。 Microsoft は、デスクトップで Java を不具にしたのと同じように、Flash をのけ者にしようとしている。 そのやり方とは、独自のプロプライエタリーな Silverlight をビルドし、自社の独占的パワーを利用してそれを配布すれば、いともたやすく Adobe の空気供給を絶つことができる。
Microsoft は 90 年代には Netscape、クライアントサイドの Java、OpenGL グラフィクス、Office 代替品、その他の競争でほぼ完全勝利を収め無敵であるかのように見えたものの、より最近のライバル粉砕の努力はそこまで成功裡にすすんではいない。 iTunes と iPod、検索と広告、スマートフォン、そしてビデオゲームコンソールで Google を破壊・置き換えをねらった計画はすべて、独占を拡大することなく多大な出費をともなうキャンペーンとなった。 これによって Silverlight と Flash との闘争はまちがいなくより面白く、決着がつきにくくなった。
Sun は Microsoft の敵かもしれないが、だからといって Flash の友になるわけでもない。 同社は Flash がクライアント Java が担うはずだった役割をかっさらっていくのを見ていたし、現在ではリッチなインターネットアプリケーションで Flash と競合している。 Sun は、Java ツールのファミリーの新しい一員である JavaFX でもって反撃しつつあり、デスクトップとモバイルデバイスの両方で市場に返り咲こうとしている。
オープンソースコミュニティー は Flash への愛をほとんど感じていない。というのもそれがプロプライエタリーな標準だからだ。 Free Software Foundation(FSF)は、Gnash を Adobe の Flash Player のフリーな代替としてプッシュしているし(FSF は同ソフトを High Priority Free Software Projects の第三位に位置づけている)、OpenLaszlo はリッチなインターネットアプリケーションを作成するための Flash 開発ツールの対抗馬とされている。このソフトウェアでは、Java サーブレットや標準的な Flash Player で再生できる Flash のバイナリーコンテンツを製作できる。 他のグループは SVG の拡張や完全に Flash に置き換わるような他のソフトウェアを開発している。
Apple は 2001 年に QuickTime 5 で Flash 4 へのサポートを追加したが、これによって開発者は QuickTime ムービー内で Flash を使ってインタラクティブにすることができるようになった。 ところが、Apple は自社の Flash サポートを更新して Macromedia からの最新リリースについていけないというトラブルを抱えた。 加えて、Mac のための Flash のリリースが Windows 向けのものと同時に発表されていたにもかかわらず、Macromedia の Mac リリースの品質はつねにやや下回り、問題を孕んでいた。
Adobe による買収直前の 2005 年にリリースされた Flash 8 をもって、Macromedia は、Mac 上での Flash コンテンツ再生へのサポートはウェブプラグインか、スタンドアローン版のみにし、PDF 内での Flash 再生は QuickTime に任せるという決定をした。 その頃までには、Apple は Flash の最新版についていくことを諦めていたため、PDF 内で Flash を閲覧しようとしたユーザーは Flash 5 のコンテンツしか再生できないことになってしまった。
2006 年には Apple は、QuickTime 7.1.3 での Flash のサポートを標準でオフにし、その理由を「QuickTime で出荷されている Flash のバージョンは Adobe からのものや Safari で利用されているものよりも古く、そのため、Flash を QuickTime とともに出荷はしても、標準ではオフになっている」として説明していた。 以降 Apple は、QuickTime での Flash サポートを回復するオプションさえも取り除いてしまった。
Apple が Flash をプロモートする 関心を完全に失ってしまった ことは、同社が 2007 年に iPhone をリリースした際によりいっそう鮮明になった。同デバイスは搭載するウェブブラウザーで Flash サポートしないまま出荷された唯一のものとなったが、同時に代替の H.264 プレーヤーを YouTube ビデオのために導入した。これによってウェブ上での Flash をもっとも価値あるものとしたものを迂回することになったのだ。 それはつまり、ウェブ動画のためのプレーヤーアプレットおよびコンテナフォーマットとしての役割だ。
2007 年全般にわたって Apple は、自社の企業サイトや他の製品から Flash のあらゆる痕跡をぬぐい去り、開発者らにたいして替わりにオープンな標準を利用するよう推奨しはじめた。 Gone in a Flash: Apple's iPhone Web Plans でも述べたように、Apple は昨年「Optimizing Web Applications and Content for iPhone(iPhone に向けたウェブアプリケーションとコンテンツの最適化)」と題するドキュメントを公表し、そこで Flash についてたった一行「サポート対象外テクノロジー」と表示しただけでなく、「標準に忠実に」従い CSS や JavaScript、Ajax を替わりに使用するように推奨さえしたのだった。
板挟み状態と他の障害
Adobe が Flash のさまざまな新ユーザーを見つけ出し、Flash Player ランタイムが広く浸透していることを宣伝するという Macromedia のマーケティング戦略を続けている間に、コンピューティングの未来を形づくる 3 つの強大な力が姿を現してきた。 Microsoft はすでに自社の Windows と Office での独占を梃に、Flash キラーとして Silverlight を Windows PC デスクトップと Mac に向けて配布しはじめていた。 Microsoft が Mac 製品をリリースした際、それはひとつのことしか意味していなかった: それは、Windows に対するクロスプラットフォームな脅威は息の根を止めることが難しい、ということだった。
Microsoft とデスクトップ上で相見えるのは大して辛いことではないにしても、Adobe は今や、Apple が自社の著名な iPhone と iPod touch での WiFi モバイルプラットフォームで完全に Flash Player を取り除くという事態に直面していた。 さらに、新しい Cocoa iPhone/iPod Touch SDK は Adobe にとって Flash プラグインを化はいつするには不十分であったばかりか、Flash であろうと、Silverlight であろうと、Java であろうと、ネイティブな Ccocoa 環境において競合プラットフォームが勢力を拡大するようにデザインされたランタイムの開発を明確に禁じていた。
自社の iTunes や iPod、iPhone の成功を梃にしたウェブのプロプライエタリーなコントロールを阻害するという Apple の戦略は容赦ないものだった。 同社はまた Mozilla の FireFox や Opera ブラウザーと歩みを揃えて、今日の SVG へのサポートを強め、標準に準拠したリッチなインターネットアプリケーションのために未来の HTML 5 仕様を発展させている。この両方とも、デスクトップでの Flash にとって脅威だ。
ページ 2 / 2: Flash Lite での悪あがき;貧弱なクロスプラットフォーム Flash ソフトウェア;そして、強力な特許の脅威。