AppleInsider: Apple の iPad の内側: Adobe Flash [Page 2]
原文: Inside Apple's iPad: Adobe Flash [Page 2]
Flash の起源
Flash は SmartSketch と呼ばれるツールから派生したもので、もともとはハンドヘルド・ペンコンピューティングでバイスのためのドローイングアプリとして考案されたものだった。 その後、Macintosh と PC に場を移して Adobe Illustrator と Aldus Freehand と競合するドローイングツールとなる。 こうした強固なライバルらと渡り合っていくために、同ツールは 1996 年に FutureSplash Animator と呼ばれるアニメーションツールへと変貌を遂げる。
ウェブが独立した新しいプラットフォームとして姿を現しはじめると、FutureSplash の開発者である FutureWave はまず Sun の Java を経由してウェブ上で再生できるアニメーションを作成できるようにした。が、これはのろいことで悪名高かった。 Netscape がプラウザープラグインのための独自 API を発表すると、同社は FutureSplash コンテンツ用に独自のネイティブプラグインを作成した。 Apple はすでに QuickTime のための同じようなプラグインを送り出しており、ユーザーはウェブページ内で動画やその他のコンテンツを再生できるようになっていた。
開かれたウェブ上での Microsoft の戦争
ウェブが人気を伸ばしはじめると、Microsoft は開発者らの注意が自社独自の Windows プラットフォームからウェブへと離れていってしまわないようにとその媒体を乗っ取るべく懸命に動き始めた。 同社は Internet Explorer を通じて Netscape を撃墜してウェブを Windows に紐づけ、Sun とパートナーシップを結んで同社の Java を脇に押しやり、Windows に依存せざるを得ないようにし、さらには、動画配布の媒体として Apple の QuickTime クローンを作成しようとしもした。
ウェブに関連した宿敵 3 社のうち、Microsoft が息の根を止められなかったのは QuickTime だけだった。 それを目指した同社の努力の一部には、San Francisco Canyon スキャンダル に関連した Apple からのコード窃盗もある。 これによって Apple は法的なレバレッジで武装することになり、Microsoft に対して有利に交渉を進めることになるとともに、これが Microsoft が完全に Windows アプリとして長く注力してきた Office のサポートを Mac で再開する鍵ともなった。
同時に Microsoft はまた、Internet Explorer で得た新たなパワーを利用して QuickTime との間の互換性問題をつくり出し、QuickTime 用にデザインされたウェブコンテンツを表示する際に Apple のプラグインが起動できないようにした。 1996 年 Microsoft は Disney、Macromedia そして FutureWave とパートナーを組んで、オープンなウェブをプロプライエタリーなコンテンツで置き換えるようなアニメーションコンテンツを作成した。 これが Macromedia による FutureWave の買収、そして同製品の Flash への転換へとつながった。
QuickTime に置き換わった Flash
Apple の QuickTime は 1998 年にはオープンな MPEG-4 仕様のためのコンテナ仕様として採用されていたにもかかわらず、Microsoft は Internet Explorer による自社の独占的地位を利用してウェブ上でのビデオやアニメーション配布のプロプライエタリーな手法として Flash を幅広く配布した。
かつて Macromedia と Flash 直接的なライバルであり、Flash を支持してウェブアニメーションのためのオープンな仕様としての SVG に反対して[和訳] Microsoft-Macromedia アライアンスの主要なライバルでもあった Adobe は、このとき主に Flash を手に入れるために Macromedia を買収した。
Flash がビデオ再生のための主要な手法になった後、Microsoft は Silverlight という同社独自のプロプライエタリーなプラグインを手がけてオープンなウェブスタンダードをウェブプラグイン上のバイナリーに依存させようとした。 オープンなウェブスタンダードをサポートする Apple、Google、そして他の企業は、ウェブの拡張として HTML5 をプッシュすることで、プラグインを必要とすることなくマルチメディアを配布し、ブラウザそのものが MPEG-4 のオープンスタンダードでビデオを表示できるようにしようと働きかけを始めた。
これらすべてを照らし合わせてみると、Apple の Adobe Flash への反対姿勢は人気プラグインを攻撃して選択肢を制限するというものではなくて、ウェブでのオープンスタンダードの利用を回復しようとする努力の一環であり、こうすることで消費者の選択による本当の意味での市場が生み出されるのだ。 Adobe がウェブでのマルチメディア再生をめぐって、衰退しつつあるプロプライエタリーなコントロールを死守しようとするのではなく本当にオープンスタンダードをサポートするのであれば、同社がかつて PDF でしたように Flash を解放することもできたのだ。
Adobe CEO の Shantanu Narayen は当たり障りのない言葉で HTML5 へのサポートを表明しつつ、どう HTML5 に対処していく計画なのかを問われた彼は「私が思うに、HTML 5 への挑戦は引き続き、どうしたらブラウザー間で HTML 5 の一貫した表示ができるかになるだろう。 現在話し合われている実施計画について考えた場合、HTML 5 がこれから登場してくるだろう数多のブラウザー間での標準化されるまでに、10 年が過ぎていることになるかもしれない。」