AppleInsider: Apple の iPhone 4.0、Expose に似たインターフェースでマルチタスクをサポートか

原文: Apple's iPhone 4.0 to support multitasking via Expose-like interface

By Kasper Jade and Prince McLean
Published: Wednesday, March 31, 2010 12:25 PM EST
来る Apple iPhone OS の 4.0 レファレンスリリースは、複数のサードパーティ製アプリを同時に実行し、同社の Mac OS X オペレーティングシステムで人気となったのと同じようなウィンドウ管理メカニズムを利用して、ユーザがアプリ間をスイッチできるようにする機能を新しくサポートするようだ。
新しいファームウェアをめぐる Apple の計画に詳しい人々が語ったところによると、AppleInsider今月初め独占的に報じたように[和訳]、このテクノロジーでようやくユーザは複数のアプリをバックグランドで実行して、それらの間で素早く切り替えることができるようになるという。 現時点では実行しているアプリは、ホーム画面に戻る度に終了しなければならない。
Apple は当初、バッテリー持続時間の確保やユーザ体験を簡素化するために、同時に複数のアプリを実行するというアプリモデルをサポートしていなかった。 一方では AndroidWindows Mobile といった複数アプリの起動をサポートしている他のプラットフォームでは、ユーザは手動でシステムリソースの管理を行い、バックグランドタスクのうちパフォーマンスを阻害するものを取り除かなければならない。
現行の iPhone 3.x ファームウェア完全にプリエンプティブなマルチタスク[和訳] オペレーティングシステムであるものの、(Apple がシステムにバンドルしている一部のアプリを除いて)アプリをバックグランドで実行できないように人為的な制限が課されている。

象徴的な Expose
iPhone 4.0 の設計に詳しい人々によると、ユーザーインタフェースは Apple のデスクトップ Expose 機能に似たもので、あるキーコンビネーション --- ホームボタンを二回押すというものらしいが -- で Exposé のようなインターフェースが立ち上がり、その時点で実行しているアプリを表した一連のアイコンが表示され、ユーザが直接切り替えたいものを手早く選択できるようになっているようだ。 選択されると、iPhone OS は Expose タスクマネージャをズームアウトして、そのアプリへと切り替わる。
Apple は 2005 年に Mac OS X Expose のコンセプトで特許を取得しているが、デスクトップにおける実装では各アプリケーションのウィンドウを縮小表示して、重なることなくひとつのレイヤーで画面にすべて表示できるようにしている。
しかし iPhone では、比較的小さなディスプレイに収まるように画面の表示をスケールダウンすることは難しく、またアプリは複数のウィンドウを一切持たないことから、今回の新メカニズムでは各アプリのアイコンを同時に表示するだけだ。 これは、デスクトップ機能としての Expose よりも基本的な Command+Tab アプリスイッチャーに似ているが、iPhone 4.0 OS のプレリリースビルドに詳しい人々に言わせると、同機能では Expose に似た特徴がいくつかあるという。
その他、iPhone 4.0 のプレリリースにある二つの機能として、グローバルメールボックス表示と、「ママ」や「パパ」に電話できるボタンのような、iPhone のホーム画面に個々の連絡先を追加できる機能がある。 同ソフトウェアは活発な開発が続けられているため、こうした拡張のいずれか、あるいはどちらもが今後数ヶ月のうちに除外される可能性はつねにある。

セキュリティーで破綻しない複数アプリ
iPhone OS での「マルチタスクキング」をめぐる論争は、AppleiPhone 2.0 でサードパーティ製アプリを実行できるようにして以来ずっと人々の口にのぼっていた。 技術的欠陥とされることが多いものの、実際のところは iPhone OS でもまったく問題なくマルチタスクキングは可能だ。 同システムの電話、SMS、電子メール、iPodボイスレコーダNike+、そして特定のバンドルアプリでは、ユーザが他のアプリを立ち上げている最中にもバックグランドで実行を継続できる。
しかし、App Store から手に入れたサードパーティ製タイトル(Remote や iDisk といった Apple からのアプリも含めて)では同時に立ち上げることはできないようになっている。 現時点では同システムをジェールブレークした場合に限り iPhone OS のセキュリティーモデルを迂回して、複数のアプリを同時に立ち上げて実行できるようになる。
これはまた、マルウェアや幅広くはびこっている著作権侵害の両方にもドアを開くことになり、どちらも Apple によって設定された標準のセキュリティーシステムでは抑制されているものだ。 同時に、Apple が強制している証明書セキュリティーカニズムを備えた iTunes でアプリに対して Apple が署名するというモデルを採用することによって、iPhone ユーザは、ソフトウェアがスパイ行為をしたり、ポップアップ広告を表示したり、迷惑メールを発送したりするという懸念なく App Store で提供されるアプリを複数実行できるようになる。
他のプラッフォームベンダーは、自社のソフトウェアライブラリーに厳格なセキュリティーを課しておらず、Android ではあらゆる出自のアプリをインストールできるようにしているが、そのプラットフォームの人気が出てきた時に、悪意を持ったハッカーを呼び寄せかねない機構だ。

マルチタスクキングに道を開いた通知機能
AppleiPhone でのマルチタスクキング環境に真っ先に飛びつくのではなく、システムワイドな プッシュ通知サービス を導入して、サードパーティ製アプリが実行されていない時でさえ、(着信メッセージやニュースアラートなどのように)外部のアップデートに反応しているように見せられるようにした。
同社は、完全なマルチタスクキングモデルへと移る前にこのメカニズムを洗練させてきた。これはつまり、通知機能をサポートする既存のアプリは継続的にアップデートを確認するためだけにバックグランドで立ち上げておく必要はないということだ。 加えて、バックグランドで実行されているサードパーティ製アプリは、他のプラットフォームと比較してもパフォーマンスを悪化させたりバッテリーを食いつぶしたりすることはないだろう。というのも、通知メカニズムは、複数のアプリそれぞれが独自にアップデートを確認するためにリモートサーバに照会するよりも効率的だからだ。
例えば RIM の BlackBerry OS は長くアプリにたいしてマルチタスクキングを提供してきたものの、同社は最近までサードパーティ開発者らに対してプッシュ配信のインフラを公開していなかった。 その結果、BlackBerry アプリの比較的小さなライブラリーのほとんどで、有名な BlackBerry のプッシュメッセージング機能に対応するのではなく、非効率的に情報をサーバに照会するように設計されるということになったのだ。
GoogleAndroid でシステムワイドなプッシュ通知のための標準基盤をまったく提供していないため、開発者らはすべて独自に照会機能をサポートせざるを得なくなっている。 一方 Microsoft は今年後半に発表される Windows Phone 7 で時計の針を戻そうと計画しており、Windows Mobileサードパーティ製アプリを対象とした現行のマルチタスクサポートを廃止して iPhone 2.0 に倣ったモデルを提供しようとしている。