AppleInsider: Microsoft Office 2011 for Mac への道: 新たな希望

原文: Road to Microsoft Office 2011 for Mac: A New Hope

By Prince McLean
Published: Friday, April 30, 2010 11:35 AM EST
MicrosoftOffice 2008 for Mac をリリースしてから二年ほどが過ぎた。 そして今、同社はその 2011 年版の発表を準備中で、これは同社が Office 2004 をアップデートするために費やした時間と比較すると大幅に短い時間だ。今回は、よりシャープでよりプロフェッショナルな見た目のアプリケーションインターフェースを実現しようとしている。 ここでは、どのようなものが登場するのかについて現時点でのまとめを紹介する。

Office 2011 のための舞台を整える
Microsoft が最新リリースである Office 2008 for Mac を最終的に Universal Binary で産み落とすまでに費やした時間は四年間で、Apple が同社初の Intel Mac を出荷しはじめてからほぼ一年半後のことだった。 そのリリースではまた Visual Basic for Applications のサポートも削除されていた。多くの企業がドキュメントのワークフローを自動化するために使用する重要な機能であるのにだ。 Office for Mac からはまた Project、Access、そして同スイートの Windows バージョンにはある他のアプリも欠落していた。
それにもかかわらず、Microsoft のリリースは大きな成功を収めた。 同社が言うには、同リリースは「過去 19 年間において発表したこれまでの Office for Mac のどのバージョンよりも早い売上げ」だったとのことで、それは同リリースが大幅に値下げされていたことや大幅にリベラルな「Home and Student Edition」ライセンス(Standard Edition がビジネス顧客相手に 400 ドルで販売されていたのに対し 149 ドル)に関連していた可能性が高い。
Office 2008 が登場した当時、Mac プラットフォーム用とそのクリエイティブユーザのためにカスタムデザインされたユニークな Mac アプリからなるスイートであるということと、見た目と動作をできるだけ忠実に再現しつつ機能的に Windows スイートに相当するものであるということのぎこちないギャップを埋めようと無理をしていた。
MicrosoftMac Business Unit は、Apple 独自の iWork のような Mac OS X アプリに似たような見た目と動作をするツールを実現するのではなく、Mac ライクなものにしようと選択したかのように見えた。その結果、Office 2008 では Mac ライクなインターフェースとはどのようなものかについての独自解釈を生み出し、90 年代後半の iMac から拾い集めてきたようなキラキラとした安っぽいプラスチックの縁やその他の非標準的な飾り付けが施されていた。
このため Office 2008 は、AppleMicrosoft との間で 1997 年に交わされた取引から 10 年間の開発期間を経て、そして 1985 年に Macintosh に Word が 初めて登場[和訳] してから 20 年経った後に、Mac における Microsoft の Office 努力においても滑稽で新たな最低記録*1 を打ち立ててしまった。 しかし今年後半、Microsoft は自らの Mac 生産性スイートを新しい方向性へと再定義し直し、はるかにプロフェッショナルで洗練された見た目のものにしてきそうだ。

Microsoft の Fluent ユーザーインタフェース vs Appleツールバー
Mac BU が Office 2008 を送り出す一方で、Microsoft の他の部署は Office(と Window)を、リボンを中心に発展した「Fluent」なユーザーインタフェースというコンセプトに従って独自の方向性に突き進んでいた。 これはツールバーWindows のメニューバー(Mac OS にあるようなものとは異なり、アプリケーションウィンドウに統合されたもの)に置き換わるもので、大量のユーザーインタフェースボタンやオプションをパッケージングした動的なコントロールストリップを備えている。
一方の Apple は、Mac OS X でのアプリケーションのための標準化されたツールバーユーザーインタフェースを確立しており、ユーザは自分が使うボタンをカスタマイズでき、テキストラベルの油無を選択でき、アイコンサイズを大小で切り替えることができる。 同社はまた、独自のアプリを標準化してインスペクターパレットを多用する方向に持っていった。 iWorkApple は、標準的なツールバーの下に文脈的に妥当なコントロールストリップをオプション提示する手法としてフォーマットバーも導入した。
大きく異なる島の両陣営を満足させるという困難な課題に直面した Mac BU は、Mac OS X スタイルのツールバーの準標準版と「Element Gallery」と呼ばれるリボンのようなバンドストリップの両方を備えた Office 2008 を送り出したのだ。 Office 2008 で採用されたツールバーではアイコンサイズの変更やテキストラベルのみの表示ができず、さらに標準的な Mac ツールバーのようにドラッグ・アンド・ドロップによる設定もできなかった。 実際のところそれは Office のツールバーは標準の Office ツールバーのレプリカであり、見慣れたアイコンからなる何列もの並びを選択したりカスタマイズできるようにしたものだっった。

Office 2011 のよりすっきりした新しい外観
現時点での Office 2011 の Beta 2 で Microsoft は、無骨な Element Gallery の蛍光顔料のような軽薄さを控えめにして、はるかにしっかりと洗練された感じの実際のリボンへと変更している。 コントロールがぎっしり詰まってスペースがない感じではあるものの、この新しいリボンはずっとプロフェッショナルな感じに控えめだ。ただ、十分なビジュアルコントラストに欠けて、はっきりとしたオプションとして明確にポップアウトしない感じもする。
リボンはタブの並びからなり、そのタブのツールバーMac OS Xツールバーとしてではなく Office Toolbar として残っている)よりもはるかにコンパクトなわずかなスペースに大量のコントロールを詰め込めるようになっている。自分のコンテンツのために大きく機能的なスペースがあるため、ひとつのツールバーボタンを使っているとこのリボンを見落としやすいのだ。
より Mac ライクなインスペクターの替わりに Office 2011 は、トーンダウンしたツールボックスパネルを提供している。このパネルはフロートウィンドウとして機能して、スタイルや 参考文献、 辞書や類義語時点、翻訳ツールといった参照ツール そして、同スイートの別バージョンを実行している Office ユーザとの相互運用性に影響するかもしれない潜在的な問題をレビューするための互換性チェックのためのタブを表示する。
かつて Office 2004 の Formatting Palette に収められていたコントロールの一部は Office 2008 の Elements Gallery へと移されたものの、今度は完全にツールボックスから削除され、Office 2011 のリボンの一部となっている。
Mac BU がその Mac を中心に利用するユーザのニーズか、MacWindows バージョン間のクロスプラットフォームとしての親近感を求めるユーザのニーズのどちらかを完全に満足させることは不可能だということを勘案すると、この新しい Office 2011 は、Mac 上でもすっきり、キリッとしたプロフェッショナルした見た目となりつつ、最新の Windows バージョンの方向性の多くを保っているという、よくデザインされた妥協点を見いだしている。
それでも、Office 2008 からいくつか奇妙な仮面が持ち越されている。例えば、オブジェクト周辺のキャンディーカラーの半透明なコントロールや、一部パレットの半透明グレーの HUD っぽい見た目だ。しかしこの新バージョンはインターフェースを明確化し、より予測に沿った成熟した動作をするようだ。 Office の従来のバージョンは、10 年ほど時代に遅れたようにしか見えないエネルギッシュでピカピカのインターフェースを生み出すにあたってのコンセプト的な努力からなるベータバージョンのようだ。 この新しいエディションでは、もっとすっきりとしたモダンな感じとなり、世界有数の生産性スイートを販売している真面目な企業なら当然とも言えるようなものとなっている。
このシリーズの今後の記事では、この新しい Office 2011 スイート内の個々のアプリケーションにある新しい点を検証していく。

Office 2011 Fluent ユーザーインタフェース
For those readers interested in the Mac における Office の歴史について興味のある方は、AppleInsider による Road to Mac Office 2008 シリーズ の最初のセグメントを参照のこと。和訳記事:Mac Office 2008 に向かって: はじめにインストールとインターフェースWord '08 vs Pages 3.0Comments

*1:a clownish new low in Microsoft's Office efforts on the Mac